おふざけ編1
こんにちは!
ここまで来ておいて私のことを知らないとはいわせないぞ?
翠ちゃんこと翆雨ユイカです!
なんと本日は七月七日、だったはず。
……七夕ですね〜!(遅れたことは無視)
本編でも言いましたが、檸檬の従兄の碧の誕生日!
というわけで、おまけを載せに来ました〜!
いやー本編じゃないから年齢は上がらないけど、嬉しい日ですね。
七夕当日から一週間ぐらい前からなにするか考えてたんですけど、夏は夏らしく、海に行かせようと思いまして!(時期的には早いよ?)
とどーんと沖縄に送りますね〜!
それじゃ、本編、どーぞー!
「……ここは?」
目が覚めると、おそらくホテルのロビーのソファに寝転んでいた。
「オハヨッ!」
「わあっッ! ごめんなさいごめんなさい! お膝なんか借りて!」
見知らぬ子の膝を枕にして眠ってしまっていた。
白髪白眼で、辻村さんのように銀髪もそうだけど、この世界であまり見ない。
「気にしないで~? あと、ここは沖縄だよっ?」
「おきなわ……なぜ!? ……なぜにッ!?」
「あなたのお誕生日だから」
「私のお誕生日。ああ、お祝いしてくれるんですね。私達、初めましてではなくて? お気持ちだけで十分です。と言うか、今日、私の誕生日じゃないはずなんですけど?」
「私の世界じゃ七夕なの! 夏っぽいことしてね?」
「一人で何をすればいいと」
と言うか、土砂降りですけど?
七夕なのに土砂降りで、沖縄は梅雨明けしたのに土砂降りですけど?
「ひとり……え、あ、一人!? ……蓮、置いて来ちゃった……?」
なぜ蓮の名前が?
「どうしよ、今から来たって時間無いし……作者の権限でワープさせる? でも、今起きてるよな~さすがにそれは無理だよね~……」
「何が……? というか、どうやって沖縄に?」
「企業秘密ッ! じゃ、私は碧の方を見てくるから……ハッ、碧の方も忘れてた!」
「碧? どうして碧の名前が……? ……私が誕生日なら碧もか」
従兄の碧とは年齢が一つ違い。
なのに、誕生日は一緒という地味にすごい確率。
「碧はどこに飛ばされてるの?」
「え~とね、シベリア!」
「……なんで??? 本当になんで??? 夏らしいことをしてほしいから沖縄に飛ばされるのは、百歩以上譲ってもまだわかる。なんでシベリア?」
「パッと出てきたの! シベリアに行かせなさいって」
適当~すっごい適当~!
「で? あなたは誰?」
「私は翠ちゃんだよ! 翠ちゃんじゃないから注意して? たまにあなたたちの世界に現れる妖精さん! おいルビさん?」
普通の人間?
いや、無理がある……。
「……夏らしいことをしたら帰してくれるの?」
「もちろん! 外は土砂降りだから短冊でも飾ってね♡ じゃ、夕方には迎えに来るよ~!」
「沖縄まで飛ばす」とか「シベリアまで送る」とか言ってたからテレポートとかでスッと姿がなくなることを予想したけれど、普通に足で歩いて帰っていった。
「誕生日、か」
近くの柱の横にある笹に近づく。
「……今日が誕生日じゃないのに、翠ちゃんの世界では七夕。翠ちゃんが誕生日と認識しているなら私は何歳になるんだ?」
そんな答えの帰ってくることのない疑問を出すと、一つの短冊に目が行った。
『多分だけど、四、五歳じゃないかな~。檸檬を生み出したときって記憶になくてさ~☆ この作品ができた日が七月七日じゃないと思うから正確じゃないけどね~。 翠ちゃん』
短冊から話しかけてきた!?
なに、エスパー!?
隣の短冊を見ると
『違うよ~、さっきばらされちゃったけど、しがない人間の青少年☆ 翠ちゃん』
う~ん、年齢は非公開なんだ。
きちんと定義があるわけじゃないし、幅広いな。
いや、受け入れちゃったけど、本当にエスパーとかじゃないんだね?
