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歪みの向こう


「それじゃ、いくよ?」


私の問いにテイルとラムネちゃんは頷いた。


森に来た私たちは最初は魔物を殲滅しようと思ったけど、記憶操作の力を魔物相手にも使えないかと思い使ってみた所、認識できている魔物の記憶を操作することができたから、他の魔物達も元々この森に住んでいる魔物達と馴染めるように、纏めて記憶を操作した。


私たちのことは敵じゃないという軽い認識で済ませた。


こうなった異変を探して森を歩いていると、途中でアルカンが震えた。


テイルとラムネちゃんを呼び止めて、私は腰のベルトからアルカンを鞘のまま抜いて目の前に翳す。

すると、アルカンが右の方を向いた。


それに従って進んでいき、暫く進むと今度は左へ、また右へと行った感じで奥を目指していくと、そこでアルカンの動きが止まった。

感じてみるとそこは歪みが発生していた。


奥にあって、誰もここまで来ていなかったから気付かなかったんだ。


その歪みを見ているとラムネちゃんが中に入ってみようと言った。真剣モードだったから、おそらくこの歪みには何かがあるんだろう。


アルカンを抜いて歪みに近づき、振りかぶって歪みを斜めに斬ると一気に拡がり、今のテイルでも余裕で入れる程の大きさになった。アルカンにお礼を言って鞘に収め、2人を見てから頷き合って私から中に入っていく。


中は真っ暗で何も見えなかったけど、少し先に光が見えていたから、どこかに繋がってるのは間違いないと思う。後ろからテイルとラムネちゃんが入ってきたことを確認して、光に向かって進んでいき、外に出て、光によって閉じていた目を開くと


「うわぁ・・・」


思わずそんな声が漏れた。


テイルとラムネちゃんも同じみたいだ。


見渡す限りの草原が広がっていた。


どうしてそれだけでこんなにも感動を覚えたのかは分からないけど、分からなくても良かった。私たちはこの景色を見て感動した、それだけで十分だった。暫くの間、私たちはその景色に見惚れていて奥に人影が見えた所で、やっと警戒を始めた。


魔物が出なくて本当に良かった。


人影の数は1つ。

相手は1人だ。


敵かどうかなんて分からないけど、見知らない場所で簡単に警戒を解いてはいけない。今までも結界を張っていたから危ないことはなかったけど、それは単に私の結界を破る力を持った魔物がいなかっただけのことだ。


この前戦ったフレイム・ドラゴンの攻撃も結界だったら防ぐことができていたかどうか分からなかった。と言ってもあの時はそんなことを考える余裕なんてなかったけど。


人影が数十メートル先まで来た。多分女だろう・・・遠目からでも分かる程のスタイルの良さだ。ちょっと羨ましいな。と思っていると、向こうが走ってこちらに駆け寄ってきている。


「て!ちょ、ぶつかる!・・・え?」


とっくに私たちの姿が確認できる距離まで来ていたのにも関わらず女の人は走る速度を緩めずに走ってきて、ぶつかると思った私は思わず目を閉じたけど、とっくにぶつかる所まで来た筈なのに衝撃は来なかった。見ると、女の人はいなくて後ろを見ると、女の人が背を向けて走っていた。その先にはおそらく女の人を待っていたであろう、男の人がいる。


「どうなってるの?」


「アカネの体を擦り抜けたの」


「え?」


分からないまま呟くとラムネちゃんがそう答えた。でも、確かにそうでもないと説明は付かない。明らかにぶつかるコースだったにも関わらず、私も女の人もぶつかっていないんだから・・・。


「テイル?」


「ここ・・・何か変」


「何かって?」


「分からないけど・・・ちょっと上から見てくるね?」


テイルはそう言って飛び立った。羽ばたきによって発生した風が私とラムネちゃんの髪を揺らした。


周りの草木は一切揺らさずに。


確かにこの場所は変だ。あれだけの風が発生したなら揺れないなんてあり得ない。私は自分の足下を見た。少しの間見つめて足を退けてみると、そこに足跡はなかった。感触はあるのに、この場所は私たちを認識していない。


「ラムネちゃん、足下を見てみて?」


「?うん・・・・・・何もないよ?」


「今度は足を上げてみて。どっちでもいいから」


「うん。・・・あれ?」


ラムネちゃんも気付いた。いや、そもそもさっきテイルが飛び立った時点で気付くべきだった。今のテイルが地面に立ってそこに後が付かないなんて考えられないことなんだから。


「足跡がない?」


「うん」


ラムネちゃんが気付き私は頷いた所でテイルが戻ってきた。


「可笑しかった。ワタシが街の上を飛んでも誰も空を見なかったし、それにワタシの影がなかった」


テイルの言葉を聞いて私とラムネちゃんはまた下を見た。


確かに影がなかった。


どうなっているんだろう?この場所は・・・。


「とにかく調べてみよう。テイル、その街まで案内お願い」


「うん」


私とラムネちゃんはテイルの背中に乗り、その街へと向かった。




その途中、何度か下を見たけど、確かにテイルの大きな影はどこにもなかった。




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