12 クリスマスパーティーでの再開
「ピンポーン」
「あ、蓮だ」
ご近所さんが集まる時間とは三十分ぐらい早いけど、まあいいか。
「メリークリスマス! いらっしゃい、蓮くん!」
「お招きいただきありがとうございます、鈴木さま」
「あら~さま付けはやめてってさっき言ったばっかでしょ?」
とか言いつつ、まんざらでもなさそうな蜜柑さんの声。
「いらっしゃい、いらっしゃい」
修一さんもお出迎えに行ったみたい。
私はキッチンから出られないからこっちに来てから挨拶しよ~とか思っていると、「エッ、誰?」という蓮の声が聞こえた。
「蓮! 初対面の人に誰はダメでしょ!」
気持ちは分からなくもない……か?
「檸檬さま、何を作っているんですか?」
「ケーキ。甘めと甘さ控えめの二種類」
「え、俺、ケーキ持ってきちゃいました」
「やったぁ!」
単純に喜ぶ伊予。
「そっかぁ……何ケーキ?」
蓮は手に持っていた箱を開ける。
「チョコです」
「まあ、伊予と修一さんと都羽くんがいっぱい食べるから、全然大丈夫よ!」
コップを出しに来た蜜柑さんが大丈夫だと言ってくれる。
「まあ(私がチョコ苦手っていうのもあって)ショートケーキとフルーツケーキしか作らなかったけど、まあいいか」
余らなければ問題ないもんね。
「じゃあ、私たちは着替えて来ないと。蓮、一瞬だけ抜けるね」
そう言って修一さん以外が上に向かった。
修一さんの衣装は下にあったし、下で着替えるそうだ。
♢♢♢
「それでは皆さん、メリークリスマス!」
「「「「メリークリスマス!」」」」
ジュースで乾杯する。
最年少が一気にリンゴジュースを飲み込み、伊予に向かって走り出し、伊予に向かって衝突する。
「種あり蜜柑! 俺と勝負だ!」
「やったな~? こちょこちょ攻撃だ~ッ!」
この子は鈴木宅の隣に住む六歳の都羽くん。
伊予と仲がいいみたい。
今回の参加者は蓮、都羽くんと都羽くんのお母さん。
その他にケイと伊予の友達の太陽さんと芹那さん、都羽くんとは反対側のお隣さんのなつさんと雨季さんの七人。
全員で十二人。
ちょっと狭い。
「元気だなぁ……」
(私にきょうだいがいたらどうなったんだろう。弟とか欲しいなぁ……)
「……檸檬ちゃん、だっけ?」
都羽くんと戯れる伊予を眺めていると、芹那さんに話しかけられた。
彼女は清楚系で艶やかな長い青髪で恋する乙女の瞳をしている。
「あら? 違った?」
「いえ、檸檬です」
「後でいっぱいおしゃべりしようね」
そう言ってたけのこのチョコ菓子を持って来てくれた。
私はどちらかというときのこ派だが、まあたけのこを食べてやらんこともない。
芹那さんは今日は鈴木宅に泊まることになっている。
「はい。楽しみにしてます」
「敬語はやめて。たかが一個年上なだけだから」
「分かった。よろしくね」
「こちらこそ」
芹那さんと話し終わって間もなく、太陽さんに話しかけられた。
「檸檬……ちゃん?」
「あ、はい」
「俺、太陽っていうんだけど……」
「はい。ケイからちょっと聞いています」
太陽さんの耳に口を近づけ、
「確か伊予に気があるんでしたよね」
と言う。
ボンッと顔が赤くなる太陽さん。
「応援してますね」
「ありがとう。……ところでなんだが、あの人って孤宮さんだよな」
蓮を指差して私に聞く。
「そうです……? 知り合いですか?」
「まあ、そんな感じだな」
伊予たちと学校は違うらしいから蓮とも違うだろうし、どこで知り合ったんだろ~とか考えていると、蓮がこっちに来た。
「檸檬さま、あのケーキめっちゃおいしいですね!」
「ありがとう。この方、太陽さんっていうんだけど、知ってる?」
「エッ……アッ……ヒヒッ……人違いでは?」
演技下手すぎ!?
