32 無事終わっても、油断ならない!
アイカちゃんの方は先にイイチくんが向かった。
私は三浦くんが持って来てくれた車いすに辻村さんを苦戦しながら乗せ、遅れてやってきた。
イイチくんが行ってすぐ、敵方は片付いていた。
アイカちゃん、怖すぎるんですけど。
「アイカちゃん、お疲れ~」
で辻村さんを運びながらアイカちゃんに近づく。
ちなみに私の髪は綺麗に隠す暇はなかったので、髪を下ろした状態で地毛が隠れるように赤い髪で隠しつつ後ろで低い位置にお団子で一つにまとめている。
「あ~~~~僕、何の役にも立たなかったぁ~~~~~~」
隅の方で悔恨の情に打ち砕かれる三浦くん。
「……辻村さんの仲で私達と三浦くんはどっちの方が先輩っぽいですか?」
「う~ん、実際の年齢的には多分怪盗RIKE全員の方が年下かな? でも、アルちゃん達同期と三浦くんだったらアルちゃん達のが先輩っぽいかも」
だからその勘、怖いんですけど。
「三浦くんっていくつ?」
「二十……二? 誕生日はまだだったし、たぶん二十二だよ」
「誕生日覚えてるんですか。じゃあ私は二十三? 私はなんとなく四月生まれっぽいし、ああ、それじゃあ同期ですね。貴方と同い年では絶対なさそうなんで」
立場の設定を考えたところで、辻村さんを置いて三浦くんに近づく。
「みっうらく~ん!」
「有田さん……どうせボロボロにこの後言われるんだ、辻村先輩のもとにいながら何にもできない役立たずって言われるんだ」
おお、かなりネガティブ。
「お疲れ~いきなり私ら首突っ込んでごめんね~」
隣に座る。
三浦くんみたいに機械室に向かってしゃがむんじゃなくて背を向けてはいるけど。
「いえ、先輩は実は怪我してたし、僕一人じゃ何もできなかったので」
「あぁ……多分二人とも撃たれて死んでたかもね」
「ですよね……」
「敬語はなし。ほんっとあのアホバカパイセン、骨折したまま仕事続けるとか、射殺希望者かよ」
死にたくないとは言ってたからそんなことはないと思うけど。
「パイセンは私にとって先輩だけど、いつも見てあげられるほど近いところにいないし、これから療養に入るって言ってるけど、また無茶するかもだし、三浦くんが見てあげてね」
「……」
「前線に出てなくてもそのあとの始末だって十分お仕事! 正しく記録してね。未来に記述を残すことはその場にいたんだからできるでしょ? タイミング見計らってただけかもしれないけど、こっちの状況は理解してんだから」
「有田さん……」
「あと、私らマジでよそさまのとこの仕事盗んでるからこの後のことはマジで三浦くんにしかできない」
三浦くんの方を掴んで立ち上がり少し前に進む。
「後は任せたぞ、少年!」
そこまで言ったら振り返って言ってみたかったんだよねこういうセリフ、と照れながら言う。
三浦くんは目に涙をためながら敬礼をして「了解!」と言った。
『もうすぐ救急車が到着する。早くおりたほうがいいと思うぞ』
「……パイセン! イヤホン返してください」
いまさらながら辻村さんの謎行動を思い出し、絶対何事もなかったと言わんばかりの顔で返却を促す。
「ああごめんね」
耳から外し、返してもらう。
「もうすぐ救急車が到着するとか。三浦くんと一緒に降りてください」
屋上につながるエレベーターは小さい四人用で全員が一気に降りることは無理だ。
「ええ~本当に救急車呼んだの?」
「個人で行ってもらってもいいですが、その方が確実なので」
「ま~確かに? ……三浦くんには状況説明のために残っててもらいたいし、アルちゃん下まで送ってよ!」
もうすぐ応援が来るんですね、遅いですけど、それなら早く帰りたいな。
一瞬、別に残るのが三浦くんじゃなくても、と思ったが私たちは刑事ではないし、絶対「誰?」ってなるやつだ。
「ん~と、なぜ私が?」
「アルちゃん、さっき倒れたんだよ?」
「あ~、あ~? あ~。そういえばそんなこともありましたね」
「忘れてる……僕と一緒にとは言わないから病院行こうね?」
本当に寝れば治るんだけど……。
「これじゃあクリスマスの時と立場が逆ですね」
確かにいつここの人たちが起きて襲い掛かってくるかわからない。
三浦くんを一人にするわけにはいかないが、上がってきたタイミングで下に降りるまでは見張っておきたい。
