23 実は……ケイって会話ができるんです!
圭「タイトルだけど、バカにしてる?」
翆「してないよ(超真剣な真顔)」
圭「……」
「先生。僕たちそろそろ行かなきゃいけないので」
「そうですか。話を聞いてくれてありがとうございます」
戻ると解散する雰囲気になっていたのでミルクティーを飲み干す。
「また新学期に」
「はい」
カフェで解散して伊予と蓮探しの旅に出る。
「ケイってあんなに喋れたんだね」
「……」
バカにしてる? って顔でみられた。
いやいや、普段あんなに喋らないじゃん!
そういうことを顔で語るからそう言われるんだよ?
「さぁ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「……何を?」
隠す必要ある?
「ケイがここに来た理由がよく分かんなかったんだよね~。でも、辻村さんがここに来ていて、慶太さんが一人でフラフラしている」
お客さんを見渡すと早歩きでキョロキョロしている人を見た。
そ~いえば慶太さんのお付きの人だった気もする。
「あの子、何かに巻き込まれるんじゃない?」
辻村さんが呼ばれて間もないうちに慶太さんは私の方に来た。
この――多少強引ではあったが――頂いたブレスレットに多分GPSが入ってると思うんだけど、抜け出したのかな?
「……二人と合流したのち、辻村と合流する。檸檬のそれで記録が残ると厄介だから、俺は檸檬の変装をしてワンダーモールを歩き回っている」
ケイとは身長もそんな変わんないし、ケイの変装技術ならいけるのかも。
「りょーかいです」
ケイと別れ、私は赤髪と赤眼にして着替えはしたけど、私服のまま辻村さんの呼ばれたサービスカウンターに向かう。
「あれ? アルちゃんじゃん!」
早速辻村さんに呼ばれた。
「えっ、亜琉さんですか!?」
近くに後輩くんもいたみたいで、キョロキョロと見渡している。
「あ、僕の姪の亜琉ちゃんじゃないよ? 別人。アルはあだ名。有田里緒奈ちゃん」
うん、改名されました。
「初めまして、三浦です」
「初めまして、有田です。パイセンはどうしてここにいるんっスか?」
三浦さんに似てるなーって言う目線で見られながら辻村さんにそう聞く。
「仕事中だよ」
「仕事中……パイセン。ちょっと一回軽くなので腹パンしてもいいですか?」
私は拳を構える。
「(治ってないから)やめて!」
「……やりませんけど、サラッと嘘をつく癖、やめた方がいいですよ。泥棒の始まりっスから」
キミの台詞じゃないよって顔でみられたけど、私は今、有田里緒菜ですから。
「ア~ル~ちゃ~ん!」
後ろからイイチくんの声が聞こえてきた。
振り返ると私服のイイチくんと伊予が変装した同じく私服の女の子が来た。
「イイチく~ん! アイカちゃ~ん!」
右手をぶんぶんと振って返す。
ちなみにIの名前は今適当につけた。
Rがアル、EがイイチならIがアイカでもいいでしょ。
「大人三人でこんなこと来たの?」
「来ちゃダメなんてルールはないですから! んで、パイセンと三浦……先輩? 後輩? がいるってことは何かあったんですか?」
「あっ、藤森グル――」「勝手に喋らない」
言いかけた三浦くんを辻村さんが止めた。
「今日は休みでここに来ているわけだし、今回の件は僕らの仕事。同じ職業とはいえ、ダメだよ?」
慶太さんに何かあるのか何かあったのか。
やっぱりその辺で間違いないかな。
「……そろそろあたしらも遊びあきたころなんで、働きますよ?」
要は「私たちも混ぜろ」って言っている。
「……わかった。一緒に行こうか。イイチくんたちも」
よしっ。
Kの指示はないけど、辻村さんと行動しろってことであってると思う。
二人がここに来たのはKの指示だろうしね。
「初めまして、巡査の佐藤イイチです」
「同じく巡査の山田です」
「三浦です」
移動しながら今起きていること、私たちがすることを教えてもらった。
私の予想通り、慶太さんがいなくなったうえ、攫われたらしい。
「まだこの施設内にいるって可能性は?」
「防犯カメラ内に映ってないんだよね~。だから最後に映っていた時に接触した中学生たちを探しているんだ」
もしかしてですが、檸檬とケイになりません?
「なぜ、中学生たちってわかるんですか?」
私たちが辻村さんと慶太に接触したことを知らないアイカちゃんが質問する。
知ってるのに知らないふりして鋭い質問するの、ホント難しいから感謝します。
(例えで言うなら人狼をやっているときとか……?)
