表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

地下の手紙2


  息子へ


 この手紙を読んでいるということは、お前はダンジョン最奥部を目前にしているのだろう。

 少し前に、王都ギルドがお前の強さを恐れ追放措置を取ったとの噂を聞いた。それほど力があるのなら、宝箱に薬草が入っていなくとも平気なはずだ。

 ということで薬草はこの老体の回復に使い、またも役に立たない手紙を忍ばせる。



 死期が近いせいか、いざペンを走らせると心に浮かぶのは昔の出来事ばかりだ。母さんとの出会い、結婚、そしてお前の誕生と──

 母さんの死。


 深い悲しみを晴らしてくれたのはお前の成長だった。

 小さなお前が地下室の壁を破壊した時、私は喜びに震えた。

 ああ、何という才能だ!

 この子は私をはるかにしのぐ魔道士になるに違いない。そして多くの人々を助け、守り、苦しみから救ってくれるだろう……

 不甲斐ない父にもそんな感動が息づいた日があったと知っていてくれ。



 ところで、先程の忠告を覚えているだろうか。


 お前の魔法の才能は私もよく知っている。だが強い力ほど使うべき時を誤ってはいけない。私には屋敷以上に心配なものがあるのだ。

 それが何であるか、母さんを思い浮かべればおのずと理解できると思う。


 母の面影を忘却したなどと笑えない冗談を言ってくれるなよ?

 暖炉の上の小さな肖像はそのままにしてある。もしまだ目にかけていなければ、一度戻って顔を見せてやってはどうだ。



 つまらぬ説教は終わりなので安心してくれ。

 病身に無理をして息苦しい。私の冒険はここまでのようだ。これを最後の手紙として筆を置き、お前の無事な帰還を祈っている。



   思い出の家へ帰る父より


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