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39 暗黒物質の作り方って……?

「わたしは大丈夫」


 心はざわざわして、声も手も震えている。

 体調が悪いわけではないが、寄り掛かっていないと立っていられる自信がない。


「琉生、心配かけてごめんね」

「……無理しなくていいんだからな?」


 琉生が心配していることが見てわかる。

 多分私の顔、真っ青だからね。


「今、決着付けないと……ダメだから。勇気出して、行かなきゃいけないから」


 声を出して私の意志を伝えると


「……檸檬が決めたんなら。俺はいつでも相談に乗ってやるからな」


 と琉生が言ってくれた。

 とても頼もしい。


「大丈夫大丈夫」


 葵はギュッと抱きしめて頭を撫でてくれた。


「うちに伝わる取って置きのおまじないよ♡」


 と言ってくれた。


「? ……? とッ、とりあえず、頑張ってください……?」


 一人状況が分かっていない一花。

 ごめんね。


「返事が来ましたよ。今から行けます」

「本当に大丈夫なんですか?」

「うん。言ったように、今やらないといつやるの? 日本人のまた今度はあてにならないそうよ?」

「……分かりました。……我が主の思うままに」


 蓮は片膝をついて言ってくれる。


「ありがとう。申し訳ないけど、従兄姉達にあってこなきゃいけなくなったから、ご飯……四人で食べ……ダメか」

「全員で写真を撮らなきゃだめだからな」

「陽翔さん一人で大丈夫でしょうか……?」

「私、行ってくるね。私も食材当番だったんだから」


 でも、陽翔だいぶ近くにいる気がする。

 一人にして申し訳ない。


 玄関を開けるとすぐそこに陽翔はいた。


「陽翔ッ。ごめん。私のせいで一人にしちゃって……」


 陽翔の持つ袋を持つ。


「もう大丈夫なんですか!?」

「大丈夫と言ったら大丈夫じゃないかな? でも、決着はつける。絶対」

「……真っ直ぐな目ですね。分かりました。ちゃんと決着付けてきてくださいね? 一人で頑張ったんですから」

「それは本当にごめん!」


♢♢♢


 鍋等がないので、ご飯をレンジで作って……って思ってたらなんと葵が買っていた。

 一花も知らなかったらしく、いつの間にってなってたよ。


 私が荷物からエプロンを取り出そうとしていると、ほんのちょっと焦げ臭いにおいが漂ってきた。


「檸檬さん! 助けてください!」


 おとなしい一花が大声で私の助けを求めるなんて。


「キッチンが壊れますッ!」


 んな悠長なこと言っている暇はなかったようね!


 火事になってはどうしようもない。

 キッチンに向かってすぐ、私が目を離したのはほんの一瞬だったはずなのに、切られた食材があって、フライパンの中には暗黒物質(ダークマター)が出来上がっていた。


「だ~か~ら~! 俺は手伝おうと思ってやってるだけなんだってッ!」

「それで任せたら真っ黒こげになったのが分かりますか!? 真っ黒こげですよ!? 食材を減らさないでいただきたい!!」


 陽翔と琉生が喧嘩していた。

 暴れ出しそうな感じで。


 しかも、蓮はお手洗い、葵はどうしていいのか分からないのか、あわあわしている。


「……お二人さん……ちょっと来てもらいましょうか」


 思いっきりの(怖い)笑顔で二人の腕を掴み、玄関の方に向かう。

 外に出して鍵を閉める。


「「檸檬!?」」


 手際のよい檸檬の行動に二人はあっけなく外に追い出された。


「喧嘩が終わるまでそこに居なさい。お隣さんに迷惑かけないようにねッ!」


 そう言って玄関を去る……んだけど、その後足音を出さずに玄関に近づく。

 ドアスコープを覗くと、どうしようか考える陽翔とあわあわと慌てる琉生。


 十秒ほど待つと二人で協力しようってなったから鍵を開ける。


「もう喧嘩してないね」


 そう言って中に入れてあげる。


「「え?」」

「え? 喧嘩してないでしょ?」

「それはそうですけど……」


 少し戸惑う陽翔。


「檸檬さ~ん。ちょっと強引じゃありませんか?」

「ん? 確かに強引かもね。でも、喧嘩を辞めさせるにはこれが今まで見た限り一番なんだ~。あ。先生、お騒がせしました」


 外に出て私の強引な喧嘩静止方法を見ていたお隣の新藤先生に謝る。


「「先生!?」」


 二人は先生がいたことに気が付いていなかったらしい。


「……仲のいい喧嘩で何よりです」


 ニコニコとしながら答えてくれた。


「小さい時、家でやられてギャン泣きした記憶があるんだよねぇ~」

「檸檬ってお姉ちゃんっぽいけど、めっちゃ喧嘩するって感じじゃなかったから以外かも」

「きょうだいはいないよ? ……確かに。あの時、誰と喧嘩してたんだろ」


 友達と喧嘩して追い出すようなお母さんじゃないし、伊予あたりかな?


