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14 スキル考察


 何故こうなった?

 俺は自分のステータスを見て只々混乱するばかりだ。

 この世界でのスキルは一人に一つしか付かないのに、俺には前世の弱体化魔法以外に全属性の魔法まで付いていた。

 思い出せ、絵美は女神と何を話した。思い出せ、女神は巻き込まれた者の事をどうした。


「うわ~、そういう事かぁ~」

 

 そんな俺を他所に絵美は一人納得していた。


「そういう事って、どういう事だ?」

「ほら、私が巻き込まれた人にも加護をってお願いした時に、女神様が『力が弱い分、数で補いましょう』って言ってた…… それじゃないかな?」

「あ~、それかぁ」

「ふふっ、比呂君もチートだね」

「全部初級だけどな」


 チートと言われ照れ隠しでぶっきらぼうに答えたものの、実際のところ攻撃手段を手に入れた事は有難かった。たとえ初級魔法でも数が有るなら工夫次第では使えるように成るのではと思う。更には弱体化魔法まであるのだから出来る事の幅は広がるはずだ。

 自然と俺の口角が上がってしまっても仕方の無い事だろう。


「ふむふむ~ 先にスキルに目が行っちゃったけど、基礎ステータスも高い方だね」


 なおもボードに目を向ける絵美の言葉に、やや夢見がちになってた俺は我に返ってボードを見直した。


「あっ!! 確かに高いな。これもチート…… あれ?」


 何か変だな。

 前世の俺(レオン)は中級より少し上位の数値だったのに、今はあと少しで上級の数値に届きそうだ。しかも、戦闘職系と魔法使い系の両方において。

 それと絵美の基礎ステータスには⦅女神の加護⦆が付いてたが、俺には付いてない。なのに数値は前世の俺(レオン)より高くなってる。

 つまり、チート無しで前世よりも数値が上がってるって事だよな。


 この事について俺は前世の記憶目線で、絵美は異世界小説の目線であれやこれやと考察してみる。

 そして出た結論は、


「それは比呂君だから。レオンさんじゃなくて比呂君の体だから…… って事にしようよ」

「そうだな、こればかりはいくら考えても分からないな。もう、そういう事にしておこう」


 出た結論は、分からないだった。幾つかの理由は考えたがどれもが想像の範疇でしかなかった。

 なので自分達が納得できそうな答えは【今の俺はレオンじゃ無い】にした。レオンじゃ無いんだからステータスが違うのは当たり前ってことだ。

 (体力)と(魔力)のどちらも数値が高いのは魔法が有る世界と魔法が無い世界の二つに存在したという事と、レオンと比呂の二人分の人格で通常の約二倍の数値になったのだと自分達を納得させた。

 すべて想像でしかないのだが、絵美も俺もこの考察は意外と良い線行ってるんじゃないかと思ってる。

 いつか女神様に会える機会が有ったらこの推理を聞いてほしい。


 ま、分からない事を何時までも考えてもしょうがない。この世界をもう一度やり直し出来るだけの力があるって事実を受け止めよう。

 だから…… 俺は改めて絵美の正面に立ち、頭を下げた。


「え?」

「ありがとう、絵美が女神様に願ってくれたおかげだ」

「ちょ、ちょっと、頭上げてよ~ 急に改まられるとこっちがどうして良いか分かんなくなっちゃうよ~」

「だけど、おかげで俺はまたやり直すことができる。それも前世より強い自分で…… だから、礼は言わせてくれ」

「わかった、わかったからぁ~ じゃあ今度ケーキ奢って、それでチャラね」

「……うん、了解だ」


 えへへと笑う絵美。

 こんな人を信用しないような俺でも手を差し伸べられたら感謝するくらいの心はあるつもりだ。今度彼女に美味しいものでも食べさせよう。でも……


「この世界にケーキは無いけどな」

「なんですと~~~~~~~!!」


 先ほどの笑顔から一転して、彼女の顔は【ムンクの叫び】みたいになっていた。


 それからも絵美が持つスキルアーツの説明や使用する場面の話などを続けた。


「なるほどなるほど~ 私の知識とそう変わらないってことだね。異世界小説恐るべし」

「だなぁ。日本であれ書いてる人は皆異世界転生者じゃないかと思うよ」

「その推理当たってるかも。比呂君っていう証拠もあるし」

「俺は証拠品扱いかよ…… で、一通り説明したけど他に質問ある?」


 絵美はそこそこ頭良いからかすんなりと理解していった。その理解力の元が異世界小説に有るのはどうかと思うが。


「一つ気になったんだけど、ボードに【LV○○】って無いのは何故? たしか前世ではレベル上げしてたって言ってたよね」

「ああ、それは……」


 この世界に【LV○○】という数値の概念は無い。

 ある日ある時突然体に力が漲った感覚が訪れる。それが何かは誰も分からないのだが、その後高額なお布施を払い教会の水鏡で診て貰うと基礎ステータスが上がっている事実を知る事となる。

 なので人は皆それを(レベルが上がった)と言っている。


「じゃあ、そのレベルはどうやったら上がるの?」

「それは誰にも分からないんだ。がむしゃらに働けばとか、真面目に生きればとか、毎日神に祈ればとか、色々と言われてるな」

「で、レオンさんはガムシャラに魔物を倒そうと? あっ、ゴメン」


 そう、それで命を落としたわけだ。


「いや、謝らなくていいよ。実際ダンジョン攻略を目指してる冒険者達は軒並みステータスが高いからな。レオンはそう考えてたよ…… でも、今の俺達なら分る」

「俺達?」

「そう、異世界小説を読んだ事が有る俺達なら」

「……」


「「経験値!!」」


 そうだ、おそらく魔物を倒す事が大きな経験値になると思ってる。

 前衛職や攻撃魔法使いは魔物を倒す。支援職も自分にバフをかけて倒す事が出来る。

 だが、デバッファーのレオンは倒す事が出来ない、自分にデバフをかけても弱くなるだけだしな。だから経験値が入らずレベルが上がらない。


 あと、スキルを使う事でも僅かな経験値は入るのだと思う。遅いとはいえレオンのステータスは、確実に上がっていた。これは常にデバフを使っていたからだ。

 生産職や商人だって時間は掛かるものの、確実にステータス上昇の確認されているのが裏付けている。


「うん、やっぱり攻撃手段をくれた絵美には感謝だな」

「だから、それはもう良いってば。それにスキルを与えたのは女神様なんだから」


 だな、なんとなくだけど俺は天井を見上げた。


「この声が聞こえているのか分からないけど礼は言っておく。女神様、力をくれて有り難うございます」


 それが届いたのかどうかは分からない。ただ、窓から一筋の光が部屋の中を照らした。

 スキルの考察をしてゆっくり寝る気だった俺達は、豪華なベットに座っただけで朝を迎えてしまった。

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