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魔王に巻き込まれた大賢者、今世こそ隠遁生活を送りたい(願望)  作者: 白ゐ眠子
第五章・転生した大賢者は伝えたい。

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第83話 元大賢者は、殿下の先々に不安視する。(上)


 それはある日の事。

 ヨハネスとエリスがリディを伴ってソイオース・ダンジョンへと向かった。


「では、行ってくる」

「逝ってらっしゃ〜い」


 それは全員が授業へと掛かりきりとなってる間に私がアイカを伴って領内・各ダンジョンとソイオース・ダンジョンの単独踏破した事を知った殿下が、踏破してみせると息巻いたのだ。

 ちなみにリリィも時間帯は深夜だが領内・各ダンジョンは単独踏破しており残りはソイオース・ダンジョンの三十層分のみとなっている。


「逝っちゃったねぇ」

「姉様、何か発音が違うように思えますが?」

「そう? まぁ簡単にくたばる事はないでしょう。腐ってもAランク冒険者だし」

「腐ってもって。まぁ殿下は何気にやり手ですものね」


 ヨハネスとエリス、リディの後ろ姿を見ていた私はアイカと屋敷内に戻った。


(執務も終わらせたし、やることは一つ! 寝る! この一つしかないわね!)


 アイカってば、その抱き心地が最高だから!

 身長の割に胸は大きくお尻も大きい、ふくよかとしているようで腰周りは締まっているし!

 いやー、ホント凄い美人さんになったわね。

 てことで、私は一先ずアイカを伴って寝室へと移動しようとした。


「アリス? 義娘を連れて何処に行くつもりなのかしら?」

「リ、リンス? 今日は帝都に行ったんじゃ」


 だが、突如背後から声を掛けられたので私は恐る恐る振り返り、声の主を見た。

 リンスの顔ってば何時もの笑顔だけど妙に冷気を帯びてるよね? 帝都で何があったの?

 ここから帝都までは普通の馬車で一日の距離だけど早馬の馬車を使えば半日で距離を稼げるから、今朝方帝都に向かって今が夕刻なので、


「ええ。今、戻って着ました」

「今って、戻りが早くない?」

「仕方ないですよ。ライナ様ってば、リリィ様のドレスばかり選んで、私のドレスは見て下さらなかったのですよ? 流石にあんまりなので、放置して帰ってきました」


 ライナよ。

 せめて婚約者の前では拗れたシスコンを発揮しないで。リンスはライナの行動にご立腹であったようだ。私はリリィが自室に寝てる事を把握しつつも、その行動に疑問を持った。


「あれ? でも、リリィは確か、屋敷に居る筈だけど? 今日は登城日ではないからハンモックで寝るって自室から出てきていないし」

「そこは妄想の力なのでしょう。ここのところ私が目を離した隙に風呂場へと突入しておいでですから。その度に折檻しても懲りておりませんので」

「酷い皇子も居たものだ。あれで授業中以外の普段が真面だから」

「ええ、全く困った事に」


 第二皇子という体裁があるからライナも普段は真面だけど、ことリリィが絡む時は拗れるのだ。全く頭の痛い皇子様だよ。

 きっと、リリィの髪色に似合うドレスを見つけて、あーでもないこーでもないと脳内補完してリンスを放置したのだろう。

 私はリンスの機嫌が急降下する前に苦笑いのアイカの肩を抱きかかえ離脱しようとした。


「まぁいいや。じゃあ、後はごゆるりと過ごしたらいいよ」

「だから何処に向かっていると聞いているのだけど?」

「ん? んー? おやすみなさい?」

「まだ夕刻よね? 寝るのは早いのではなくて?」


 しかし、リンスの機嫌は急降下していないと思っていたが実際には急降下後だったようで私の離脱は失敗に終わった。


「いや、やることはもう無いし、寝ても良いかなぁって…」

「なら、やることは有りますよね? 例え、婚約破棄されようとも、公爵という身分なのですから王族教育は継続ですよ?」

「うっ」

「はい。つべこべ言ってないで実習室に向かいますよ!」

「は、はい」


 そうして怒れるリンスの気分が落ち着くまでの間、私はビシバシと王族教育を施されたのであった。ちなみにアイカも一緒に行ったのだけどそこは王女としての経験が活きているからか難なく熟し、リンスの機嫌がアイカに対しては上機嫌となったのは言うまでもない。

 私? 失敗の度に強烈な言葉が飛んできたよ。うん、怖かった。


  ◆◇◆


 一方、ダンジョンに潜った者達はというと、


「殿下! 数秒後に右からゴブリンマジシャンのクリムゾン・バーストが、左側からはゴブリン達が襲ってきます!」

「うむ。リディはエリスの周囲に結界を頼む! 我はゴブリン共を一掃してくる」

「判ったわ」


 リディをエリスの護衛として残し、ヨハネスが単身でゴブリンマジシャンを惨殺。

 次いで男を焼き払った後に、女を犯す目的で来るゴブリン共を相手にゴブリンマジシャンと同じ魔術でお返ししたようだ。


(というか、ゴブリンが居るって何層だっけ?『第六十層ですね』今は七つある素材化不能層の一つか)


 ヨハネス達は単純な踏破目的だから素材等は拾ってないだろうけど焦りは禁物だよ〜!


