↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺したのは俺?  作者: おもち
解散に至るまで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/10

襲撃と疑惑




 嫌な夢を見てから一週間が経った。もしかしたらアリアが帰ってくるかもしれないからと、稼ぎは少なくなるが、王都から日帰りで行ける簡単な依頼だけを選んで仕事をこなしている。


 だが、いつまでもという訳にはいかない。今はギルドも俺らに気を使って、なるべく他のパーティに遠方の依頼を回してくれているが、二人いなくなったとはいえ一騎当千はAランクパーティだ。数は多くないがAランクでないと回せない依頼もある。アリアのことは気になるが、稼ぎのためにもそろそろ簡単なものばかり選んでいる訳にもいかないな⋯。


 それと、アリアが戻って来ないなら新しい回復役が欲しい。防御の要のドラムが抜けた上に回復役までいなくなるのは正直厳しいのだ。ポーション頼みでは限界がある。

 けど、アリアは戻ってこないと思うから新しい回復役を入れようなんて⋯、仲間たちに言い出しにくい⋯。モーリスとサイモンは賛成してくれそうだが、マークとレジーナはどうか⋯。今日はいつものお気に入りの店で、エールを片手に煮込みを食べながら、一人で悩んでいた。


 最近の俺にはもう一つ悩みがある。夢で見た枯れ井戸のことだ。気になるが、俺は一度も見に行けずにいる。小心者の俺は、見に行って本当に死体があったらと思うと怖くて見に行けないのだ。一人で行けないなら誰かに相談しようかとも思ったが、誰かと見に行って死体があったら、それこそ俺が犯人みたいじゃないか。ただの夢なのに、俺は高確率でそこにアリアの死体があると思ってしまっている。アリアのためにも確認しなくてはと思うのだが、俺はまだ心を決められない。誰かに相談したい、誰なら俺を信じてくれるだろうか⋯。このまま酒に酔った勢いなら行けるかもしれない。そんなことを思いながら飲む酒は、いつもよりペースが早くなった。


 普段よりも遅くまで酒を飲み、フラフラとした足取りでパーティハウスに帰る途中、マークがいた。どうやらいつもより帰りが遅い俺を心配して迎えに来てくれたらしい。マークに肩を借り、心配させたことを反省しながら歩く。


「クリスタがそんなになるまで飲むなんて珍しいね。やっぱりアリアのことが気になるよね。けどあまり一人で思い詰めないで、僕たちのことも頼ってよ。」


 そう言われて、話しても大丈夫かもしれないという気になったのと、酒に酔った勢も助力して、マークに悩んでいたことを全て話した。


「回復役は欲しいけど⋯僕はまだ新しい仲間は入れたくないな。まだ今は本当に必要な時だけ臨時でメンバーを雇うんじゃダメかな?アリアがたまに行ってたみたいに。」


 やっぱりマークは新メンバーを入れることに反対のようだ。もう少し様子見してもいいかな⋯。


「それと、口は悪いのにクリスタってやっぱり可愛いね。」


 マークがクスクスと口に手を当てて笑っている。


「夢でしょ?心配なら僕がかわりに見に行ってあげようか?君がアリアを殺すなんてありえないよ。クリスタは心配性だからそんな夢を見ちゃうんじゃない?」


 そう笑い飛ばされて少し俺は楽になった。そうだよな⋯


「ありがとうマーク。」


「いいえ、君が僕に話してくれて嬉しいよ。相談ならいつでも乗るよ。」


 話してしまうと呆気なかった。もっと早く相談すれば良かったな。マークに感謝だ。



◆◆◆◆◆



 翌日はダンジョンの低層で、新人冒険者たちへの指導の手伝いをした。若く勇ましいのはいいのだが、そういうやつほど早く死ぬ。口酸っぱく言っても、自分は大丈夫だと思ってるやつが沢山いるのだ。それでも少しでも多く、未来を担う冒険者たちに生き残ってもらうため、冒険者としての心構えからダンジョンでの必需品、低層の魔物の倒し方、探索の仕方に休憩の取り方、あらゆることを教える。

