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秘知ら陰譚-私が怪盗になって知ったことー  作者: 翠雨 ユイカ
クリスマスは四人の怪盗、それと敵?
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13 睡眠は重大なテキストである

「もともと探していた人がいて、その人を普通に探しても絶対に見つからない気がして。自分のせいでいなくなったのに……」

「詳しく聞かせて?」

「……それで、似たような特徴がいたって情報が入れば、マーキングして」


 そういうと「今思えばやばい奴ですね」と苦笑いしながら蓮は言った。


「体力をつけるためにサッカーをやっていたのに、それがいつの間にかレギュラーなってただけで。そっからずっと探してそこまではただの不法侵入者だったんですが、ある日、明らか不自然に宝石が沢山あるところ行って、不自然すぎて調べたんです。そしたら見事盗品で」


 「あのときは不自然なぐらいビビってましたよ」と言う。


「ほったらかしにしておくのもあれなんで、その盗品持って警察に持っていこうとしたんですけど、このままじゃ完ぺき留置所(りゅうちしょ)いきだなって思って。……それでいつかに読んだ漫画に怪盗の話があって、そのまま真似したら、結構探してたものらしくて。そのまま有名になっちゃったんです。それを(こじ)らせ、放置してるだけです」


 空を見上げながら


「ただの適当に始めた怪盗です」


 とまとめた。


「……適当に始めた、か。でも、今はどう? 適当にやってる?」

「違います。自分なりではありますが、真剣に考えてます」


 嘘偽りないしっかりとした目つきで答えた。


「ならいいんじゃないかな? もちろん、私が決めることじゃないけど、蓮がいいならそれでいい。そしていつか本来の目的も果たせたらいいんじゃないかな」


 ……そう言いながら、


「そうですね」


 いやだと思う自分がいる。


「こういう場合って案外近くにいたりして」


 目的が違うなら、


「そんな夢みたいなことありますかね」


 蓮とは別で活動することになるから。


「フィクションならあり得る。現実は小説より奇なりっていうし?」


 なんてわがままな自分がいる。


「それどころじゃないものが来るかもですね」

「ね~。本ッ当……人生っていうのはこれだからやめられない。そろそろ寒いし、戻ろう?」

「はい!」


♢♢♢


「いいところに! ケーキ食べるよ~」


 戻ると蜜柑さんがケーキを冷蔵庫から出してきているところだった。


「ケーキ!!!」

「都羽くんもうちょっと静かに」


 と、伊予が都羽くんに対して言う。

 ……いつもの自分に言ってほしいわ。


「やだ!」


 伊予から明らかな助けて信号……仕方ない。


「都羽くん上手じゃん!」

「そ……そうか?」

「やればできる子、都羽くん!」

「こんなの簡単なんだな!」


 そういってエッヘンというように腕組をする。


「じゃあ都羽くん。いい子にケーキ食べたらサンタさん来てくれるって」

「や!! ……た~!」

「偉い!」


 かわいい。


♢♢♢


「さあさあお泊り会のだいご味、赤裸々大会のお時間になりましたねぇ……」

「せ……芹那さん? どうかしました?」


 スマホのライトで怪談話をするかのようにしたからライトを当てている。


 クリスマス会はお開きとなり、寝る準備を整った伊予と私の部屋に芹那さんも一緒にいる。


「まずは檸檬から。丸裸にしてしまいましょうねぇ」

「あら奥さん。何から聞く? 今の恋人状況? それとも好きな人? 蓮との関係?」


 二人は何か企んでいる怪しい顔をしていた。


「ちょ……恋人? いないって、いたことない! あ……の方は違うとして、好きな人もいない! 蓮とはただの友達!」

「ちょいちょい奥さん。いま『あ……の方は違うとして』って言いましたよ?」

「ちょいちょい旦那。保育園とかであったんでしょうかねぇ……」

「あ~もうッ! 伊予さん? 芹那さん?」


 駄目だ、何も聞きやしない。


「見苦しい言い訳だよ檸檬! 友達以上なの!」


 なぜ断言できる!


