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世界終了のお死らせです  作者: 透坂雨音


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第26話 最後のフロア




 橘紅蓮というクズ人間が役立たずになっている間に、六層の脅威が取り除かれた。その後だった。


『―――本日はお忙しい中、ご来場いただき誠にありがとうございます。只今より最終フロアにご案内します。当階に御用のある方はその場で待機をお願いします―――』


 フロアに女の声が響いた。久々に聞いた、クソ忌々しい破壊神の声だ。

 わざわざ階段を昇るべくもなく案内だそうだが。俺の心境はこうだ。謹んで丁重に辞退してやらぁ。自分の足の方が何倍も信用できる。突然転移でいい思いをした試しがない。


 しかし、奴はそんな方法を許すような相手ではなかった。自己勝手が極まりすぎている。


 相変わらず外身だけは丁寧な言葉で『――-しばらくお待ちください。他の挑戦者様と足並みをそろえるためにも、時間を凍結させていただきます―――』そんな事を追加で言い加えやがった。


「あ? そりゃ」どういうことだ、と聞くえる前に実行。白い光がフロアを覆い尽くす。問答無用かよ。そうだ、こいつはそう言う奴だった。


 文句を言う暇もなく、許さず、視界がホワイトアウトした。





 次に視界に色が戻った時には予想通り別の場所だった。

 生きたまま凍結されたらしい。実感はないが。後遺症が残る様なそんなもんがあったら困る。


 周囲には、凍結される前に近くにいた人間とは別の人間達が立っている。また立ち位置をシャッフルされたらしい。


 しかし、破壊神の仕業なのか幸運が珍しく仕事したのか、近くに里留がいたのには驚いた。


 里留の腕を掴む。「紅蓮?」低い位置から視線が見上げてくるが説明する気はなかった。「今、七層だ」試練不参加だった里留は、「えっ……六層、あれ?」当然混乱している。


『―――只今より、最終試験を開始させていただきます。このフロアの攻略条件は単純明快。最後に一人残る事です。皆さまのご検討をお祈りしています。それでは良い時間を―――』


 クソ。やっぱりそう来たか。薄々そうなんじゃないかとは思ってたが。


 周囲を見る。アレンはいない。ベティ―も。ローランも。あのシェリーも。里留はここにいる。


 すぐにフロアは喧噪で満たされた。


 その中でも一際目立ったのが、離れた場所に転移したアレンだ。

 遠くにいてもすぐ分かる。目印要らずだ。


 奴は反撃も許さず、片っ端から襲いくる相手の命を刈り取っている。

 ここにいるという事は六層の試練は突破したらしい。何せ天才だし。当然なんだろう。


「俺から離れるなよ」


 この状況で一人でどっか行くとは思えないが、里留の腕を離す前に言い含めておく。返事はない。周囲の様子に怯えている。だか、気遣っている余裕はなかった。


 正面から一人。叫びながら突進してくる奴がいる。


「うおぉぉぉぉ!」


 来た。敵だ。


灼熱陽光(プロミネンス)!」


 俺は、剣を振り上げ迫ってきたそいつを魔法で燃やし尽くす。それが目立ったのか、次から次へと周囲から人がたかってくる。クソ、対応間違えたか。


「死ねえぇぇ」うるせぇ。「壊れろぉぉぉ」物じゃねぇ。「くたばれ」死んでたまるか。「はあぁっ!」こんなところで終われるかよ。


 燃やしては殺到され。殺到されては燃やす。

 俺んとこ来んじゃねぇ。迷惑だ。他の奴にしろよ。

 人の焼ける光景を至近距離でなんて、誰が見たがる。

 敵だろうが敵じゃなかろうが、進んで人を火あぶりにしたいわけじゃねぇんだ。


「何で……」背後から里留の声が聞こえてきた。声がかすれていた。「悪ぃけど、目ぇ瞑んなよ。抱えて走る余裕なんてねぇ」こんなガキに見せていい光景じゃないだろ。


 そろそろ捌くのがきつくなってきた。数の暴力だ。灼熱陽光(プロミネンス)を使って排除するにしても、叫んで実際に行使するまではタイムラグがある。それに俺達自身が焼け死ぬリスクがあるから常に炎から遠ざかり続けなければならない。


 どこかで処理しきれなくなるだろうと思っていた。それが今きた。こんな具合に。


「近づかなければいいって話だろう? ねぇ」

「ベティー!」


 炎の壁の向こうから鞭が飛んできた。




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