↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と呼ばれた俺、4つの力を得る  作者: 松村道彦
第6章:木漏れ日の時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

310/563

第302話:面倒

 

「わきゃっ!? いっ!?」


 あ、あいつが気絶したから魔法が解けて……!

 うぅ……腰打っちゃったよぉ。


「よぉ、大丈夫か?」


「いちち……あ、うん……あの、助けてくれてありがと……ズィードさん」


「礼はいらねーよ。別にお前を助ける為にドアをぶち破った訳でも、こいつらをぶん殴った訳でもねぇ。全部たまたまだ」


 あ、相変わらずこの人は……!


「とにかく! ありがとうございました!」


「な、なんで怒ってんだよ……」


「普通に"どういたしまして"って言えばいいでしょ!? もう!」


「は、はぁ?」


 素直じゃないんだから!

 まぁいいや……多分これ以上言っても無駄だし。


「で? ズィードさんがなんでここにいるの?」


「そりゃこっちの台詞だ。久々に会ったと思ったら縛られてるし……つか、お前なら余裕で倒せる相手だろ?」


「……町は苦手なの。特に建物の中はね。自然物がないでしょ?」


「あー……そういうことか。いい魔法なのに不便だな」


「そうなんだよね……って、そうじゃなく!」


「はいはい分かったって……俺は知り合いに会う為にこの町へ来てたんだよ」


「知り合い?」


「ああ。依頼でこっちに来る必要があってな。で、そいつは大抵北にいるから、久々に酒でも飲もうと思って連絡したんだ。本当はコールドシューズで待ち合わせてたんだが、あの野郎待ってるのに飽きたんだろうな……俺を待たずに先へ行っちまったんだよ」


 ……ん?

 なんかどっかで聞いたような……。


「この町に行くってのは最初から決まっててよ。多分このカジノだろうと思って来てみたら、案の定というかなんというか……ここの3階にあるスロットでバカ勝ちしててな。んで、しょうがなく隣で待ってたら、支配人とその手下に囲まれちまったって訳だ。まぁ、勝ち方が尋常じゃなかったから怪しまれたんだろう」


「な、なるほど」


 私と同じか……。


「あ、でもさ、ズィードさんなら裏に連れてかれる前にどうとでも出来たんじゃ……?」


「店ん中で暴れるのは立場上まずいんだよ。それに、多分あの馬鹿は魔法を使ってた。だから、若干の負い目がな……」


「えっ? だって腕輪……あれ? ズィードさんつけてないじゃん!」


「ん、ああ……俺のは隣でひと暴れした時にぶっ壊した。うるさかったんでな。だが、あの野郎の魔法なら……多分鳴る前に外すことが出来る」


「そ、そんなこと出来るの!?」


「そういう魔法なんだよ。多分あいつがバカ勝ちしてたのも、スロットの中を弄って当たりやすくしてたからだろうな。じゃなきゃ、いかに高レートとはいえ……スロットで1000万も勝てねぇさ」


 1000万か……なんか大したことないように感じてる自分が怖い。


「んで、2人揃って隣の部屋に連れて行かれたまではいいが、あの野郎……1人でとんずらしやがったんだよ! 魔法使ってな! 俺残して! 俺は悪くねぇのに!」


「そ、そういうこと……」


「だから俺もあの馬鹿が許せなくてよ……連中に手を貸そうと思って色々話してたんだが、なんか距離が近いなと思ったら……段々とオネェ言葉が出だして……」


 あ……そういえばさっき……隣の連中はそういう趣味だとかなんとか……。


「いきなり全員が俺を抱きしめようと……あークソがッ! 思い出しただけで鳥肌が……と、とにかく! それで全員ぶっ飛ばして部屋から出たんだ……」


「それは……災難だったね……」


「本当にな……で、隣にも似たような部屋があったから、ひょっとしたらここに隠れてるかもしれねぇと思ってな。怒りを込めてドアをぶん殴ったら……お前がいたって訳だ」


「はは……よっぽど怒ってたんだね」


 あの雄叫びはそういうことか……。


「マジで頭にきたからな……普通逃げるか!? 友達置いて1人でよ! ったく、おまけにムキムキで髭面のおっさんどもに……! はぁ……あれの相手をするくらいなら、まだ竜王とやり合ってた時の方がマシだったぜ……」


 えっ!?