まあでも、やりすぎると「敵を欺くなら味方から」って言うのをよくやられちゃうんだよね。
「慶太くんが中学生たちに会う前、その子たちと僕が一緒に居たからね」
全員でギョッとした顔になる。
確かに何も知らない人からしたらよく分からん案件だね。
……帰ろうとしなかったのはそのため?
この人以外ならたまたまだと思うんだろうけど、この人ならやりかねないって思っちゃうんだよな……。
そして問題が一つ。
今、慶太さんと接触した狐月檸檬という人物は傍から見たら変装した圭理だ。
Kのことだから顔は知っていると思うし、話しぶりから檸檬と顔見知りだということも分かっていると思う。
でも、接触した私が檸檬として話した方がボロは絶対出ないだろうし、何よりKと別れる理由が思いつかない!
トイレに行ったとかでもいいよ?
でも、長引かれたら困るし。
「あ、パイセン。ちょっとだけ抜けてもいいですか?」
「どうかした?」
「ちょっと連絡だけ……ついでにお手洗いも」
「分かった。また連絡するから、その時に合流しよう」
Kはこちらの様子を確認している。
Kの所に行けば理解してくれるだろう。
でも、今檸檬に戻っていくと檸檬が増えるんだよな~。
二度手間だけど、ケイに変装してカメラの死角とかで交換するか~。
♢♢♢
「あっ、ケイ!」
ケイの変装をしてケイの所に行く。
声も動きも何もかもが私にそっくりでちょっとどころじゃなく怖い。
「……いたか?」
「ぜんっぜん。まだ遊んでるのかな? スマホもつながらないし」
「ワンダーランドの方、覗いてみるか」
「そうだね」
アクティブドームとワンダーランドを繋ぐそこそこ長い渡り廊下。
ここにはカメラが出入り口の所しかないからサッと変装を解く。
無事元に戻れたところであまり時間はかけられないし、二人を探すふりをしながらなんとな~く辻村さん達の方に近づいていく。
「あっ、檸檬ちゃ~ん!」
「……? あ、作本さん!? お仕事は!?」
驚いている私以外にガチで驚いた表情しているアイカちゃん。
今度表情を隠す練習しようか。
「あ……騙しててごめんね。僕、警察官でさ」
チラッと警察手帳を見せられながら小声でそう言われる。
刑事ですよね?
ほんとどこまでも嘘つき。
「本当はクレジットカードの不正を疑われちゃった人の対応に当たってたんだよね」
「そうだったんですか! あ、ならケイの技術で年収一千万も納得……」
お客さんには関係ないレベルで刑事が呼ばれる理由が思いつかなかったか。
別に何か犯罪の疑いのある人がここに来てるでもいいと思うけど、ただの中学生に余計な心配はさせたくないか。
どちらにしろこの人の優しさ、か。
「そうだ。さっき指輪を落としちゃって、取りに戻ったとき小学生ぐらいの男の子がいたけど知り合い?」
そう来たか。
ちなみに、その後また電話が来てあとでにしようと諦めたとつけ足していた。
「はい。慶太さんといって、慶太さんのお父さまがうちの取引相手の方です。年齢は少し離れていますが、仲良くさせてもらっています」
「取引相手?」
「あっ! ……見えないかもしれませんが、私、結構いいとこのお嬢様なんです……」
私って、辻村さんの前で演じる“檸檬”はそうは見えないかもしれない。そう言ってるだけで、結構お嬢様感あるよね!
よね!! (圧)
そ~でもない気がする。
翠「檸檬ってお嬢様感あるよねっ!」
妹「ない(即答)」
付け足しで「ちょっと落ち着いた中学生感はある」とは言っていました。
翠「まあ、檸檬にお嬢様感はないよなぁ……」
小「ほんまにガチでヤバいぐらいにいいところのお嬢様なんだけどな」
翠「語彙力ない?」
小「ないです」
翠「すんなりだね~。そういう時は『筋金入りで由緒正しいお家柄のお嬢様』っていうんだよ」
小「お前だって同レベだろ。その言葉だってAI使って出したくせに」
翠「それはちょっと言ってはならぬ裏話を話したなぁ?」
今回のちょっとした裏話☆
檸檬が圭理を、圭理が檸檬を演じて会話しているシーン、あれどーしても自然にならなかったので、一度檸檬は檸檬、圭理は圭理として書いてから丸パクリして載せたんです。
大して変わらないけど、フリーメモにそのバージョンが残っています。




