25 KはKで苦戦中
ほぼ本編と関係ないかも、そう思ってしまったが、意外と物語の関係性で必要(&気に入ってしまった)なので消したくないという意地で出来上がった二十五話である。
「……三浦さんは二手に分かれる必要あったと思いますか?」
アイカがこの中で唯一刑事の三浦に聞く。
「え?」
前を歩いていた三浦は振り返りながら間抜けな声を出した。
「あ、僕もアイカちゃんに同感でしゅ」
噛むのはイイチのキャラ付けのためわざとではある。
が、毎回恥ずかしがっているのはさすがに、めんどくさい。
「外で二手に分かりぇるのは分かりましゅけど、外と中で別れるって言うのは……せめて中と外で一対四にすべきだと思いみゃす」
Kが何も言わないとはいえ、今回はKが気軽に口出しできるわけじゃない。
三浦が刑事の能力のレベルがどれくらいは分からない。
正直、三浦一人に中を確認させて、範囲の広い外を四人で散って探した方が早い。
「う~ん、僕も外に逃走する可能性のが高いと思ってるから、中を探すのは二人も要らないかなって思ってる。だけど、上司命令だからね。よっぽど危険性があるわけでもないし、犯人からご両親に連絡がいかないのはこれはこれでマズいけど、あの人妙に勘いいし、危険性はないと判断した。なら僕は従うだけかな」
確かにアイツの勘は飛びぬけてすごいけど、ここまで信頼できるものか?
「ここまで信頼するのは自分でもおかしいと思うけど、従わなかったら逆に危うくなることが何度もあったからね。結果論だけど、出来るだけ従うようにしてるんだ」
三浦は、変な人だよね~、と言いながら前を向きなおした。
「何を食べたらあそこまで変わり者になれるんでしょうね」
普段の伊予とは違ってかなりの毒舌キャラのアイカ。
伊予には演技の才能があったのかもしれない。
伊予は確かに覚えたら割といい演技をする。
それまでの覚えが悪いというか。
そこまで伊予の演技の練習を見ているわけではないが、飲み込むまでが遅い。
そう感じている。
勉強の面もそうなんだろうな。
人より何度も繰り返さないと覚えられない。
それだけ勉強を楽しい、好きと思わないとただの苦痛だろうけど。
「あ」
「なにッ――」
ゴッという鈍い音がした。
三浦が電柱に頭を打ったのだ。
「危ないですよ……」
「アイカちゃん、ちょっと遅かっちゃね……」
「すみません」
「山田さんのせいじゃないから気にしないで……」
山田さん?
あ、そういえばアイカの名字は山田だったな。
♢(視点:K)
慶太はどこにいる? 外か、中か。
俺が犯人側なら中に籠るなんて選択肢は取らないが、一回いないと判断されたらもう手薄になるならここにこもる可能性だってある。
実際調べる限りでは冗談抜きに大体半々だ。
歩き続け誰かを探しているふりをしなきゃいけない上に仕える機器がスマホしかない。
むやみに指示を出せるわけじゃないし、
――かなりきつい。
中と外に別れられたのは正直どちらでもいい。
だが、辻村の勘がどちらを指しているのか分からない。
刑事である辻村と三浦が二手に分かれるまではいい。
だが、辻村に付くのがアル……里緒奈一人にする意図が読めない。
……人の感情や行動というのは分からない。
どうしても心理学的な動きだけしか判断できない。
それも重要ではあるが、ただ癖づいているという可能性もあるし、相手が蓮のように心理学について知っていればすぐ隠される。
分からないくせに、言動や行動の意味を考えるのに理解をしようとしてしまう。
意味もなく動く人がいることはわかっていても答えがないと不安になる。
こんなこと考えている暇はないと言い聞かせても頭の片隅では同じ問いを自分に問い続ける。
大きく改造していない檸檬の髪色そっくりなウイッグが取れてしまうかもしれないからやらないが、頭を抱えて悩みたくて仕方ない。
無駄なことも考えながらスマホを眺め続けていたうえに他人の、しかも少しサイズの小さい靴を履いているからだろう。
俺は自分の足を自分の足でひっかけてしまった。
「あっ」
今こけたら注目を浴びる。
……なるべくそれは避けたかったんだがな。
それでも伊予のように静かに体勢を整える体感など持ち合わせていない。
――潔くこけるか……。
そうあきらめた時、右手を掴まれ、グッと手を引っ張られた。
引っ張られ、反対側に倒れこむ勢いだったが、そのまま誰かの腕の中に包まれた。
「大丈夫ですかお嬢さん」
助けていただいた人はそんなに甘くない芸能界でもやっていけそうな顔立ちの男性だった。
一瞬お嬢さん呼びに疑問を持ちそうになったが檸檬だったことをすぐ思い出した。
「あ、ありがとうございます……」
