11月22日
終夜ゲームをしていると段々と部屋の中が明るくなっていった。
夜明けの合図だ。
画面右下の時計は6時を3分すぎた事を示している。
そろそろ氷上の布団にもぐりこんで温もりを分けて貰おうかと考えていた時、インターフォンが鳴った。
氷上が寝ている今、私が出なくてはいけない。
モニター付きインターフォンの画面を見ても誰も映っていない。
朝っぱらからいたずらか~と思いながら玄関の扉を開けると、そこにはちっこい雪の娘がいた。
「あ、姫。南下ですか?」
「うむ、ついでに挨拶をとな」
あ、良いことを思いついた。
「……姫手伝って貰いたいことがあるんですけれど」
朝目が覚めると全身が冷たかった。
「さっむ!!!」
飛び起きて掛け布団をめくると案の定ちっこい雪女が……ふたりいた。
雪女は先週から小さくなったままだったが、分裂するとは聞いてはいない。
前にも同じ様なことがあったような。
「「氷上おはよう」なのだ」
ん? なのだ?
ふたりの雪女の良く見比べると、左側の雪女の手にはゲームのコントローラーが握られていた。
対して右側の雪女の着物の裾には桜の花びらがくっついていた。
「こちら確か姫様でしたっけ」
「か、完璧だったのに」
完璧と言うのならゲームのコントローラーを持ち歩くな。
「何故バレたのだ?」
「姫様来る途中桜を見てきたでしょう?」
「うむ、この時期によく藤岡や城峰で咲いていてな、そこがすきで良く通るのじゃ」
「裾についていましたよ」
「もー、しっかりしてよー」
「お主こそ俗世にまみれおって」
雪女敬語はいいのだろうか。
「ああ、氷上わらわに敬語は不要だぞ、こいつの方がくらい高いし」
ああ、姫の後ろでほくそ笑んでいる雪女の顔が少しばかり憎たらしい。