じゃあ、何も思わずにほかの短冊見てみたらどうなるんだろう。
『お金ください 翠ちゃん』
『漫画買いたいのでお金が欲しいです 翠ちゃん』
『小説買いたいのでお金をお恵みください 翠ちゃん』
『本棚が埋まりそうなので本棚をください 翠ちゃん』
『お腹いっぱいご飯を食べたいです 伊予』
『恋愛がうまくいきますように 翠ちゃん』
『好きな人と両想いでありますように 翠ちゃん』
『誠雅さんと再会できますように』
『勉強ダルいので地頭を良くしてください 翠ちゃん』
『推しさまがいつまでも私の耳を癒し続け、初見向けではない動画でできるだけ同担を増やさないで、可愛く、たまにカッコいい姿を見せ続けて、でも活動をやめたりしないで健康的な生活ができるように、夜中に重いものを食べないように、たまにやるウケ狙いのアホさや、ゆっくりでしか見られないない作業厨が生声で見たいです。グッズ出してほしいです。愛重いって言われちゃうかもしれないし、リアコじゃないけど、彼に恋人がいませんように。いつまでも元気で再来年のアラサーを迎え入れられますように 翠ちゃん』
欲望まみれだ……。
というか、伊予のが紛れてるし、未公開のお話の人の短冊もあるし、最後怖い……。
(ネタ強めだから、気にしないでね? リアコじゃないよ? By翆ちゃん)
……じゃあこの語り掛け短冊はどうやってるの?
『企業秘密だよ~。あ、そろそろ移動してくんない? お部屋、最上階とってあるから。 翠ちゃん』
要求出してきた。
まあ、ここにいてもすることないし、最上階行きますか……。
♢♢♢
ポケットにちゃんとカードキーが入っていて、最上階の部屋に入れた。
「ご丁寧に笹と短冊が用意されてますね……」
短冊で語り掛ける予定がないのか笹には何も掛かっていなかった。
「なに書こうかな……」
しばらく悩んだ後『周りのみんながいつまでも元気でいられますように』と書いた。
短冊を飾ろうとしたらなかったはずの短冊があった。
『私と違って満点だね。えらいえらい 翠ちゃん』
「だからどうなってるの。企業秘密でしょ? 疑問を口に出すぐらいいいじゃない」
『わかってるぅ! 翆ちゃん』
「夏っぽいことか~……シーサーでも作りに行くか? 予約なしでも行けるとこある?」
『私はOKから始まるやつとか、アレから始まるやつで呼び出せるAIたちではないよ? 夏っぽさがあれば予約が必要でも私がねじ込むからどんどん行きな?( ¯﹀¯ )どや 翆ちゃん あ、裏見て』
いや、似てるじゃん。
にしても顔文字とか、めっちゃ可愛い。
裏?
今出てきた短冊の裏を見ると。
『せやねん。うち、バリめんこいねん』
前言撤回。
一回否定されたけど、エスパーじゃん。
「似非関西弁やめとき~? 私も出身は大阪やかんな?」
『知ってるよ~。私、皆のママだもん。 翆ちゃん』
「……もうツッコみません。夏っぽさ? かき氷とか食べるか。翆ちゃん。おすすめの場所は?」
『だ~か~らあ! 私はどこぞやのAIじゃないの! んで、おすすめの場所だけど、ここの一階だよっ 翆ちゃん』
「切り替え早。一階でやってるの? じゃあ行ってくるね~」
一回こっちに来た意味は?
部屋を出ようとしたあたりで『短冊見ろお!』と言う声が脳内に響いた。
「直接語り掛けた方がいいと思うんですけど」
戻って短冊を見ると『それだと現実離れし過ぎちゃうでしょ(# `꒳´ )』とあった。
とっくに現実離れしてますよ~。
あと見ていない短冊を探してみると一つあった。
『奥にあるキャリーケースの中から好きにおめかししてね? 翆ちゃん』
『顔で語らないの』という新しい短冊は無視して、指示に従う。
そんな顔してないよね?