檸檬の声にしてお礼を伝える。
「礼には及びません。歩きスマホは危険ですよ」
ウインクを飛ばしてくる。
本当にこんな奴いるんだなぁ……。
檸檬は恋愛に疎いと前に言ったが、俺もなかなか言える立場ではないと思う。
そんな檸檬でもキュンとするのだろうか。
とりあえず、母さんの持っていた少女漫画を参考に照れる動きをする。
いや別に、読みたかったわけではないが、母さんに語る相手がいないので読まされたというか。
(柚は漫画、アニメに疎い、伊予は少女漫画系統苦手)
そして、檸檬でもキュンとするのだろうかという問いにはたぶんないだろうな、という答えが出た。
何となくではあるが、タイプというか正統が違う気がする。
さっきも言った通り、俺も恋愛には疎いタイプで、フィクションの知識で、わかっているが完璧偏見だけでいうなら、檸檬は誰よりも檸檬を理解している成績優秀の眼鏡(生徒会長タイプ)か、陰キャ気味で人付き合いは苦手な動物好きタイプか、檸檬みたいに身分が高いわけでもない一般人orもしくは社長秘書の息子(=昴か晃)の時に子どもっぽいところを見せる年上タイプだと思っている。
こういうのは母さんに聞くのが一番楽なんだがな。
一瞬どうでもいいようなことが頭によぎったが、助けてもらった人から、一緒にお茶でもどうですか? と誘われ、現実世界に引き戻された。
「ごめんなさい、急いでいるので……」
檸檬ならこう断るだろうという俺なりの檸檬の解釈の中でお断りする。
「……じゃあ、三十秒だけ」
そういって手を引かれ、近くのベンチに座らされた。
靴と靴下を脱がされ、足を観察された。
あまり見るな、俺は檸檬と双子じゃないんだ、さすがに男だとバレるか……?
(伊予ならいけるかもしれないと思っている人ですか?)
「え……と?」
「失礼、靴と足のサイズが合っていないような気がしたので。無理して靴を履かなくてもいいのですよ?」
確かに無理して靴は履いたけれども。
身長は数センチも変わらなくても男女の差とは大きい。(二人の身長差は現在1㎝差)
足サイズは変わってしまう。
というか、三十秒経った。
早く解放しろ。
「お嬢さん、今から俺と靴を買いに行きませんか?」
これが誰でもないただの変装なら、男の娘と明かして逃げたいが、もしこいつがこの先、檸檬と出会ってしまったら迷惑をかける。
「すみません、時間がないので……またの機会にしてください……」
「じゃあ、連絡先だけ」
檸檬と同じ機種だからカバー変えているだけでスマホは俺のだ。
本気で俺のでいいんだな?
※いたずらっ子になった人(笑)
「LIMEはさすがに……Discorb持ってますか?」
LIMEはアカウントが二つ作れない。お断りだ。
「うんっ、あるよ!」
返信するかどうかといえば多分しないが、アカウントを交換したらすぐ別れた。
ついてこられるより全然いい。
顔写真だけ調べて今日の会話とかを檸檬に伝えとくか。
もし二人でバッタリ会った時のために。面倒くさいな。
『K。慶太くんをさらったと思われる人が多分搬入口の入り口を通ったと思う。辻村さんが外に行くと判断したし、外行くでいいんだよね?』
Rからそう連絡が入った。
「……確かにそうなると外の可能性が上る。外に出てもらって構わない。ただ中に居る可能性があったら戻ってもらう」
『了解』
歩き回らなきゃいけないけど、調べるというのはやはり難しいものだ。
※歩きスマホ、ダメ! 絶対‼※
翆ちゃんの、気まぐれうらかたげきじょ~!
皆さん大好き辻村さん。通称、辻ちゃんですね。
彼は私がこのお話をぼんやりと妄想している超初期から一年半ぐらい存在してなかった方なんですね。
それが「敵いた方がいいんじゃね?」と思い、こうっ、ねじ込んできた子なんです。
今となっては私視点、敵(?)枠ですけど。
そしてこの間メモ程度に一番最初に辻ちゃんを書いたところを読んでみたら、なんか今よりクズでひげ生えてそうなキャラでした。
伝わりますかね、たまにいるじゃないですかぁ~刑事っぽくないクマ付けた髭の髪ボサボサのおじさん!
辻ちゃんは髪ボサボサじゃないし髭も生えてないし、クマもないけど☆
翆「意図的にキャラ付けしているお兄さんキャラっていいですよねぇ~」
小「……(何言ってんのこいつ、という顔)」
翆「中国出身で語尾に『~アル』『ヨ』とかつけて喋ってるけど、本当は流暢に喋れる~とか、カッコよくないっ!?」
小「それだけ?」
翆「うっ……まぁ? イイチくんもそれの中に当てはまるかと?」
小「最初にあげないってことは忘れてたんじゃないの?」
翆「……それだけで悪かったわねっ!」