「わたくし見ていましたの。クリスマス会の時最初に蓮さんが抜けて、後に続くように檸檬が抜けたの。帰ってきたときは二人一緒だったわ!」

「はわわわわわわっ! 少女漫画みたいなことって本当にあるのですね!」


 と伊予が言った直後、ガチャという音とともに扉があいた。


「「キャ――――――!!」」


 という二人の甲高い声が部屋に響いた。

 耳が死ぬ。


 扉を開けたのはケイで、うるさかったそうな。


「うる――」


 伊予の投げたティッシュの箱がケイの頭に当たった。

 ちょっと痛そう。


「あ、ごめん。……じゃなくて、ちょっと! 女子会中に何勝手に扉開けてるの!」


 これ、女子会だったんですか?

 私の拷問会じゃないんですか?


「……今日だけだからな」

「ちゃ~んとサンタさんからプレゼント貰ってね? ケイツリー?」


 と伊予が茶化すと「返す」という言葉と共にさっき投げられたティッシュの箱をこちらに投げる音がした。


「いったいなぁ……」


 ティッシュの箱は伊予の頭に当たったみたい。


「本当にお兄ちゃんは夜、機嫌悪いよね~」

「夜……特に朝は怒らせないほうがいい。大変なことになる……フアァ〰〰ッ」

「ッてああ! 檸檬が寝てる!」

「ちょっと横に立ってるだけじゃ~ん(?)」

「横に立つ……?」


 あれ?

 今横に立つって言った?


 どうだったかな。


「檸檬って眠くなるとポンコツになるんだよね~」

「睡眠は重大なテキストである(?)」

「まあ睡眠は重要……テキストはよくわかんないけど」

「世の中、おいしい重要食べた~い(?)……グウッ」

「あ、寝た。檸檬って朝型人間だからな~」

「あ〜あ、ちょっと雰囲気崩れるけど、朝に尋問しましょうか」


 遠い意識の中二人はそんな感じで寝てったような気がする。


♢♢♢


「おはよう二人とも。六時過ぎちゃったよ~」


 私はパジャマから着替えてランニングの服に着替えている。


「お……はよ~ぉ……今何時?」

「六時ぐらい」


 先に起きたのは芹那。


「一緒に走ろ♡」

「……了~解……す」


 芹那さんが着替えたらカーテンと窓を開け、伊予を起こす。


「う~~~~~っさむう~~~~~っ」


 布団を引っぺがし、ほっぺをペチペチする。


「起きますからぁ……」


 そういってやっと起きてくれた。



「いつものコースでいいよね」

「はい! お願いします、師匠!(小声)」

「基本的平坦な道だから。いつもよりゆっくり走るね。距離は約五キロ。途中の公園で休憩をはさみます」

「イエッサー」


 まだ暗い道を走り出す。


 そして、蓮とすれ違う場所……よりはゆっくり走ってたから家側なんだけど、そこで芹那ストップが入った。

 おそらく蓮が来たからだ。


「とったりしないから安心して」


 そう一言残して芹那は蓮のほうに向かった。

 後ろを走っていた伊予はわざわざ私の前に来て耳と視界をふさぐ。


 そういえば蓮に口の形で会話を読み取る技術を教わったし、視界もふさがなきゃ何しゃべっているかわかるのか。

 と冷静に考えていたのである。


 何話してんだろ。


 話し終わったのか伊予が耳をふさいでいた手をどけてくれた。


「蓮、おはよ」

「おは、よう、ござ、います」


 明らかに様子が違う。


「もうちょっと演技頑張ろうよ~(笑) じゃあまた」

「は……い。また」


 蓮と別れた後、芹那に「いつも会ってるの!?」と聞かれた。


「いつも伊予と一緒だし、挨拶ぐらいだよ」

「……まあいいわ。そんなところからよね」


 一体全体何を企んでいらっしゃるのでしょうか……。

 そうして朝ランを再開した。

翆「こんにちは、翆雨です!」

小「ほら帰れ。インフルでまだ外出られないんだろ。熱、ねーのに」

翆「文字だからいいんですぅ~。私、先週の木曜からインフルで元気に最大三十九度台までいってたんですよ! 三十九度の時なんかもう逆に元気になってたと言うか、平熱微熱の時に体力が消えてるって言うか、とにかく今かんでもなくならない鼻水さん達が鼻を塞いで=だんだん口呼吸になる=喉乾燥=喉痛いってことに――」

小「は~い、この公式(?)はテストに出ないので忘れてもらって結構で~す」

翆「出ますっ! 翆雨ちゃんテストに出ますっ!」

小「翆雨ちゃんテストってなんすか?」

翆「……あ~……その名の通り翆雨ちゃんのことをどれだけ理解しているかテストですっ!」

小「一瞬自分でも分かってなかったろ」

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