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4話: 『吉良殿、絶対切腹しないで仕返ししてやる!』

【第四章 4話】(小タイトル:伊賀の同窓会と、吉良の蔵「中身すり替え大作戦」)

1.翌朝の井戸端会議と、ソソソの班長のポロリ噂話

昨夜の「高速蕎麦デリバリー」の狂騒から一夜明け、本所松坂町の周辺には、雲一つない四月の清々しい青空が広がっておりました。

そんな中、お隣の脇坂邸の勝手口付近では、吉良邸の動向をそれとなく探っていた「ソソソの班長」が、脇坂家の小者たちと楽しげに井戸端会議(お喋り)を始めておりました。

「いやぁ、昨夜の蕎麦屋の爆走は実に見事でございましたねぇ。仕込み槍で大ジャンプだなんて、江戸のデリバリーも進化したものです、ソソソのソ」

班長はいつものようにニコニコとお喋りを続けておりましたが、脇坂家の者が「お隣の吉良様も、最近は夜回りやら罠掘りやらでピリピリされていて大変そうだ。なんでも本所の外れにある隠し蔵の警備まで強化したらしいぞ」と漏らした瞬間、またしてもその軽い口がツルリと滑ってしまいました。

「あァ、あそこの隠し蔵の警備主任に抜擢された男のことでございますか。なんでも、実は伊賀の末裔だそうで、年の頃は三十半ばの、なかなかの強面らしいですよ。いやぁ、世間は狭いねぇ、ソソソのソ」

班長自身はそれが誰だか分かっておらず、ただの世間話のつもりでポロリと漏らした「伊賀の末裔」「年の頃は三十半ば」というふたつの暗号。しかし、生垣の陰で聞き耳を立てていたハットリ君は、自らの脳内インフラ(故郷の記憶)を瞬時にハッキングし、ハッと目を見開いたのでございます。

(……伊賀の末裔で三十半ばの強面……。むむっ、もしや幼なじみの、あの『半蔵(仮名)』かッ!? ニンニン、有益な情報、ごちそうさまでござる!)

ハットリ君はすぐさま内匠頭と安兵衛のもとへ駆け戻り、吉良の隠し蔵を丸ごとハッキングする「前代未聞のすり替え大作戦」が発動することとなったのです。

2.伊賀の同窓会と、人の情というセキュリティホール

その夜、おぼろ月夜の下、ひっそりと静まり返る吉良の外部隠し蔵。

警備責任者である伊賀出身の武士が、鋭い眼光で周囲を警戒していると、暗闇から「ニンニン、おーい」と、懐かしい声が響きました。

「だ、誰だッ! ……って、お前はハットリじゃないか! なぜこんなところに!?」

「いやぁ、風の噂で、伊賀の同学(幼なじみ)のお主が吉良殿の蔵番になったと聞いてな。里を離れて久しいが、今宵は任務を忘れて、昔みたいに一杯やろうじゃん、ニンニン」

ハットリ君は、三章でハッキングした柳沢マネーで買い占めた「極上の伊賀の地酒」と、美味い肴をソソソと差し出しました。最初は「職務中だぞ!」と拒んでいた警備主任も、故郷の酒の香りと幼なじみの懐かしい顔に、あっさりと心のファイヤーウォールを突破されてしまったのである。

「お前、相変わらずいい奴だな! よし、ちょっとだけだぞ!」

二人は蔵の隅で「伊賀の同窓会」を開始。ハットリ君が絶妙なハッキングトークで故郷の思い出話を咲かせるたびに、警備主任は「美味い、美味い」と杯を重ね、気がつけば、留守番の部下たち共々、床にひっくり返って「すぴー、すぴー」と大泥酔して眠りこけてしまいました。

3.完璧なる「システム(人間)すり替えハッキング」の成功

警備の面々が完全に意識を失ったその瞬間、蔵の影から堀部安兵衛殿が率いる「浅野の家臣たち」がソソソと音もなく現れました。

安兵衛殿たちの変装術もまた見事なもので、眠りこけている吉良の部下たちの衣服や甲冑を素早く剥ぎ取ると、それを自分たちが着用し、顔の輪郭や体つきまでソックリな者がその場に居座るという、完璧な「人間すり替え(ディープフェイク)」を敢行したのである。

そこへ、何も知らない吉良家の金庫番「小県こびとのおがた こびとのすけ」殿が、夜間の見回りにランタンを提げてやってきました。

「おい、蔵の警備に異常はないか?」

変装した安兵衛殿は、声を少し低くして「ハッ! 異常ございません、お任せくだされ!」と大真面目に敬礼。小県こびとの佑殿は、まさか目の前にいる警備兵全員の中身が「浅野家臣」に丸ごとハッキングされているとは夢にも思わず、「うむ、大義」と満足そうに去っていきました。

こうして、鍵を開けることもなく、蔵のインフラそのものを完全に支配下に置くという、浅野側の見事なステルス・ハッキングが成功した。

大泥酔した本物の警備主任の背中には、ハットリ君によって「同窓会、楽しかったでござる。バイバイちゅう」との張り紙がソソソと残され、物語は、この蔵の中身をすべて合法的に強奪する、第四章クライマックスの「逆流おべっか劇」へと向かっていくのでございました。

(第5話へ続く)

【今宵の一句】

懐かしき 酒にほだされ 蔵開く

【あっちゅ寝太郎エッセイ】

(吉良殿、お前が屋敷の中で「綱一坊の闇の軍団が襲ってくるぞ!」と一学たちとガタガタ震えている間に、本所の外れにある大切な隠し蔵の警備システムは、ハットリ君の『伊賀の地酒ハッキング』によって完全にザルにされてしまったよ。ソソソの班長がただの噂話として漏らした『年齢と出身』のインフラから、ハットリ君が自力で正解をハッキングしてしまうあたり、さすがは浅野の隠密だねぇ。小県こびとの佑殿も『異常なし』と太鼓判を押していったが、あそこにいるのは全員、お前の天敵である浅野の浪士たちだよぉ。さあ、中身が入れ替わったところで、お次の第5話はいよいよ、お前の財宝が合法的に大八車で強奪され、その金で『おべっか(賄賂)』を使われるという、脳が爆発するお仕置きが待っているよ)

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