↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と呼ばれた俺、4つの力を得る  作者: 松村道彦
第6章:木漏れ日の時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/563

第389話:潜

 

「こ、これが……家? ……お城じゃないですか」


 転移直後、シェリルが上を見上げたままにそう呟く。

 最初に見た時は、俺も同じことを思ったな。


「やれやれ、これだから貴族ってやつは……」


「バ、バイザーさん……」


「目の前にいたら口には出さねぇよ」


 く、口には……大丈夫かなぁ。

 なんか不安になってきた。


「シェリル様、カレン様は私が」


「あ、すいま……ッ!?」


 横たわるカレンをレヴィが軽々と抱き上げたからか、シェリルは目を丸くしていた。

 魔族であるレヴィは、単純な腕力なら俺より上だ。

 ただ、見た目は普通の女の子だからな……。


「シェリル様、歩けますか?」


「あ、は、はい……なんとか……」


 解毒したとはいえ、まだ身体にダメージが残っているようだ。

 念の為、あとでアスクレピオスに診てもらった方がいいかもしれないな。

 さて、とりあえずバーンさんに……。


「レヴィ、俺が先に行って事情を話してくるから、ここでみんなと待っててくれ」


「かしこまりました」



 ―――――――――――――――――――――



「――――話は分かった。会おう」


 シェリルから聞いた話を伝えると、バーンさんはそう言ってくれた。


「ありがとうございます。グラットンさん、いいですか? 


「勿論だ。ビウス、部屋の用意を」


「かしこまりました」


「あ、ブランスさんは……」


「いいよ。バイザーと仲良くやれるかはしらんが」


 ……大丈夫かなぁ。


「そんなことより……連れ去られた2人が心配だな」


「……はい」


 ティア、アスナ……早く……。


「その時の状況とか、攫った相手のことなんかはまだ聞いてないんだろ?」


「あ、俺が聞いたのは今話したので全部です」


「分かった。とにかく話を聞こう」


「じゃあ、すぐに連れてきます」


「ロード」


「は、はい?」


 部屋から出ようとしたところで、バーンさんに呼び止められた。


「分かっているとは思うが、焦りは禁物だぞ」


「ッ!」


 ……本音を言えば、今すぐにでもシュメール城に乗り込みたかった。

 いや、本当に城の地下にあるのかはまだ分からないが、今こうしている間にも、2人が何かされているんじゃないかと思うと……。

 それを出さないように、なるべく考えないようにしていたのだが、バーンさんにはバレていたようだ。


「いけるな?」


「……はい。みんなを連れてきます」


「ああ」


 部屋を後にし、長い廊下を歩く。

 みんながいる玄関先までは一本道だ。


「2人が連れ去られたのはついさっき……」


 あ、つい口に……やっぱり焦ってるんだな俺は。

 まだ大丈夫……きっと大丈夫だ。

 けど、もっと前に捕まった人達は、今この瞬間にも……どちらにせよ、急がなきゃならないのは間違いない。

 バーンさんがどう考えているかは分からないが、出来ればここ2、3日の間に――――


「ロード様?」


「うおっ!? あ……」


 気付くと、みんなを待たせていた場所まで戻っていた。

 やばいな……少し落ち着かないと……。


「大丈夫ですよロード様……必ずまた会えます」


 そう言って、レヴィはニコッと笑った。


「……ああ。そうだね」


 ありがとな……レヴィ。


「で? 俺達はいつまで待てばいいんだ?」


「あ、すいません! 話は通しましたから行きましょう」


 待ってろよ……ティア、アスナ。

 必ず助けに行くからな。



 ―――――――――――――――――――――



 カレンをこの屋敷の執事さんに預けた後、私達はロードさんの後に続き、赤い絨毯が敷かれた長い廊下を歩いていた。

 ふと見ると、壁には高価そうな絵画が飾られ、通路の両端には、これまた高価そうな彫刻や鎧などが並べられている。

 本物のお金持ちって感じね……。


「失礼します」


 やがて辿り着いた大きな扉。

 ロードさんは、二度ノックをした後にそう声を掛け、ゆっくりと扉を開いた。

 するとそこには――――


「ッ!?」


 こ、この人は……!


「こりゃまた……とんでもねぇ大物がいたもんだ」


 か、神殺しのバーン……!

 ロードさんが連絡を取り合ってる仲だって言ってたけど、まさかこの国に来てたなんて……。


「一応自己紹介しとくぜ。バーンだ。よろしくな」


「あ、は、初めまして……シェリルです。よろしくお願いします……」


「バイザーだ」


「よろしくな。あんたの噂は耳にしてるぜ」


「フン……どうせろくでもない噂だろ?」


「いや……あんたがいたから、この国は体裁を保てたと俺は思ってる。やり方はまた別の話さ」


「……そりゃどうも」


 と、とんでもない魔力同士がぶつかり合って、頭がクラクラしてきた。

 バーンさんとバイザーさんは勿論だけど、銀髪の女の人もやばいし、あっちの少し小柄な男の人も……。


「俺らも自己紹介しといた方がいいよな?」


「だな」


「俺ブランス。よろしく」


「ッ!」


 ……なるほど。

 この人があの"箍無し"か。

 バーンさんを初めとするSSSランクの顔は情報誌で見ていたが、ブランスさんのことは知らなかった。

 噂は聞いていたから、もっと大柄でおっかない人を想像していたけど……なんだか可愛い感じなのね。年上だけど。


「ワシはグラットン。この屋敷の主で、ブランスの父だ」


「あ、よろしくお願いします」


「とりあえず、人数分の部屋は用意しておいた。警護の者も増員しておる。安心して過ごしてくれ」


「部屋を……?」


「まだその時の状況を聞いてないからなんとも言えないが、ティアとアスナを連れ去った奴らが、再び君達を狙う可能は高い。ギルドからここまではロードの力で転移してるし、仮に見張られていたとしても、今は見失っている筈だ。ここから動かない方がいい」


 なるほど……確かにバーンさんの言う通りだ。


「では、そうさせていただきます」


「うむ。何かあれば遠慮なく言ってくれ」


「すいません……お言葉に甘えさせていただきます」


「ん、次は私か。というより……私もした方がよいかな?」


「あー……まぁ、一応しといた方がいいんじゃないか? 信じるか信じないかは任せよう」


「分かった。我が名はバハムート」


 ……ん!?

 バ、バハムー……えっ!?


「バ、バハムートって……あのバハムートか?」


「ああ。この身体は魔力と血で作った分身体だ。竜の身体は別の場所にある。故あって、今はロードと行動を共にしていてな。此度のことにも協力するつもりだ。よろしく頼む」


 ……とんでもない面子ね。

 でも、おかげで希望が見えてきた。

 この人達が協力してくれるなら……きっと……。


「じゃ、自己紹介も済んだし、早速本題に入ろう。座ってくれ」


 バーンさんに促され、私達はそれぞれ椅子に腰掛ける。

 それと同時に、さっきカレンを連れて行ってくれた執事さんが、人数分のカップを手に現れた。


「執事頭のビウスだ。何かあれば彼に」


「ビウスです。よろしくお願い致します」


「あ、よろしくお願いします」


「カレン様はメイドに任せてきましたので、どうぞご安心下さいませ」


「はい。ありがとうございます」


「さて、まずは2人に、今俺達が置かれている状況を話そう。信じられないこともあるかもしれないが……ほぼ間違いないと思う。心して聞いてくれ」


「はい……」


 そうして、バーンさんは語りはじめた。

 この国……いや、この世界に潜む……巨大な闇を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。