突然の演技は苦手なのかな……。
「やっぱ孤宮先輩ですよね! 俺、太陽です! 覚えてますか!?」
すると太陽さんは「蓮先輩は俺の所属するサッカーチームの元レギュラーだったんです!」と言った。
「……あ~太陽か。俺が抜けた後、太陽がレギュラーなんじゃないか?」
「まあ、一応……でも、先輩には負けますよ……」
ちょっと照れながら言う。
「俺は部活もさぼり気味だし、もう太陽には負けそうだなぁ……」
ちょっとしか違わない。
でも、いつもの蓮とは違う感じがした。
食事も半分以上無くなり、リラックスして来た中、蓮は一人こっそりと抜け出していたのを見逃さなかった。
私はこっそりついて行った。
♢♢♢
外の空気を吸っていると玄関からそ~ッと出てくる誰かが来た。
息の音の感じと匂いから檸檬さまだと分かる。
「バレてないとでも思いました?」
と言いながら振り返る。
「あはは。バレてたか」
「気配を消すためには息をもっと落として、できるだけ何も感じないようにするといいですよ」
アドバイスすると素直に「わかった」と言って目を閉じて集中し始める。
俺のアドバイスに注意して、もっと息をもっと落とした。
「できてます」
「やった……やっぱ狐の気配はしないの?」
「そうですね。初めて会った時も人間かと思いましたし」
檸檬さまは半分妖狐のはずなのに檸檬さまからは気配も匂いも妖狐の感じがしない。
「よっ……」
檸檬さまは頭の耳が出るあたりを両手で押さえた。
右目の色が金からプラチナになった。
少しだけな九尾の姿に戻したということだ。
「――ッ!」
あまりの美しさに息をのむ。
九尾の直系の方たちは基本、このプラチナを他人に見せない。
特別な場では違うが、俺は初めて見た。
これが、片目だけでも伝わる九尾としての格の違い……。
「これでも?」
「匂いもやっぱり人間のまま……みじんも感じないです」
「へぇ……じゃあこの気配が消せてたら人から何も感じられないんだ」
「ですね。と言っても、姿が見えてたら意味ないですけど」
「そ~だね~……なんでついてきたかわかってる?」
右目が元に戻り、手をどけながら聞いてくる。
おそらくサッカーをやめた理由を聞きに来たんだろう。
「あの煙玉の事ですか? 自作です。今度作り方教えますよ?」
露骨だけど、話題をそらす。
「また話題そらしてる。なんでサッカーやめたの?」
「……」
「言いたくないならいいけど」
視線を道路に向ける檸檬さま。
「……」
「サッカーをやめたのいつ?」
「……それ言ったらわかっちゃう気がするんですけど」
「さ~ね~」
檸檬さまや圭理はおそらく俺の事を調べられるだけ調べているだろう。
口ぶりからプライベートのことはそんなに調べてなさそうだが、怪盗ワンダーの活動履歴はくまなく調べていると考えられる。
その時期と照らし合わせられたらすぐばれるだろう。
「……小六の今頃です」
「お~? やっぱりわかっちゃったかもしれませんね~」
小六の今頃。
つまり二年前。
それは怪盗ワンダーが活動を始めたあたり。
「やっぱり、ですか」
「というか予想が確信に一歩つながっただけ」
「たぶんあってますね。それ」
確信がなければそんな口調にはなれない。
「う~ん……話題を変えよう。蓮が怪盗始めた理由って?」
「それ聞く時点で合ってなかったらおかしいんですけど」
「いいから」
「……探し人です」
「探し……人……?」
「そうです」
♢♢♢
小五のころ、友達の柚希から相談を受けた。
柚希は記憶喪失の子で髪と瞳が赤く、小四にしては大人びていた。
可愛いより美しいというタイプだった。
相談の内容は詳しくは覚えてない。
けど誰かに「柚希は柚希ではない」そう言われたと言っていた気がする。
その時俺は「柚希がなんか引っかかるならなんかあるよ。今は思い出せなくてもいつか思い出すかもしれない一緒に思い出そう」と言った。
すると柚希は頭が痛いと言い出し、突然走り出した。
柚希の足は速く、当時の俺じゃ追いつけなかった。
柚希は夜になっても家に帰ってこなかったらしい。
柚希のお爺ちゃんとお婆ちゃん、母さん、もちろん俺も必死に探していたのを覚えている。
それでも見つからず、警察沙汰。
次の日、スーツを着た沢山の人と柚希と和服を着た男性二人と女性が柚希の暮らしていた家に来た。
後から聞いたけど、記憶喪失だった柚希は記憶を戻して、家族のもとに帰ったらしい。
――それっきり柚希とは会っていない。
あまり天気の話をすべきではないのですが、我が家の住む地域で今、雪が降ってます。
窓から見える雪桜が綺麗です。
翆「十二話とも関係あるからはなすけど、最近、溜め書きを書けていないんです。なぜなら、だーいぶ先のこの物語を大型変更したからです」
小「今まであいま~いにしてたものをとあるアニメを見てからパッと思いついたからな」
翆「……ハッ! あくまでアイデアですので! 『ここでこうする!?』みたいなものを参考にさせていただいただけなので!」
小「著作権対策かよ」
翆「まあでもやっと後半が固まってきたかなって感じはする。最後が決まってないけどっ!」
小「働け」