奥を見ると五台もキャリーケースがあった。
一個目を開けると服とメイク道具がびっしり。
めんどくさいのでこれだけでパッと決めた。
朝顔模様のワンピースでメイクもナチュラルに。
『髪巻いて? 赤いキャリーケースにアイロンあるよ?』という要求が来たので、髪型はツインハーフアップに軽めに巻くことにした。
こんなに準備して下に何があると。
「このまま行ってもいい?」
『バッチリ! 行ってら~ 翆ちゃん』
♢♢♢
一階に着いたところで、私は知っている匂いを見つけた。
無理そうな雰囲気出しといて、やったなお前。
念のため笹に近づくと、最初に目についた短冊には
『ちょっと強引にやっちゃった(´>∂`) 翆ちゃん』
とあった。
最初の独り言を聞く限り、相手が寝ていないと無理なようだ。
その匂いの元に行くと、蓮がいた。
おしゃれなカフェのカウンター席の一番端に寝ていた。
蓮は仕組みが分からないけど、結構アホ毛が動く。
気を張ってたり、学校モードに入ると消えるんだけど、寝ているときはぷらーんと下に垂れているようだ。
隣に座り、寝顔をジーッと眺める。
「れ~ん?」
そう呼んでみるけど、反応なし。
私の声を聞いたら飛び起きるかと思ったけど、これは薬盛られてますな。
怪盗なのに、不用心なんだから。
「お待たせしました、空色ラムネ氷とヤギさん苺かき氷です。あら、寝たままですね」
「まだ頼んでな……スッ! い、ちゃん。碧の方は大丈夫なの?」
「分身してきました」
そう言いながら、人差し指と中指を立ててシーとするかのようにウインクをしながら忍者のようなポーズをした。
どっからどう見ても男性で背が高く、低いところで髪の毛を一つに結んでいる。
「なんで男性に……? こっちが元の姿で、女子になるのが趣味だとか……?」
「生憎そんな変態は受け付けておりません。あっちが元の姿ですよ」
「じゃあなんで男性に……?」
「イケメンとは、なって損はないのです」
「なるほど……? ごめん、言ってみたけど理解できなかった」
「でも、居て損はないでしょ? ほら、そこの蓮とか、か~うわい~……」
乗り出して蓮のほっぺをムニムニする翆ちゃん。
「翆月く~んね~? お休み中のお客さまに触らんけ~よ?」
女性店員さんが翆ちゃんに話しかけに来た。
「すみません、先輩! 檸檬ちゃんたち、知り合いで……」
「……わかったさ~、二人の接客よろしくね~」
「……本当にバイトしてるの?」
「ねじ込んだ」
「ありなの?」
「ありだからやってる。さ~て、蓮を起こさないとね~」
そう言いながらスマホを連射して蓮の寝顔をスマホに収めている。
蓮の耳元に口を近づけ「大変、警察が外に!」と小声で言った。
「……」
「起~き~ない」
うんともすんとも言わなかった。
「さっきから思ってたけど、不用心過ぎない?」
「それは思った」
「これがきちんとしたギャグならアホ毛を掴むと起きるとかいう設定にしたんだけど、無理か~」
ギャグ?
何の話をしているのか分からないけど、もう無視だ。
「え、これ効き目が切れるまでどうしようもない?」
「……よくあるキスすれば起きるとか、チャレンジしてみる?」
「無理でしょ」
「うん、無理。じゃあ、かき氷口に突っ込むか~。口開けといて……やっぱ口開けとくから、冷たいの突っ込んで」
「わかった……」
翆ちゃんは右手で顎を押さえ、かき氷を蓮の口に入れるところを写真に収めていた。
「……」
口に冷たいものが入ったにも関わらず、蓮はもぐもぐとして、飲み込んだ。
これ、起きてない?
「なんと強い子……!」
そう言うんだから起きていないのだろう。
「……よし、何してもありだな……?」
翆ちゃんはヒュッとしゃがんで姿が見えなくなったと思ったら、私達の後ろからとてとてとて、と歩いてきた。
今度の見た目は四歳ぐらいの女児だ。
「だっこ~!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる翆ちゃん。
持ち上げると、靴を抱っこ中にペッと脱いで、蓮の方に飛び乗る。
筋力の関係で苦労していたけど、蓮の上半身を少し起こし、間に入り、蓮の膝に座っている状態だ。
……蓮が翆ちゃんに寄りかかってはいるが。
「おもた~。なんかおんぶしてるみたい。あ、檸檬、食べなよかき氷。ここは涼しいけど、溶けちゃうよ?」
「う、うん」
私が青いソーダ味のかき氷を食べ始めると、満足したようなにこやかな笑顔でこっちを見ていた。
そして、優しく蓮の頭をぽんぽんと撫でている。
「おいし?」
「美味しいよ。……なんでこの味なの? 私の名前からとってレモン味のかき氷とかじゃなくて……」
「ん~? ん~、狐さんは柑橘類苦手だけど、かといって、檸檬が柑橘を食べられないわけじゃないし~、一番好きな味というわけでもない。けれど、檸檬はそっちでしょ? 後、単純に夏っぽい」
「確かに。一番夏っぽいかも。蓮はなんで?」
「苺はド定番だから。あと、蓮はかき氷の中で苺が一番好き」
「そうなんだ」
「――――――じゃったのに……」
何か言ったのに聞こえなかった。
「何か盛った?」
「ヒトナ~ル」
妖としての能力が人間並みに脆くなる薬だ。
「『じゃ』ってなによ『じゃ』って」
「最近読みかえしている漫画の登場人物が広島の人でね」
「そうはならないでしょ。なんで盛ったの?」
「今みたいにうっかり口を滑らしそうになるからね。翆ちゃんはドジなのだよ」
全く、さっきまでの子どもっぽさはどこに行ったんでしょう。
見た目に対する年相応の顔をしてほしいよ。
「さあて、そろそろ、耳に水でも入れてやろうかしら」
「眠らせたのはあなたでしょ!」
「……それもそうだ。お持ち帰りしちゃお~」
一瞬の瞬きの内に、幼女の姿からさっきの男性の姿に変わり、蓮をおんぶして立ち上がる。
「どこ行くの!?」
「ベッド♡」
「はああ!?」
そう一言残して翆ちゃんは去ってしまった。
お店の人に悪いので、かき氷を口にかき込んだ。冷たい!
