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おじさんは実際、半ば諦めていたんだと思うよ。


浮き上がろうとする力が中途半端でぼくは必死に腕を掻かないと呼吸できなくなっていた。


かざした手も変に力なくって、伸ばし続けようか、それともいっそ引っ込めてしまおうかって迷っているようでもあった。

 

それでもやっぱり水柱は底から押し上げられてきてしまったんだ。


ぼくは必死になって手足をばたつかせた。


でも、かなづちなんだから、体制を崩してしまったんだ。


おじさんといえば、なんだか力なく、不思議な発光体を見上げているだけだった。

 

ぼくは諦めるに諦めきれなかった。


だから暴れたよ。


おじさんの手は必死だったときの名残なのかいくら振っても解けなかった。



そんな時だった。



お尻をひどく突き上げる何かを感じたんだ。


それは水柱の、白いしぶきの束だった。


水柱が変な格好のぼくを押し上げてくれた。


それで、届きそうで届かなかった発光体に触れさせてくれたんだ。


ぼくは通風孔にしがみ付くと、発光体なんかより先に、気が抜けてだるい体をした重いおじさんを引き上げるのに躍起になった。


おじさんの手はぜんぜん外れなかったから、ぼく達はどっちにしろ一緒にいなくちゃならなかった。


それなら、ぼくを連れて泳いでくれたおじさんを通風孔の上に引き上げない手はなかったんだよ。


力の抜けた体を持ち上げるのはひどく疲れるものなんだ。


でも、ぼくが通風孔に上がったのを認めると、彼は正気を取り戻した。

 

「何してるのさ?」


ぼくはそう聞かずにいられなかった。


だって彼、すぐに上ってこられるのに、無理に下に留まって何かをしていたんだもの。


「もう手が抜けそうなんだ」

 

「待て、もう少しなんだ」


彼はどうやら、発光体がはめ込まれた鉱石を削っているみたいだった。

 

「そんなことしている場合じゃないよ!」


だからぼくはそう叫ばずにいられなかったんだ。


でも彼は、作業を続けながら、

 

「もしここを出られたとしても、ボス達に見つかったら終わりだ」


彼は通風孔の端に片足を掛けながら、


「この石は今後、色々役に立つに違いない」


なんてさっきまでとはまるで違う眼の輝きで言った。

 

少しの間、ぼくはおじさんの腰を持っていなければならなかった。


その間におじさんは発光体と睨めっこで目の中に色んな意味の光を見出していたんだろうけど、ぼくの周りといえば、終わりがないみたいな真っ暗闇が口を開けているようにしか見えなかった。


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