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魔王に巻き込まれた大賢者、今世こそ隠遁生活を送りたい(願望)  作者: 白ゐ眠子
第四章・転生した魔王は探したい。

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第80話 元大賢者は、元魔王に配慮を求める。

※ 若干、残虐+性描写があります。


「ようやく着いたのじゃ。ここは皇家直轄領じゃったか? 少々見窄らしい町じゃが、生き存えるためには我慢するしかないのじゃろうな」


 元教皇が船から顔を出した!

 船も後少しで結界発生地点に侵入するから、気取られないように気をつけないとね!


「流石に神の目も、ここまでは追ってこれないじゃろうて。ヤツ等の使う転移術も海上は不可能じゃからな。それに合国でのあの騒ぎ、神官嫌いの居る街で居場所を教える者なぞ居ないのじゃ。良くてあの女の処刑か、戦争に突入じゃろな。全く馬鹿な近衛を引き連れてくるとは、知能の低い女じゃて」


 はーい! 不敬罪、戴きました!

 この言葉は現在、有りの儘に殿下達にもお届けしているの。エリス様は怒りよりも嘆かわしいという素振りであるが殿下は大激怒である。

 というかその右手に持つ石はなんなの?

 妙に不吉な色合いしてるけど?


「さてさて接岸じゃの。今宵の宿は何処に泊まろうか… の!? 何じゃ? 周囲から人が消えたのじゃ!? じゃが、船は接岸した?」


 船は接岸して足場が桟橋へと降りた。


「と、とにかく、降りるのじゃ!」


 この時点でリディの偽装結界が発動した。

 本来なら船員から元教皇が見えないだけなのだが、リディは更に二重で掛けて元教皇からも船員が見えない結界としたらしい。


(これってかなり無理してない?)


 リディの魔術回路が妙に熱を持っているみたいだし。やっぱり『恨み辛みですね』追われた者の苦しみが先立ったのね。


「な、何じゃ!? 我の周りだけ風が吹き荒れておるのじゃ!? これでは陸地に上がれないのじゃ、グッ」


 次いで、アイカの結界も発動されたようだ。

 解放せずに一人のみに絞って暴風を行使しているから、やっぱり才能あるよね? あの子。

 周囲の船員達は人払いされたようにその場所を避けて通っているから、それを見たリディも驚愕しているね!


「な、急に辺りが暗くなったのじゃ!? 何処じゃ? 周りが見えないのじゃ!?」


 後は私が行使した暗幕結界だね!

 その後は殿下が元教皇に近付き声を掛ける。


「全く手こずらせおって。漸く、お主に返礼が出来るのぉ?」


 声音に怒りの色が満ち満ちているよ。


「!? こ、この声は、誰じゃ!? まさかお主が、見えない状態を作っておるか!?」

「何もしておらん。まぁ協力者はおるがな?」

「クッ… じゃ、じゃが、お主に何が出来るというのじゃ! この暗闇の中で何が!」


 暗闇は貴方だけだよ?


「別に何もせぬよ。ただ、面白い物を植え付けてやるくらいだがな」


 すると殿下は丸見えの元教皇の胸に何かを埋め込んだ。あれって不吉な色合いの石よね?

 元教皇は一時的に血反吐を吐き、


「グホォ! な、何じゃ? お主、我の身体に何をしたのじゃ!?」

「うむ。面白い物を植え付けたと申したであろう? 何、今から変化する故、身を持って体験すればよかろう?」

「な、なんじゃ…」


 突然、元教皇の身体が膨れ上がった状態になり服が破け肉塊となった。暫くすると『ボコボコ』と音を立てて萎んでいく。

 い、一体、何を植え付けたの?


『─ボコボコボコ! ブチャ! ボチャッ! バキバキバキ─』


 それから暫くは奇怪な音が続き最後の方では何かに変化した。あ、あれは、まさか!?


「やはりな。一万年分の魔力を持った()なだけはある。あの者が施した術自体が核には及んで居らんかったのは惜しいが、これはこれで見物ではあるのぉ」


 そう、殿下が植え付けたもの。

 それは何時ぞや討伐した〈魔族の核〉だったのだ。見た目からして爺さんだった筈だけど?


「はぁはぁ… 何じゃったのじゃ? ん!? 我の声が違う! 何故、おなごの声になっておるのじゃ!?」


 暫くすると、そこには角と尻尾の生えた全裸の女性が立っていた。


(元教皇が女性になっちゃった!?)


 リディもアイカも驚愕してるしエリス様も目を見開いて固まってるよ?

 すると殿下が愉悦を感じさせるそれはもう楽しそうな顔で理由を語りだす。


「それはそうであろう? お主に植え付けた物は魔族の将・サキュバスの核なのだから。そろそろ感じる事になるやもしれんが頑張って耐えるとよいぞ? その者の飢えは計り知れないからのぉ?」

「なっ!? グッ… こ、これは… !!」


 その後は見るも無残な光景が続く。

 女としては余り見たくない光景だね?

 アイカもリディも目を背けているし。

 エリス様は気絶されておいでだったよ。

 私としても流石に厳しいかな?