「ズィ、ズィードさん! 竜族との戦争に参加してたの!?」


「な、なんだよ急に……参加してたけど?」


 そっか……ギリシア奪還に手を貸したSSSランク冒険者って……ズィードさんのことだったんだ。


「あ、ひょっとして……ロードのことか?」


「そ、そう! 無事なのは知ってるけど……怪我とかは!?」


「あー……そういやぁボロボロだったなあいつ。右腕はヨルムンガンドに喰われちまうし、ティタノマキアには記憶を消されちまうしで……」


「み、右腕っ……記憶消さっ!?」


 何それ!?

 どういうこと!?


「お、落ち着けって……どこまで聞いてんのか知らねぇが、もう記憶も戻ってるし、右腕は伝説の義手がくっついてる。別れる頃にはピンピンしてたぜ?」


「そ、そっか……よく分からないけどよかった……」


「つか、世間じゃ一応俺ってことになってるが、竜王ヨルムンガンドを倒したのもロードだしな。あいつがいなかったら……多分俺は死んでた」


「えっ!? ズィードさんでも……」


 竜王ってそんなに強かったんだ……。


「俺の魔法との相性もあったが……っていうかよ、とりあえずここから離れようぜ? こいつらの仲間が来たら面倒だし、続きは後にしようや」


「そうだね……あ!」


 やばっ!

 アスナとディンさんのことすっかり忘れ――――


「ズィードさん私の……!」


「待て……誰か来る」


「えっ……?」


 ズィードさんにそう言われて耳をすますと、確かに廊下から走る音が聞こえてくる。

 それも……複数の。


「……俺の後ろに下がれ」


 私は無言で頷き、ズィードさんの背後から部屋の入り口をじっと見つめる。

 そうして、音が段々と近付いてきて――――


「ティア!」


「無事か!?」


「ア、アスナ! ディンさ……!?」


 ぽっかり空いた部屋の入り口に、慌てた様子の2人と……。


「ほ、ほら……! 嘘じゃなかったでしょ!? ウゲホゲホァッ……だ、だからもう許してくらはぁい! お金は払いますからぁ!」


 恐らくディンさんによってボッコボコにされた支配人が……うわぁ……。


「黙ってろ! おいてめぇ!」


 直後、ディンさんの鋭い視線が、支配人からズィードさんへと移っていた。

 やばい……ディンさん勘違いしてる!


「ディンさん違ッ……!」


「さっさとティアから離れッ……んん!?」


 あ、あれ? なんか様子が……。


「……なーんであんたがここにいんだよ」


「ズィ、ズィードじゃねぇか! てめぇこそなんでここに……!」


「へ? し、知り合いなの?」


「ん、ああ……前にバーンの紹介で、ニーベルグの依頼を受けた時に会ったからな」


「あ、そうだったんだ」


「ティア、こいつは一体どういう……あっ!」


 その時、支配人がディンさんの手を振りほどき、部屋の隅にうずくまってガタガタ震えだした。


「お、お金は払いますぅ! い、いや! 払わせてくださぁい! だから殺さないでぇ……!」


「……ディンさんやりすぎ」


「だ、だってよぉ……」


 私は彼の元へ行き、震える肩にそっと手を置く。


「ひぃっ……!」


「私はイカサマなんてしてません」


「は、はいっ! 分かっておりまぁす!」


「でも、もう面倒くさいのでお金はいりません。その代わり、賭けたお金を返してください」


「え、あ、ひゃい! お、おいくらですか!?」


「5万」


「あ、それなら持ってまぁす!」


 そう叫びながら、支配人は懐から財布を差し出す。

 私はそれを受け取り、ディンさんへと向き直った。


「とにかく話は後! さ、脱出しよ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。