脱出~スポット発見~
「とりあえず収まったけど、出たらまた来るかも知れないよ?」
「うん。テイルも心配してるだろうから、そろそろ戻りたいんだけど・・・。結界を張って出てみようか?」
意思をもっているのかどうかも分からない相手に、不可視が効果があるかどうかは分からないけど、どの道、出ないといけないし。
私だけ、結界を張り、心配するラムネちゃんに大丈夫と言ってから、空間から出て見ると
ズアア!
また闇が襲ってきた。
アルカンを抜いて迎撃していき、今度は普通の結界を張ってみるけど、それもダメだった。結界はあくまでも実態がある者しか防ぐことは出来ない。魔法だって、集めた魔力を具現化しているから防ぐことが出来るけど・・・闇なんて得体の知れない物を防ぐのは無理だ。
もちろん魔法としての闇なら、防ぐことは出来るけど、効果が無いってことはこれは多分魔法じゃない。
本当になんなんだろう?これは。
「アカネ!」
振り切ってラムネちゃんが開いた空間に入る。
「出たら襲ってくる。結界も効果がない。というわけで、逃げるよ?」
「うん」
闇は確実に私たちだけを狙ってる。
街の住民は狙われてないし、当たってすらいない。私たちがこっちの物に触れる時の様にすり抜けている。
全く、区別すんなっての。
「それじゃ、行くよ?ラムネちゃんは追ってくる闇を出来るだけ払って」
「うん」
抱きかかえて、歩いてきた方向に出ると正しく待ってましたと言わんばかりに闇が迫ってきた。一気に駆けだして道を突っ切り、当たりそうになった闇はラムネちゃんが払う。それを繰り返しながら、街の入り口が見えた所で
「テイル!!」
名を叫ぶとテイルが翼を一気に広げた。
「先に飛んで!」
「分かった!」
私も速度を上げて、ラムネちゃんをしっかり支える。
街を出た所で飛び立ったテイルに向かって跳躍し、背中に飛び乗る。
「全速力!ここから出るよ!」
「うん!しっかり掴まってて!」
ラムネちゃんを片腕に支えて、尚も追ってくる闇を斬っていく。
入り口が見えた所でそれをラムネちゃんに変わり、背中から飛んで入り口を入って来た時と同じように斬りつけて開き、その中に入った。
「はあ・・・疲れた。これどうしようか?」
「放っておけば、自然と消えると思うけど」
「でも、誰か迷ったりして入っちゃったら危険だし、とりあえず不可視の結界張っておこうか。当分は持つでしょ」
不可視の結界を『自立型』にして、黒い穴の周りに展開すると、とりあえず見えなくすることは出来た。ついでに思いついた、人避けの結界も張っておいた。これなら大丈夫。
多分。
「よし、帰ろう!そしてお風呂入ろう!」
「「うん」」
テイルに乗って森から飛び立ち、少し空を見上げて、視線を前に戻す。
「ん?」
そこで結構遠くの方に何か湖みたいな物が見えた。
なんだろう?
「テイル、あそこにある湖みたいなの、見える?」
「え?あ、うん。見える。あそこに行くの?」
「うん、行ってみよう?ラムネちゃん、もう少し我慢してね?・・・ラムネちゃん?」
返事が無いから見てみると
「すぅ~・・・すぅ~・・・」
気持ちよさそうに眠っていた。
「ラムネ、寝てるの?」
「うん、疲れちゃったんだね。テイル、ゆっくり飛んでもらえる?」
「分かった」
普段よりも随分ゆっくり飛行するテイルの背中に乗って、ラムネちゃんを支え、またアルカンを抱かせる。夢とは言え、誰もいないっていうのはやっぱり寂しいかも知れないし。
そういえば、こっちに来てから夢って殆ど見てないな・・・アルカン関連を除いたら、見てないかも。大抵の場合、夢は見ていても覚えてないみたいだけど・・・その場合でも見たかな、っていう感覚くらいは残ってるけど、それすらも無い。
・・・ま、いっか。
頬を撫でる風を気持ちよく感じながら、さっきの湖らしき所をみていると、それはやっぱり湖だったことが分かった。うっすらと靄みたいな物が掛かってるから、もしかしたら温泉かも知れない。
辺りは雑草と岩に囲まれているけど、魔物の姿は無いから多分大丈夫だ。
周りよりも少し平坦になっている場所に着地したテイルの背中から、ラムネちゃんを抱えて飛び降り、見てみると、それはやっぱり温泉だった。
「よし!入ろう!」
決定!




