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氷上と雪女のメンタルトレーニング

 リビングで横たわりテレビゲームをしている雪女に声をかけた。

「少し手伝ってもらっていいか?」

「このクエスト終わってからで、んと、あと3分ほど待って」


 3分後、彼女はちゃんと有言実行してゲームを終わらせた。

「それでなに?」

 こちらの顔を覗き込むように訪ねてくる彼女はなんだか犬っぽかった。

「手を握ってほしい」

 そう言うとすぐさま彼女は手を握ってきた。

 少しだけひんやりとしている彼女の手は触っているだけで、時節柄気持ちよく感じてしまう。

「これだけ?」

「温度下げれる?」

「どの位?」

「氷くらい」


 氷のように冷たくなった彼女の手は、握っているだけで痛い。

「とりあえずマイナス5度くらいにしたけれど、どう?」

「とても痛い」

「バカじゃないの???」

「今握っている自身に優しい言葉をかけ続けているから」

「凄く氷上の体温が流れ込んできて私は気持ちがいいけれど後1分くらいで離すからね」


「やってみて一番のメリットが分かった」

「なにさ」

「きみと手がつなげる」

「そんなこと言ってないでこっち来なさい」

 そう言った彼女に洗面所に連れて行かれて流水の刑にあった。


「もう一つ手伝ってほしいのだけれど」

「さっきより温度が高かったら手伝うけれど」

「常温でいいから背中に抱き着いて欲しいんだ」

 そう言って俺は上半身を脱いだ。

 次の瞬間、ぴとっと上半身に冷たいものが押し付けられ、ぞくぞくと背筋に悪寒が走った。

「今回は何分?」

「これは30秒」

「何の効果があるんだか」

「自律神経を整えてくれるだと」

「はい、30秒。そのままお風呂入ってきたら?」

「そうするよ」

 雪女はルームウェアを整えると洗面所から出ていった。

 もしかして先ほどまで押し付けられていたものは雪女の……。

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