「ふぅ。っつ!」

「リディ様、大丈夫ですか!?」

「いえ、問題無いわ。ただちょっと魔術回路を酷使し過ぎただけだから」


 リディは結界を解除するも左掌の上に〈風花紋〉が明滅しており、右手で覆いながら痛みに耐えていた。

 するとその様子に気付いたエリスがリディに駆け寄り心配する。


「そうですか? 少し休みましょうか?」


 しかしリディは強がり、


「いえ、彼の頑張りに水を差す訳にはいかないから、進みましょう」


 ヨハネスを配慮して我慢するようだ。

 エリスもその様子を見ながら心配してるし。


(うーん、あれは不味いね。このままだと最悪は機能不全、軽度でも左手が熱を持って剣が握れなくなるよ?)


 ヨハネスも躍起になるのはいいけど相手を慮って欲しいかな? まぁリディが隠すからいけないんだろうけどさ。


  ◆◇◆


(これは、もしかするかもだから、段取りだけはしておかないと)


 私はリンスの王族教育を終えた後、湯殿の中にてダンジョンの様子を観察してた。

 リディの魔術回路は個人で施したと言っていたけど、よく見ると経路が細すぎて完全な形で魔力を出し切れていない状態だった。

 そのせいで経路が熱を持ち、精神に過剰な負荷を掛けた結果、精神の痛みと身体の痛みが同時に生じる状態へと陥っているようだ。

 今はエリスの治癒で辛うじて落ち着いてはいるが根治には至らないため、戻り次第施術しないと不味いだろうね、きっと。


(あれは前からそんな感じだろうか? この辺はリディに聞いてからの判断かな?)


 私が湯船に浸かりながらもボーッと考え事をしているとアイカが隣に座りながら声を掛けてきた。


「姉様? 何かあったのですか?」

「ん? あぁ少し気になる事があってね」

「気になる事、ですか?」

「うん。リンスもフサフサだなって思ってね」


 一先ず、リディの事を考えていたとは言えないため、目の前を歩んでくるリンスの話題に逸らした。下手に言っても心配するからね?

 アイカにとっては従妹の事でもあるから。

 その代わり、リンスからは冷たい視線を頂戴したけど。


「アリス? 私の何処を見ているのですか?」

「な、何でもないですよ?」


 私はとりあえず視線を逸らして返答した。

 ただ話題として出したからかリンスとしても無かった事には出来ないようで私とアイカを見つつ問い返してきたのだ。

 それも不思議な者を見る視線で。


「それはそうと、アイカ様は成長期ですか? アリスも減ってるような?」

「え? 成長期? 減ってる? あ、あー、違いますよ? そういう秘術をですね…」


 アイカはリンスの訝しげな視線が何処に向いてるか気付き顔を赤く染めて理由を告げる。

 リンスもそれで合点がいったのか私とリリィを同列視して納得した。


「あぁ! なるほど。そういう事ですか! だからアリスもリリィのように(・・・)なっているのですね!」

「今まで話題にして無かった件をありがとう。でもこれはエルフもやってる事だから戻り次第リディの()確認したらいいよ? まぁ見せてくれたらだけど」


 いやホント。

 今まで話題にして無かった事を今更ながら話題にしたよね。私がフサフサと言ったからこれ幸いとしたのかも? リンスも何気に濃いからね? 何処が、とは言わない。


(でもライナ的には、どっちなんだろう?)


 私とリリィを見比べての反応があったから現状維持でも良い気がするけど。


「そうですね。機会があれば、是非私にも…」


 リンスも最後は顔を赤く染めながら己が願望を呟いたのだった。


(話題は無事に逸らせたかな? でも、リディの不調が踏破に影響しなければいいけど。殿下ってば先走るのはいいけど女性陣の事、キチンと配慮してよね?)


数年ぶりの改稿で申し訳ございません。

改稿を行いつつ続編を書いていきます。

〈改稿日:2022年12月19日〉

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