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暫くの間、水柱が収まるのを待つしかなかった。


実際ぼくはおじさんに首根っこ掴まれて、息継ぎだけをしっかりしていればよかったんだけど、おじさんは結構死に物狂いになっていたよ。


無理もない、対流の境界線が目に見えていて、中心へ吸い込まれるそれに入れば、多分らくだ口が言っていた、誰にも見つけられないところに行っちゃうんだってことくらいは、誰にだって想像が出来たんだもの。


だからおじさんはぼくというお荷物をご丁寧に抱え込んで、水柱が収まるのを辛抱強く待った。

 

見た目、水面が平静を取り戻しても、おじさんは暫く中心へ行くのを躊躇ったんだ。


というのも、依然として水面は上昇していたし、なんだか大きく緩やかに波打ったりで、またいつ水柱が飛び出してくるのか、わかったもんじゃなかったんだもの。


でも、着々と水面は上がるわけだし、地下室はドーム状になっているわけだから、結局はぼく達、じりじり中心へ向かう以外に道はなかったんだ。


だからおじさんは、思い切って、一気に中心へ向かうチャンスを待つことにしたんだ。


「どうして中心に?」


発光体を手にするより、まずはこの事態を生き残ることのほうが先決だって思ったぼくは、ブクブク言いながらそう訊いた。


おじさんといえば、ぼくが体を預けているっていうのに、結構安定した声で、


「さっき見えたんだ」


なんて、上手く飛沫をよけながら言うと、


「月明かりがあるときはわからなかった。気付いていたか? 天辺のあの石ころの直ぐ横に、通風孔のような穴があるんだ」


なんて、三回も息継ぎしながらいった。


「あそこなら、おれの体も通れるだろう」


そういって彼は、最後に、


「助かるぞ、おれ達」


と力強く言うと、全力で中心へ向かい始めた。

 

本当はぼく、身をよじって喜びを表したりしたかったんだけど、自分がおじさんにできることといったらじっとしていることくらいだったから、必死でじっとしていたんだ。


でも、彼の息継ぎの後の、発光体を見上げた声を遠く聞いていると、何だか不安になってきてしまったんだよ。


だって、彼の息は徐々に情けなくなってきたし、見ると、だんだん発光体が近づいてくるどころか、遠ざかっているように思えたんだもの。

 

おじさんは明らかに疲れ始めていたんだ。


無理もないよ、ここのところまともな食事にありつけていなかったんだし、どうしたって運動不足は否めなかったんだ。


それに、対流は意地悪に、中心から外へ外へと流れていたんだから。


おじさんが息継ぎをする回数は、だんだん増えていった。


中心には着けていても波と波長がうまく合わなくって、見えている通風孔の端にどうしても手が掛けられず、気付いたときには再び対流が不安定になっていて、そろそろ水中が突き出してくるときなんだって事が理解できた。


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