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The Best Youth 〜君と一緒に〜  作者: ダークキング


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交差する日曜日

「おーい、光司くーん」

「お、来た来た」

「おまたせ」

日曜日。今日は麻衣子と出かける約束の日だ。

「おはよう。時間ぴったりだな」

「おはよう。光司君はいつからいたの?」

「十分くらい前かな。ちゃんと見てたわけじゃないけど」

「待たせてごめんね」

「全然大丈夫」

「それじゃ、今日はよろしくね」

「おう。で、どこから行く?」

「まずはデパートみたいなところがいいな」

「なら玉谷たまやデパートだな」

「そんな名前、初めて聞いた」

「この辺だとここぐらいしかないからな」

「へぇ、ちょっと楽しみかも」

「で、何見るんだ?」

「服とか。いろいろ欲しいし」

「今日は一日付き合うつもりだから、好きなだけ見ていいぞ」

「ほんと?やった、ありがとう!」

ぱっと表情が明るくなる。

――そんなに喜ぶことかよ。

少しだけ、こっちまで嬉しくなる。

「学校には慣れたか?」

「うーん、まだかな」

「まあ、そのうち慣れるさ」

「うん、そうだね。……あ、そうだ」

「ん?」

「私の誕生日、六月十二日だから」

「いきなりだな。分かった、覚えとく」

「うん」

――祝ってほしいってこと、だよな。

口には出さないけど、なんとなく分かる。

「ほら、着いたぞ」

「わぁ……大きい」

「八階建てだからな」

「迷子になりそう」

「子供かよ」

「ひどーい!」

そんな軽口を叩きながら、店内を回っていく。

「これどうかな?」

麻衣子が白いワンピースを体に合わせる。

「似合うんじゃね?」

「それ、適当に言ってない?」

「いや、普通に似合ってるって」

「……そっか」

少しだけ嬉しそうに笑う。

「これもいいかも」

(やっぱり、女の子の服選びって長いよなぁ……)

「光司君、どっちの方が似合うと思う?」

麻衣子は白と黒のワンピースを持っていた。

「うーん……白かな」

「なんで?」

「なんとなく、明るい麻衣子には明るい色の方が似合いそう」

「……ありがとう」

少し照れた顔で麻衣子は呟いた。

「そろそろ休憩するか?」

「そうだね……ちょっと疲れたかも」

六階まで来たところで、さすがに足が重くなってきた。

「そこのベンチで休むか」

「うん」

「ジュース買ってくるけど、何がいい?」

「炭酸以外ならなんでも」

「了解」

自販機に向かう途中――

「光ちゃん」

聞き慣れた声に振り返る。

「直美?」

「こんなところで何してるの?」

「今日は麻衣子の案内役」

「ああ、この前言ってたやつ?」

「そうそう」

「そっか……大変だね」

少しだけ、声のトーンが落ちた気がした。

「直美も来るか?」

「ごめん。晩御飯の買い物だから、すぐ帰らないと」

「そっか……直美が作るのか?」

「うん」

「頑張れよ」

「ありがとう」

手を振って別れる。

……いつも通り。

のはずなのに。

なぜか、引っかかる。

「お待たせ」

「遅かったね」

「直美に会ってた」

「え?直美いたの?」

「晩御飯の買い物だってさ」

「呼んでくれればよかったのに」

「すぐ帰るって言ってたし」

「そっか……直美って偉いよね」

「いや、一人暮らしの麻衣子の方がすごいだろ」

「そんなことないよ。私、あんまり料理しないし」

「どっちもすごいってことでいいだろ」

「ふふ、そうだね」

小さく笑う。

「光司君は家のことやるの?」

「買い物頼まれるくらい」

「男の子だもんね」

「可織は最近料理してるみたいだけどな」

「へぇ……私も頑張ろうかな」

「無理すんなよ」

「うん、ありがとう」


「今日はありがとう」

デパートや商店街を回っているうちに、すっかり夕方になっていた。

「これでだいたい分かったか?」

「うん。これで困らないと思う」

「じゃあ、これ」

俺は持っていた麻衣子の荷物を麻衣子に渡す。

「荷物、持っててくれてありがとう」

「おう、気にすんな」

少しの沈黙――

一歩、下がって。

「今日は付き合ってくれて、本当にありがとう」

笑顔で手を振る麻衣子。

その笑顔が――

ほんの少しだけ、頭に残ったまま。

俺は家に向かった。

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