 てことで、ここから先は私が対処する事とした。殿下も気持ち悪い者を見る視線に変わっているし頃合いだろうね。


「そんなに救われたいなら、このポーションを飲むといいよ」


 殿下は私が桟橋に置いたポーションを見て驚愕する。


「お、お主、それをすると反撃されるやもしれぬぞ?」


 今は暗闇化を少しだけ薄め、ポーションだけが見える状態としたの。

 殿下としてはまさか助けるとは思わなかったのだろう。いや同性からしたら嫌な光景だからね。下手すると自分に投影しそうになるもの。

 現にエリス様が投影してしまって気絶しているし、理解している者は目を背けているから。

 だから私は苦笑いのまま理由を告げる。


「流石に、この光景は目の毒だしね? それならもう少しマシな(・・・)姿の方がいいと思ってね?」

「た、たす、かる、のじゃ…。うっ!?」


 はい! 飲んだ!

 ここから始まるのは、


『─ボコボコゴキバキボコバキバキン!─』


 これは〈幻惑蛾〉を倒した際のドロップ品だね。その効果は【それを飲んだ者が相応する姿へと変身し、一生変身した姿のままとなるポーション、魂はそのままに精神は消え、肉体が不死となる】という封印指定の危険物である。


「!? さ、先程よりも凄まじい速度で変身しておるが、一体何を飲ませたのだ?」

「ダンジョン地下三百層のボスのドロップ品だよ? その名も【変化ポーション】だね!」

「クックックッ… アハハハハハハハ! 我も相当だと思ったが、お主も大概だな!」


 殿下に大笑いされた!

 でもさ、サキュバスの核を植える方もどうかと思うよ? それにエリス様の身体の事を考えるとこっちの方が断然マシだし。


「そう? ほら? 見るも無残な全裸女性から可愛らしい雌豚に変わったよ?」

「全く、そういう事なら、態々嫌な物を確保する必要は無かったぞ?」


 殿下にとってはそうなのだろう。

 あれを討伐した時はゴミ(・・)仰有(おっしゃ)っていたから。でもそれを確保して、この場に持参しているのだから殿下も相当である。


(結果的に雌豚となったから良しとしたけど、これが雄豚だったら本当に嫌だったかも……)


 そう思いつつ嫌そうな顔で殿下の問いに返答した。


「イヤイヤ、雄豚が出来ても困るじゃない? あちこちで雌豚を孕ませるんだし」

「うむ。それは困る。まぁ結果的に雌豚となったならこれは何処かで飼うのか?」


 殿下も雄豚が跋扈するのは勘弁だったようだ。そして豚となった者を見つつも質問するので私はあっけらかんと目前に見える船を指さして送り先を示した。


「ううん。これはそのまま合国に送り返すよ。だって豚肉を食べるのは合国だけだもの。私達は基本、魔獣のオークだけだしね?」

「うむ。確かに、そうだな」


 そうして雌豚と化した元教皇はそのまま合国へと売り払った。それはヤツが食べた食材の代金としてだから、私達の腹は痛まなかったけどね。あちらとしても急に大きな豚が手に入ったとして大喜びだったよ。何でも雌豚が減って雄豚が跋扈しているそうで大変大助かりとなったらしい。

 まぁその際に〈不死豚〉とだけ言うと逆に素材を沢山卸して戻って行ったのだから、その需要は計り知れないであろう。

 でも食材として使えるの?『子であれば問題ありません』アレは食べられないのね『肉を切り取ると即座に肉が消えます』なるほど。


  ◆◇◆


 その後の殿下達は一度宗主国へと戻り新教皇猊下へと報告を終えたらしい。そして編入試験を受けた後、無事にAクラス入りを果たす。

 たちまちは私から二人に対しプレゼントを用意した事を笑顔で告げた『プレゼント?』それと共に敬称略で!


「一先ず、元教皇の問題は解決したけど殿下とエリス様。いえ、ヨハネスとエリスは反省房へと、ご案内するね?」

「「なっ!?」」

「忘れたの? ノルンハイド合国の事? 見てたからね、近衛の件と神官服の件?」

「「!!?」」


 やはり、忘れていたようだ。

 私は呆れを滲ませながら提示する。

 そう、勉強会での事は要反省が必要だよね?

 それと共に、一つ気掛かりがあるので、


「それとエリスは先程の件で精密検査するから一度医務室に移動してね? ヨハネスは責任を取って反省房で反省文を三千枚書くこと! 女性に見せてよい光景では無いからね?」

「なっ!?」


 殿下は枚数を聞いて驚愕してるけど仕方ない枚数だよ?


「エリスも、検査が終了次第、一千枚ね?」

「えーっ!?」

「わ、我より少ない」


 エリス様の枚数は少ないが普通に比べたら多いので驚愕してたよ。

 というか殿下は諦めなさい!


「ヨハネスの場合、女を苦しめる光景を見せたからでしょう? それならせめてエリスに対しては事前に言うべきだったんじゃないの? 知ってる者ばかりじゃないんだから」

「そ、そうだな。うむ。すまなかった」

「それは反省文で書きなさい!」


 殿下はシーナに連行され反省房へ移動した。

 その後のエリス様はというとやはり影響を受けてたようで予定外のあれが始まっていたよ。

 サキュバスの悶えは促進効果があるからね。

 だから仕方なく知識にある吸収剤を提供しましたとさ『確かに必要ですね』斯く言う私も始まっていたからね。

 ホント、殿下には参ったよ。普段よりも早いから狂うなんてものじゃない!!!


数年ぶりの改稿で申し訳ございません。

改稿を行いつつ続編を書いていきます。

〈改稿日:2022年12月19日〉

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