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3話: 『吉良殿、絶対切腹しないで仕返ししてやる!』

【第四章 3話】(小タイトル:俵星玄蕃の高速「脇坂出前」と、一学の落とし穴スカシ劇)

1.春の夜のハッキング警戒と、闇を裂く高速の影

四月(卯月)の夜風が、吉良邸の瓦を優しくなでる静かな深夜。本所松坂町の周辺は、朧月夜の光に照らされて、しんと静まり返っておりました。

しかし、吉良邸の防衛隊長・清水一学と、極度の近眼である幕府書院番次席・豪文字 盲之助殿の二人は、宿直部屋の灯火の下で、未だに「闇の組織・綱一坊」の影に怯えて不眠症の限界を迎えておりました。

「清水殿……今宵あたり、綱一坊の闇の軍団が、新手のアタックを仕掛けてくる予感がするぞ……」

盲之助殿が虫眼鏡で夜空を覗き込み、一学が耳をピクピクとさせて警戒する中、その「新手」は突如として現れました。

夜の静寂をぶち破り、地響きを立てて猛烈なスピードで激走してくる影がある。しかし、今宵は大八車ではございません。頭の上に巨大な「出前の岡持ち」を何段も積み上げ、夜泣き蕎麦屋の着物を翻した謎の巨漢――槍の達人・俵星玄蕃たわらぼし げんば殿が、時速百キロを超える「高速の飛脚」のごとき速度で爆走してきたのである!

「出たァァァ! やはり綱一坊の隠密、闇の蕎麦軍団の襲来だァァァ!」

一学と盲之助殿は、新手(実は安兵衛が仕込んだ協力者)のあまりの速度に白目を剥いて大パニックに陥りました。

2.対・赤兎馬の落とし穴と、仕込み槍の大ジャンプ

しかし、今回の一学は一味違いました。吉良邸の門前には、浅野側の爆走を阻止するため、一学たちが不眠不休で掘り進めた「深さ3メートルの対・赤兎馬用(爆走対策)の落とし穴」が仕掛けられており、上から巧妙にむしろが敷かれていたのである。

突進してくる玄蕃の姿を見て、一学は物見櫓から得意満面に身を乗り出し、注意を促すふりをして叫んだ。

「フハハハ! 闇の蕎麦役者め、そこには我が執念の落とし穴があるぞ! 止まれるものなら止まってみせよ!」

ところが、蕎麦屋に変装した玄蕃は、一学の警告を「知らんぷり」で完全スルー。

落とし穴のわずか一歩手前で、玄蕃は持っていた蕎麦ののれん棒――と見せかけた「仕込み槍」をシャキーン!と一瞬で伸ばすと、カモフラージュされた落とし穴の底を**「チェストォォォ!」**と凄まじい怪力でツツツと突いたのである!

その槍の凄まじいしなりと反発力(極上の棒高跳びの要領)を使い、玄蕃は「頭の岡持ち」を一切揺らすことなく、吉良邸の門前をフワリと華麗に大ジャンプ(キャノンボール)して飛び越えてしまった。

「飛んだァァァ!? 蕎麦が、蕎麦が宙を舞っているぞォォォ!」

一学たちは、頭上を優雅に通り過ぎていく蕎麦の残像を見上げ、アゴが外れるほど驚愕いたしました。

3.職務質問と「脇坂御用」のハッキング通行証

見事に着地した玄蕃を、小林平八や宿直の武士たちが刀を抜いて包囲し、怒り狂って職務質問(ハッキング検問)をいたしました。

「待てぃ! 門前で棒高跳びをする怪しい蕎麦屋め、上様のお名前を騙る綱一坊一派の賊だな! 御用だッ!」

すると玄蕃は、不敵にニヤリと笑い、懐からキラリと光る**「脇坂家御用達・夜食迅速出前通行証」**をビシッと突きつけた。

「騒ぐな、吉良の腰抜けども。俺は隣の龍野藩主・脇坂淡路守様から『今すぐ美味い蕎麦を30人前、湯気の立ったまま届けよ』と特急の直状をいただいて爆走している、ただのデリバリー職人だ。これは正式な通行証。邪魔をして蕎麦が伸びたら、脇坂様へどう申し開きをする気だ?」

「な、何ぃ……! 脇坂様の夜食出前だと……!?」

実はこれこそ、裏で糸を引く堀部安兵衛殿が、脇坂邸の御用ルートを裏から完璧にハッキングして手配した「合法的な隠れみの」であった。お隣の大名家からの公式な注文とあっては、吉良邸の武士といえども手出しは一切不可能でございます。

玄蕃は、刀を収めて呆然とする平八たちを鼻で笑い、

「邪魔だ、蕎麦が伸びるわい! **『蕎麦屋かァァァ!』**と言われれば蕎麦屋だァァァ!」

と、夜空に名ゼリフのお届けボイスを響かせながら、脇坂邸の勝手口へと悠然と消えていった。

門前には、ツンツンと槍で突かれてカモフラージュの剥がれたマヌケな落とし穴だけが残り、一学と盲之助殿は「おのれ綱一坊……まさか脇坂様の中にまでハッキングの根を張っているとは……奴らの闇の深さは未知数だ!」と、宿直部屋の奥でさらに深いノイローゼの沼へと沈んでいくのでございました。

(第4話へ続く)

【今宵の一句】

落とし穴 槍で突かれて 蕎麦が飛ぶ

【あっちゅ寝太郎エッセイ】

(一学殿、せっかく掘った大穴を棒高跳びでスカされて、本当にお気の毒だねぇ。お前たちが「脇坂様の御用達なら仕方ない」と法律(通行証)の壁にハッキングされて手も足も出ない間に、その蕎麦の湯気は、お前たちの防衛網が完全にザルであることを証明してしまったよ。さあ、一学と盲之助殿が「闇の軍団・綱一坊」の恐怖で夜も眠れなくなってきたところで、お次の第4話は、ハットリ君が仕掛ける『伊賀の同窓会・蔵の中身すり替え大作戦』へとソソソと突入するよ。財布の紐を締め直しても、もう遅いよぉ)

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