「ま、喧嘩も終わったし、ご飯作るよ~」


 そう言って二人を中に入れる。


♢♢♢


 そうして無事にお昼を終え、ケイの部屋に向かう。

 ケイの部屋番号は二〇五。


 ピンポーン


『おッお客人。圭理くんのお友達? 話は聞いてるよ。入ってきていいよ~』


 チャイムを鳴らすと、出てきたのは男の人? 子? ――この年だと微妙だよね。まあ、男性――がすぐに迎えてくれた。


「お邪魔します」

「いらっしゃい。三年相沢だよ」


 迎え入れてくれた先輩があいさつする。


「圭理く~ん。お客人が来たぞ~」

「分かりました」


 奥で圭の声がする。


「あら。圭理のお友達? お友達一号ね。私は二年の七五三掛(しめかけ)よ。珍しいでしょ」

「七五三掛さん……七五三掛重蔵さんって先輩のお爺さまですか?」


 昔、会ったことがある。

 小さい時だったけど。


「あら。祖父をご存じで?」

「とても個性的だったので記憶に残っています」


 他にないほどの特徴をお持ちの元気な方だった。


「あら。今度祖父に会うからあなたの事を話そうかしら。お名前を教えてもらっても?」

「私の名より、〝狐坂の姪〟と伝えていただいたら分かりやすいと思います」


 あの場には〝狐月檸檬〟よりかは〝狐坂社長の姪〟としていたからなぁ……。


「あらそう? 分かったわ」

「七五三掛先輩。そろそろいいですか?」

「あら。ごめんなさい。檸檬ちゃんとは話が合いそうだわ。今度話しましょう?」

「……分かりました。楽しみにしてます」


 社交辞令?

 微妙だなぁ……。


 この年でそんなに使うものじゃないけど、七五三掛さんは立場は上の方だからなぁ。


「この部屋には絶対に入らないでください。絶対に」


 ケイが釘を刺して言う。

 その後はちゃんと会議して決めた。


 結論としては明日の夜に動くことになった。

 私一人の問題だから蓮と伊予を連れていくのは申し訳ない、と伝えたけど、安全のためと一人で行かせるのは許してくれなかった。


 んだけど……私以外の五人で必需品を買いに行かせたんだけど……。

 迷子になったらしく。


 ちょうど話し合いも終わったから迎えに行く。

 ちなみに連絡されたのはテレビの横にあった共通スマホ。


「まあ、生き物なんだから失敗することはあるか」


 深く息を吸う。


 みんなの匂いがすれば簡単なんだけどね~…。


 十分ぐらい探していると、かすかにみんなが通ったのか匂いが残っている。


「よし。あとはこれをたどれば……いた」

「檸檬さま!」


 いち早く私を見つけた蓮が私を呼ぶ。


「檸檬、よく見つけられたな」

「そりゃ二十分も走り続けたら」


 ずっと走ってたよ…。


「すみません。葵さんがどっか行ってしまうと思っていたら周りを見るのをおこたってしまいました……」

「生き物なんだから間違いはあるよ。葵を見失わないだけで上等! ありがとう一花」


 いつの間にか葵の世話係が一花みたいになってる。

 葵本人はスマホ見てるし……。


「よぉ~しッ!」


 と思ったらいきなり歩き出すし。


「こっちがお家な気がする! 行こう!」


 あってるけど、動きが読めないなぁ……。

なぜ七五三掛という名字にしたのかは覚えていません。

しかも、これから登場するかどうかは分かりません。


翆「妹にパソコンを取られ続け、この時間になりました!(現在二十一時半前)」

小「は? お前、学校行っている時間とかはいいとして、その前に時間あっただろ。朝食後、約一時間半」

翆「それは! 趣味の! 漫画漁りの時間に! 使わせなさいよ!」

小「朝と日が暮れてからしばらく経つの。どちらのがいいと思う?」

翆「どちらとも言い難い」

小「……確かに正解は分からんな」

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