意外と便利~歪みと異変~
「どうする?」
今朝目が覚めてテイルがいないことに焦ったけど、考えてみればあのサイズのテイルが一緒に寝られ無いから陰に入っていてもらったことを思い出し、起きたラムネちゃんも交えてどうにかできないか相談している。
一気に成体になったから大きさも桁違いだし・・・サイズを自由に変えたりできたら便利なんだけど。
それができればテイル自身既にやっているだろうしな・・・。
「テイルも分からないんだよね?」
『うん。一気に成長したから、戸惑ってる部分の方が多い・・・』
「だよねぇ・・・ラムネちゃんは?」
「わたしにも分からない」
まあ、分かればそもそも相談すらしてないもんね。
・・・・・・・・・・あ!
こういう時は神に聞けばいいのか。
「テイル、ラムネちゃん、今から私は良いって言うまでの間静かにしててね?」
『「うん」』
それから私は念じて久しぶりに神と会話した。
『やあ、久しぶりだね?』
『うん。それで聞きたいことがあるんだけどいい?』
『いいよ、なんだい?』
『テイルのことなんだけど・・・昨日フレイム・ドラゴンと戦ってる時に一気に成体になったの。それで、大きさも桁違いになっちゃったから、どうにかできないかなぁ、と思って・・・』
『成る程ね・・・テイルはシャドー・ドラゴンだよね?』
『うん、そうだけど・・・それがどうかしたの?』
『前は言い忘れていたんだけど、シャドー・ドラゴン、いや、龍族は成体になって一定期間が過ぎると体の大きさを自由に変えられるようになるんだ・・・テイルがそんな一気に成体になるなんて思っていなかったから、今度連絡があった時に伝えればいいと思ってたんだけどね・・・悪かった』
『ううん。教えてくれてありがとう。でも、それなら何でテイルはそのことを知らないの?』
『それは僕にも分からない。何かが原因でそのことを忘れているのかも知れないし、もしかしたら親が教えなかったのかも知れない・・・なんにせよ、テイルは大丈夫だよ?一定期間というのがそれぞれの龍族で違うみたいだけど、シャドー・ドラゴンは大体1ヶ月位だから。
他には何か聞きたいことある?』
『う~ん・・・・・・体のサイズを自由に変えられるのに、なんで他の龍族は変えないの?』
『ああ、それは単に必要が無いからだよ。本来人と龍が共存するなんてことは無いからね。その点に於いて君は特別かも知れない。他には?』
『ううん。今の所はもう無いよ?』
『構わないさ。またね?』
『うん』
『良い旅を』
『ありがと』
そこで念話を終えて、目を開き、
「もういいよ?2人とも」
2人にそう言った。
それからテイルとラムネちゃんに神から聞いたことを伝えて、街にいる間はテイルは私の影に入ってもらうことになった。
それから情報屋さんに行って何か変わったことは無いか聞いた。
昨日今日で何か変わるとは思ってなかったけど、流石は情報屋と言った所か、どんどん新しい情報が出てきた。そして、その中にあった『真っ直ぐ歩いたつもりがいつの間にか元の場所に戻ってくる森』と言う不思議な場所のことを聞き、お茶代を払って向かうことにした。
「ありがとうございました!いこ、テイル、ラムネちゃん!」
『「うん!」』
街の外に出て、テイルが成体に慣れたいと言うので背中に乗せてもらって東に飛びその森まで移動した。できれば速度をもう少し落として欲しかったです。
私もラムネちゃんも背中で目を回してしまいました。
「大丈夫?アカネ、ラムネ?」
「あはは・・・大丈夫大丈夫・・・でもちょっと休憩させて?」
「わた、し・・・も・・・」
それから5分程休憩して、まずは歩いて通ってみようと思い、歩くこと数分特に変化は無かったけど、よく見れば確かに見覚えがある場所に出た。本当にいつの間にか戻ってきてる。
「ちょっと穴開けようかな・・・せい!」
ドゴン!
「あ、やり過ぎた」
ちょっと凹ませよう位の気持ちでやったのに、30㎝くらい凹んだ。
「ま、いいか。今度は走って言ってみよう?」
「うん」
「分かった」
ただいま真剣モードのラムネちゃん。
何故?
それから走って森を突っ切ろうと思ったけど、
「お!あだ!」
何かに足が引っかかって転けた。
「いた~・・・これって、さっきの穴だよね?」
「うん」
「やっぱり戻ってきてるんだ・・・面白いな。今度は飛んで行ってみよう?」
「分かった」
テイルの背中に乗ってできるだけ低空飛行をして飛んでもらったけど、やっぱり戻ってきた。上から見たら何か分かるかなと思って行ってみたけど、見た目は何の変哲も無い森。上を通って行っても戻ってきちゃのかなと思って、飛んでもらったら、何か一瞬空間が歪んだ様な気がした。
「2人も感じた?」
「うん。何か変な感じがした」
「多分、空間の歪みが自然発生したんだと思う・・・何か大きな力同士がぶつかったりした場合もあるけど、この辺りにそんな力を持つような魔物もいないから・・・」
「でも、森を通った時は何も感じなかったよね?」
「もしかしたら森自体が何かの力を放っているのかも知れないけど、よく分からない」
「このままで良いのかな?」
「自然発生した場合は長くても2日くらい経てば消えるから、何もしなくても問題ないよ?」
「そっか・・・じゃあ、戻る?」
「アカネとラムネはもう良いの?」
「私は良いけど、ラムネちゃんは?」
「わたし・・・も・・・いい///」
あ、戻った。
それから適当にテイルが飛びたい方向に飛んで暫く空の散歩を楽しみに、街に戻った。
その晩アルカンと歪みについて話したけど、アルカンはどうも、あの歪みが自然発生した物とは思えないと言っていた。
森に行ってから約3週間。
情報屋さんに行くと、あの森に変化が起こったと言うことを聞いた。
いつの間にか戻ってくることは無くなったらしいけど、それと変わるように突然魔物の動きが活発化して、本来ならそこに棲息していない魔物までいるみたいだ。
私たちはまたその森に向かうことにした。
森に着いて見たのは森を埋め尽くす程の魔物の大群だった。