蓮のかき氷はどうしようかと思ったけど、なくなっていた。
翆ちゃんが持って行ったのかもしれない。
「どこ行ったのよ……!」
ヒントがあるかもしれないと、短冊を見ると「お部屋においで~ 翆ちゃん」と書いてあった。
最上階の部屋にはベットに寝かされている蓮とその隣に汗だくの翆ちゃんが。
「階段……キツ……」
「なぜ階段……」
「お相撲さんの……大群が……エレベーター……占領して…………ハアッ⤴、重量オーバーで……乗れなかった……体力は上がらなかった……」
エレベーター八台ぐらいあったはずだけど、どういう状況!?
「待てばいいのに……何階分登ったの?」
「一階分……」
「ミジンコ体力!」
「あ~そろそろ時間だ。檸檬たち帰らないと」
「本当に何もしてないよ、私! 蓮に関してはただ寝てるだけ」
「まあ、私が満足すればいいんだから」
いつの間にか最初の翆ちゃんの姿に戻っていた。
「ジューブンだよ、付き合わせてごめんね?」
「気にしてないよ。それにしても本体(?)がこっち来て大丈夫なの?」
「あ~……ハハ、碧の方、速攻で『帰せ』って言われて、意地になって止めてたら『じゃあ、これ誕プレでもらう、終わり、帰せ』で近くに売ってたクワスだけ取ってって、帰った」
「碧らしいね……」
「じゃあ、おやすみ。起きたらお家だよ。蓮のかき氷はまあ、狐宮家の冷凍庫にでも入れておくから、食べといてって言っといて」
「わかった」
私はソファに寝転がり、目をつむる。
「ゆ~うひが出てきてお別れだ~ や~あがで沈み、皆静む~ きょ~うはど~んな日~でした? 静かにお休み、ま~たらいしゅ~」
オリジナルの子守歌だろうか。
だんだんと眠気が襲ってきた。
もう、意識がなくなりかけたところで「……起きたら私のこと忘れてるから。また遊びに行くね~」と翆ちゃんの声が聞こえた。
「ッハ!」
起きると夕方だった。
どうやら私は昼寝をしていたようだ。
「ずいぶん長いことねてたわよ? 熱でもあるの?」
ちょうど蜜柑さんが部屋にいた。
「熱はないと思います。疲れてたかな?」
何の夢を見ていたかは何も思い出せない。
「そう? ならよかった。もうすぐご飯だから降りてきてね」
「ありがとうございます」
蜜柑さんが部屋を出て、私はなぜか蓮に電話をかけた。
言うべき様なことがあった気がしたからだ。
「もしもし? 何もなかったらごめんだけど、冷凍庫覗いといて。苺のかき氷あればそれ、蓮のだから」
自分でもこう言った理由は分からなかった。
私のおふざけに付き合ってくれてありがとうございます!
マジ話言うと、檸檬さん本当は主人公じゃなかったんだよ。
主人公たちは別にいて、そこに割り込んでくる何でも知っている謎人間。
いずれ圭理になる子がい―――――ッくら調べても出てこないチョーミステリーっていう設定。
年齢ももっと上だったかも。成人したてぐらいとか。
初登場は雨の中だったよ。
あらわれる前、いずれ伊予になる子がすっごいざわざわしてた気がする。
やっと書き終えた。
最後に、子守歌、特に深い意味は無いよ。




