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無能と呼ばれた俺、4つの力を得る  作者: 松村道彦
第7章:頂から視る世界

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第535話:今度は

 

『はい。現在、世界各地で同時多発的に戦争行為が行われています。そのほとんどが中堅国家によるものですが、特にニーベルグ、ケルト、オリンポス領にそれらが集中しています。各大国はその対応に追われており、本来ニーベルグからも出せる部隊はありません。しかし、我々は義勇軍……ニーベルグ王、アディード様から自由に行動して構わないという承認を得ておりますので、少しでもお力になれればと思い、こちらに馳せ参じた次第です』


「あ……は……な、なるほど……で、でも4人……!」


『すでに、東の戦場は我が隊が掌握済みです。負傷されていたディーさんとルカさんも回収し、現在治療を行っております。また、差し当たって危険だと判断した南にも、こちらの隊員2名を派遣しました。おそらくですが、ロードが指定した時間までは持つと思われます。よって、後は北をどう抑えるかの勝負になります』


「お……おぉ!? えっ? ちょっ……あ、あなた何者!?」


『改めてご挨拶を。私はアーヴァイン遊撃隊の隊長を務めております、アスナと申します』


「アスナ……さん……アーヴァイン!?」


『はい。お気づきの通り、我々はロードの仲間です。故あってニーベルグに身を寄せ、様々なことを学ばせていただきました。その中で、義勇軍として活動をしております。また、兵法については、アディード様直々に手ほどきを』


「あ、あの"戦神"から……ご、ごめんなさい……ようやく飲み込めてきました」


『この状況ですから無理もありません。では、ひとまず私はカルサ様の補助にあたります』


「……分かった。フェンダー、そこにいるわね?」


 冷静になったカルサは、自身の補佐官の名前を呼んだ。


『はっ! こちらに!』


「あなたが認めているということは、確たる証明があったってことでいい?」


『はっ! ニーベルグ王の印が入った書状をお持ちです!』


「なるほどね……アスナ、あなたを一時的に部下として扱います。いいわね?」


『了解』


「ん。状況はどこまで?」


『最低限必要なことは全て』


「よろしい。差し当たって、東と南はあなたに任せます。私は北に集中する。もっと言えば、私はギブライとバーメディを抑えることに全力を尽くします。悪いけど残り全部……あなたとレヴィちゃんたちでなんとかして」


『了解。今後はレヴィと連携を取り、時間を稼ぎます』


「じゃ、よろしく」



 ──────────────────



「……よし、フェンダーさん」


「はっ!」


 ベンディゴ北側にある監視塔の最上部。

 通信が切れるや否や、アスナは早速動き出した。


「先程は現状説明をありがとうございました。ここからは、より詳しく情報を聞かせてください。まず、民間人の避難は?」


「すでに完了済みです。現在、そのままティーターンへ向けて行軍中であります」


「あたっている兵の人数は?」


「現在、行軍の誘導、護衛に約5千ほど……これでもギリギリです」


 民間人の避難を最優先し、当初は兵1万をそれにあたらせていたベンディゴであるが、避難がほぼ終わった段階で、最低限必要な人数を残し、街を囲う城壁へと兵士たちを回らせていた。

 その彼らは現在、結界内からカサナエル軍に対し砲撃や弓、魔法などで攻撃を行っていた。


「……では、その半数を北の防衛に回してください。また、出来るだけ戦える人を優先するようにお願いします」


「わ、分かりました。すぐに手配を」


「それから、この防御結界ですが……正直なところ、持つと思いますか?」


「あくまで推測になりますが……開戦当初にドラゴンの息吹ブレスをまともに受けていることと、カサナエル軍の攻撃を現在も受け続けていること、さらに、今後予想される敵の増援を考えますと、このままではおそらく……あっ、ですが、現在ベンディゴは、ティーターンの庇護を受けていますので今しばらくは耐えられるかと」


「庇護?」


「ええ。より正確に言えば、ティーターン本国の結界が、ベンディゴへのダメージを肩代わりする、といった感じでしょうか。結界の依代であるベンディゴの魔石に、ティーターン本国の魔石を一部融合させることにより、仮にこちらの結界が限界を迎えても、ティーターン側の結界が展開されます。しかし、あくまで一時的なものになりますので、やはりそう長くは……」


「持たない……か」


 カサナエル軍は結界から少し離れた位置に陣取り、遠距離攻撃が可能な魔法で結界を削りにきていたため、街を囲う城壁からは若干距離があった。

 そのため、内部からの攻撃が通りにくい状況だったのである。

 故に、彼らを止めるには打って出るしかないのだが、現在ベンディゴ内部にいる兵士たちは、衛生兵や砲撃手、または物資輸送などを行う、いわゆる後方支援を専門とする者たちがほとんどであった。


 それも当然で、戦闘に優れた者たちはすでに戦場に出ており、今まさに命を賭して戦っている。

 どうにか戦える者をかき集めたとしても、今アスナが配置換えを命じた兵士たちを含め、せいぜい1千人程度が限界であると、フェンダーは彼女にそう告げた。


「1千人……では、それで編成をお願いします」


「えっ!? りょ、了解……しましたが……」


「私が直接指揮をとります。それから、全員を────」


 アスナが付け加えた条件を聞き、フェンダーはハッとした表情を浮かべた。


「あっ……わ、分かりました! すぐに手配します!」


「お願いします。では、私も現場に……あ、すみません。レヴィと繋がっている通信魔石はありますか?」


「あ、こちらに……ですが、先程から応答がなく……"仕込み"についても今どうなっているのか……」


 アスナはそれを受け取ると、少し心配そうな表情を浮かべる。

 しかし、すぐに前を向いた。


「……とりあえずお借りします。では、すみませんが案内を」


「はっ! おい! アスナ様をご案内しろ!」


 兵士に誘導され、アスナは螺旋階段を下っていく。

 その際も、通信魔石に魔力を込めてみるが応答はなかった。


「ロード、レヴィ……今度は、私が助ける」


 彼女は、誰にも聞こえない声でそう呟くと、強く拳を握った。



 ──────────────────



 レヴィとズィグラッド。

 両者の戦いは苛烈を極め、そこはまさに今、死地と化していた。

 ズィグラッドは己の魔法を発動し、身体能力を爆発的に強化。

 その常人では構えることすら出来ない大剣と巨斧を、まるで棒切れでも振り回しているかのように扱い、彼は絶え間のない連撃を繰り出し続けていた。


 それはまるで、刃が舞う嵐のような光景。

 巻き込まれれば即座に命を失うであろうと、見る者全てが一瞬で理解出来るほど、明確な死の空間がそこにはあった。

 だが────


「ちぃッ……!」


 押しているのは、間違いなくズィグラッドである。

 だが、漏れ出たその苛立ちは、彼の口から発せられていた。


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◆新作を書きました◆ 読んでいただけたら泣いて喜びます。 よろしくお願いします。 落ちこぼれの宮廷魔導師、元英雄を飼う~私が拾ったのは、かつて世界を救った最強の人でした~
― 新着の感想 ―
頼もし過ぎる!あとはレヴィ出し惜しみ無しでやって下さいませ!
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