それに応援が来ると聞いたイイチくんとアイカちゃんはすでに逃げている。
それはKが起き上がらないと判断したからなんだろうけど、もしもということがある。
「何もしないですか?」
エレベーターって密室ですからね。
逃げられませんからね。
「さっきも言ったけど、さっきみたいなことはしないよ」
「……今回だけですからね」
三浦くんに辻村さんを下まで送ると伝えて車いすを押す。
「エレベーター、上がってきてますし私たちと入れ替えになりますよね」
「そうだと思うよ」
意を反して敵の増援……などではなくちゃんと辻村さんたちの仲間だった。
「お疲れ様で~す」
軽~く挨拶をしつつサッと入り「閉」をすぐ押す。
エレベーターが十五階下に行き、一階まで行くエレベーターに乗り換えてすぐ。
私は壁に寄り掛かった。
「大丈夫? 車いす、代わりに座る?」
「お言葉に甘えて……」
「そこは断るところだよ?」
「こういうところは傲慢に行け、と」
そんなのだれからも教わってないけど。
「日本人として一回断らなきゃ。というか、冗談だから」
「んなこた知ってますよ」
「……ん」
辻村さんは私のほうに右手を伸ばしてきた。
「それ痛くないんですか?」
「痛いよ。なでなでしてあげるからちょっとかがんで?」
「子ども扱い……?」
「おばさん扱いするなって言ってたのに」
「極端……」
まあでも、たまには言うこと聞いてやるか。
辻村さんの前に行き、片膝をつく。
「頭撫でたら取れるからやめてって一回断られたのに、そこそこの重さがのっかっても取れないって、どういうことなの?」
なんでこんなに強度が高いのかは知りません。
Kの改造だと思っています。
そういえば、改良しといたとは言われたような気もするけど、こんなに変わります?
「ほ~んと……」
そこでだった。
私のウイッグはあっさりととられた。
「綺麗だな~」
私の髪色が金髪からプラチナに戻ったのは妖力不足と、理由は分からないけど一気に回復したから、そのことに体が耐えられなかったことが原因だと思う。
でも今は妖力が落ち着いて、戻すように働きかけているから、元の髪色に戻ってもいいと思っていたんだけど、プラチナのまま……というかさっき思った通りいつもより少し明るい。
「何もしないって――」「さっきみたいなことはしない、とは言ったけどね」
あ~もうやられた!
サラッと結んでた髪はほどかれてるし!
「二度と私の頭に触らないでください!」
ウイッグを回収し、さっきみたいな結び方に戻す。
「もうやらないから~! ごめんね?」
もう拗ねちゃったもんね!
『映像はすり替えといたから……』
Kの言葉を聞いて感謝しかない。
この世から抹消しろ。
その後は一階まで下りて、外に居た救急車まで運び、受け渡す。
「本当に一緒に行かなくて大丈夫?」
「セリフが逆! 大丈夫ですって! 疲労と生理が被っただけなんで! 帰ったら寝ます」
もちろん嘘である。
「ちゃんと帰ったら寝てね?」
「寝ます! も~さっさと行ってください!」
あの心配性、自分に働かせなさいよ。
「じゃあ、すみません。あとはおねがいします」
救急隊員の方たちにそう言ってからその場を去る。
この後はケイと入れ替わり、私の妖力が残っている言い訳をしにいく。
ちなみに、慶太さんの行方不明の話を聞いて心配になったから幻術で作った者を送ったと言い訳する。
これなら残っていても問題ない。
妖の方いらっしゃるかな。
まずはケイと合流しないと。
夏バテせずに、通常運転☆
翆「夏ッ!」小「休ッ!」霧「みッ!」
翆「こんにちは、ハロー、アロハ、ニーハオハオ(?)、夏休みで早速山&花火を体験して来た翆ちゃんです」
小「こちとらしがない学生ちゃん。家族で出かける事すらあるのだよっ」
霧「久しぶり、覚えてる~?」
翆「そこが十度ぐらい涼しくて涼しくて。長袖持って行けばよかった~ってぐらい」
小「まあ、欠席者がいたけど、初・型抜きをしてきました。推しの上司(?)の弟君がはまっていたのも分かるわ~」
霧「たぶん九話の後書き翆雨を回収して以来? なんて酷い仕打ち……って、全員同時にはなさなくてもいいんだよ! 話題バラバラだし!」




