表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Best Youth 〜君と一緒に〜  作者: ダークキング


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/23

三人の距離、ひとりの想い

「今日、何の日か知ってる?」

いつものように麻衣子と登校中。今日は直美も一緒だ。

朝から麻衣子が意味深なことを言い出した。

「え?直美、今日って何かあったっけ?」

「さぁ……特に何もなかったと思うけど」

「光司君は覚えてないの?」

――分からないふりをしていたけど、さすがにこれは分かる。

「麻衣子の誕生日だろ?」

「正解!ちゃんと覚えててくれたんだ」

「まぁな」

嬉しそうに笑う麻衣子。

「そうなんだ、麻衣子。おめでとう」

「ありがとう、直美」

「じゃあさ、誕生日ってことで明日どっか行くか」

「賛成!」

「直美、明日大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ」

「じゃあ三人で。麻衣子、どこ行きたい?」

「遊園地!」

即答だった。

「遊園地か……」

「それなら昔行ってたドリームジャパンでいいんじゃない?」

「いいな。近いし」

「じゃあ、帰りに細かい時間とかは決めよっか」

「ああ、もう学校着くしな」


昼休み(屋上)

「直美、ちょっといいか?」

麻衣子が席を外したタイミングで声をかける。

「プレゼント、何がいいと思う?」

「うーん……気持ちがこもってれば何でも嬉しいと思うよ」

「そんなもんなのか?」

「そんなもんだよ」

少しだけ考えてから、俺は続けた

「今日の放課後、時間あるか?」

「うん、空いてるよ」

「じゃあ一緒に買いに行かないか?」

「いいよ」

「帰り、麻衣子と別れてから」

「うん」

「――二人して何話してるの?」

振り返ると、いつの間にか麻衣子が戻ってきていた。

「え?いや、なんでもない」

「クラスの話してただけだ」

「ふーん……そっか」

どこか探るような視線だった。


(帰り道 → 直美と二人)

「光ちゃん、ちょっと聞いていい?」

「ん?」

少し迷うような間のあと。

「光ちゃんって……麻衣子と付き合ってるの?」

「は?そんなわけないだろ。ただの友達だよ」

「……そっか」

小さく頷く。

「でもなんでそんなこと聞くんだ?」

「最近、ずっと一緒にいるから……」

言葉の最後が少し弱い。

「まあ、たしかに一緒にいることは多いけどな」

少しの沈黙。

「じゃあさ……麻衣子のこと、好きなの?」

「え……?」

考えたことがなかった。

「……どうだろうな。分かんない」

「分かんない?」

「今は、誰が好きとかそういうのはないし」

「……そっか」

どこか納得したような、していないような声。

「直美はどうなんだよ?」

「え?」

「好きなやつとかいないのか?」

一瞬だけ、間があいた。

「……いないよ」

その間の意味は、結局分からなかった。


(プレゼント選び)

「麻衣子って何が好きなんだろうな」

「可愛いものがいいと思うよ」

店内を歩きながら、あれこれ見て回る。

「アクセサリーとかか」

「お花もいいと思うよ」

「迷うな……」

「あ、私これにする」

直美が手に取ったのは花柄のコップだった。

「いいな、それ。じゃあ俺は……これかな」

小さなリングがついたネックレス。

「かわいいね、それ」

「値段もちょうどいいしな」


(帰り道)

「なんか、初めてだよね」

「何が?」

「友達の誕生日を誰かと一緒に祝うの」

「そうかもな」

「私の誕生日って、いつも光ちゃんと可織ちゃんが来てくれてたもんね」

「まぁな」

「……ねぇ、光ちゃん」

「ん?」

「明日……楽しみだね」

「ああ」

直美は笑っていたけど、どこか少しだけ寂しそうに見えた。



ジリリリリ――

バシィッ。

遊園地に遊びに行く当日。

目覚ましを叩き止めて時計を見る。

「九時一〇分か……って、なんでだよ!」

飛び起きて階段を駆け下りる。

「おはよう、お兄ちゃん」

「おはよう、可織」

「朝ごはんは?」

「時間ないからいらない」

「もっと余裕もって起きなよ」

「アラーム間違えたんだ」

「八時のつもりが九時とか?」

「……そんなとこだ」

「お兄ちゃんらしいね」

言い返せない。

家を飛び出し、全力で走る。

直美の家に着いたときには息が上がっていた。

「おはよう、光ちゃん」

「お、おはよう……」

「寝坊したんでしょ?」

イタズラっぽく笑う直美。

「……なんで分かるんだよ」

「幼馴染だから」

――ずるいよな、そういうの。

「おっはよ~!」

「おはよう。ちゃんと起きてたんだな」

「もっちろん!今日は遊園地だもん!」

麻衣子は朝からテンション全開だ。

電車に揺られ、遊園地に到着。

「こんな感じだったか?」

「子供の頃より小さく見えるね」

「早く入りたい!」

麻衣子は待ちきれない様子で先に入っていった。

「最初はジェットコースター!」

「え、ちょっと待て」

「光ちゃん、高所恐怖症こうしょきょうふしょうなの」

「バラすなよ……」

結局、二人で乗ってもらうことにした。

俺はベンチで待機。

気づけば――

「光司君、起きて」

「……悪い、寝てた」

「これ懐かしいね」

「昔、可織と来てたときもよく乗ったよな」

昔からあったコース&コース

電車の小型版みたいな乗り物で、自分で運転出来る。子供の頃よく遊んだなこれ……。

「面白そうだし、みんなで乗ろう」

麻衣子は乗る気満々だが……

「これ大人三人は狭くないか?」

「そうだね……」

昔は三人乗っても余裕そうに思えたが、思ったより小さい。

「じゃあ、二人で乗ってきなよ」

「え……いいの?」

少し驚く麻衣子。

「うん。私は下で待ってるから」

「じゃあ、行くか」

「うん」

麻衣子は嬉しそうに俺とコース&コースに乗った。

それを見送る直美は笑っていたが、何処か寂しそうに見えた。

そろそろ時間だけど、最後になにか乗るか?

日が傾き始めた夕方。

「じゃあ……最後は観覧車で」

ベタだけど、たまにはいいか。

「それじゃ、観覧車行くか」

三人で観覧車へ向かう

「飲み物買って行かない?」

直美の提案で自販機で飲み物を買うことに。

「俺ちょっとトイレ行ってくるわ。適当になんか買っといてくれ」

「分かった」

トイレから戻ると、

「光ちゃん、ファンタでよかったよね?」

「ああ、サンキュー」

さすが幼馴染。俺の好きな飲み物は完全に把握してくれている。

「直美って、光司君のことなんでも知ってるんだね……」

羨ましそうに麻衣子が呟いた。

「俺の好みが昔から変わらないってのもあると思うぞ?」

「そうなんだ」

少しだけいつもの表情に戻る麻衣子。

「暗くなる前に、観覧車乗ろ」

一日遊び尽くして、帰り道。

「今日は楽しかったね」

「ああ。主賓が喜んでくれて何よりだ」

「ありがとう!」

その笑顔が、やけに印象に残った。


家に帰ると、

「お帰り。どうだった?」

「楽しかったよ」

「いいなぁ」

「可織の誕生日の時に連れてってやるよ」

「ほんと?約束だよ」

「ああ」

部屋に戻ると、そのままベッドに倒れ込む。

――楽しかったはずなのに。

なぜか少しだけ、引っかかるものが残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