 一日かけて手伝いを終えると、自分たちで下層に潜った時よりクタクタだ。言ったそばから無闇に突っ込んでくやつが何人もいて、止める方が大変だったのだ。


 いつもの通りギルドで解散して皆と別れ、魔牛のステーキを食べて店を出ると、通りの少し先にサイモンを見つけた。

 サイモンも今から帰るなら声をかけて一緒に帰ろうかとサイモンの姿を追う。だが、何かおかしい。こそこそと誰かを追っているような動きだ。サイモンは何をしているんだ?俺は気になったので追ってみることにした。


 中心街の方から東に向かい、だんだんパーティハウスの方に近付いている。メンバーの誰かか?誰を追っているんだ?サイモンの姿は見えるが、その先の誰かは結構距離をとっているのか俺には見えない。

 結局誰を追っていたのかわからないまま、パーティハウスに帰ってきてしまった。サイモンが入ってから少し時間を置いて中に入り、まだ冒険者装備のまま水分補給をしていたサイモンに、何も無かったかのようにただいまと声をかける。俺はそのまま二階の階段を登ると、風呂の準備をしたマークが部屋から出てきた。


「ただいま、マークも帰ったばっかりか?」


「おかえり、うん、さっきね。先に風呂行ってくるよ。」


「ああ。」


 サイモンが尾行していたのは十中八九マークだ。けど何故だ?



◆◆◆◆◆



 皆今日の新人教育で疲れたのか、早めに部屋に戻った。俺もゆっくり部屋で剣をを磨いていると、いきなりどこかの部屋の窓が割れる音がした。


ガシャァン!!


 どこからだ?急いで部屋の扉を開けると、レジーナも部屋から飛び出してきた。


「どこだ?」


 下の階からモーリスとサイモンも階段を上がってきた。 マークは出てこない。


「たぶんマークの部屋からよね?」


 俺たちはマークの部屋をノックもなしに開けて覗き込む。すると暗い部屋の中、頬に切り傷がついたマークが棚の陰に隠れていた。部屋の壁にはナイフが刺さっており、窓の下には硝子の破片が散らばっている。


「マーク何があった?」


「今度は僕が狙われたみたいだ。窓の外からあれが飛んできた。窓が割れた音で一瞬早く気づけて避けられた。ちょっと掠ったけど。」


 そう言って刺さったナイフを指さした。


「パーティハウスにまで襲撃してくるなんて⋯生きててよかったわね。毒は?」


「塗られてるかもしれないですね。毒消しポーションを持ってきます。」


「クリスタのときもー塗られてたもんねー。」


 マークに毒消しポーションを飲ませ、リビングに集まる。皆疲れた顔をしているが眠っている場合ではない。


「犯人の姿は見えたか?」


「いきなりで全然見えなかったよ、暗いし。」


「そうか⋯。」


「そろそろ犯人を見つけないと危険ですね。」


「そうね、自分の部屋でまで気を張らなきゃいけないなんて嫌よ。この家見張られてたのかしら⋯気味が悪いわ。」


「この中にー情報漏らしてる人がーいるかもしれないよー。」


「「「「⋯⋯⋯⋯。」」」」


 皆考えてはいたのだろう、誰も否定はしない。


「ずっと僕たちをつけてるのでなければ、タイミングがいいもんね。今日も疲れてたから早めに部屋に戻ったけど、いつもならまだ僕はリビングにいる時間だった。」


「ドラムの時もたまたま四人で回復役もいない時だったな。」


「アリアがいなくなった時も討伐が早く終わったからあの時間だったのよね⋯。」


「見事に手薄な時に襲われてますね。」


「裏切り者はー誰だろうねー。」


「情報を流すだけならこの中の誰でもできちゃう

ね。」


「ああ。とりあえずできるだけ一人にはならない方がいい。今日はリビングで寝よう。」


「⋯そうですね。」


 毛布に包まりながら考える。この中に共犯者がいるとしてどうやって見つける?俺は犯人探しなんて得意じゃない。

 だが⋯サイモンがマークを尾行してたのは気になる。どうする?サイモン本人に聞くか?いや、もしサイモンが共犯者だったとしても、俺が聞いたところで本当のことは言わないだろう。

 それに、襲撃者と共犯者はどこでどうやって連絡を取ってるんだ?暗い中どうやってマークの位置がわかった?明日からはメンバーの中に共犯者がいると仮定して行動しよう⋯。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。