民謡
「それともおれ達は数字に囚われすぎているのか? もしかしたら、数字意外に重要な何かが隠されているのかもしれないぞ」
「第一節目に、くもいぼ、とあります。それに、四対足ともありますように、どうやらこの歌はクモの歌のようですね」
ユダにそういったツェッペリンはぼくとラバの間に強引に割り込みながら、
「サンディはこの土地の名称です。では、ブルームバーグとはどこを表しているのでしょう」
なんていって彼は、やっぱりフードを取り、案外精悍な顔つきをぼくに見せ付けて言った。
すると、
「ブルームバーグ。それはここのことよ」
とルーディーが、階段の一段目に足を掛けながら言った。
「では、ここの近くに谷があると?」
「ええ・・・」
ジェラールにそう呟いたルーディーはちょっと戸惑っている様子だった。
彼女は簡単に階段を上りきり、その先の何かを見つめていた。
ぼくは立ち止まったりなんかして、離れていくルーディーを見上げながら、なんとなく、幅の狭いこの階段を一足に駆け上がれないだろうかって考えていた。
段数は十も無かったし、できないことはないと思った。
「いずれにせよ、この周辺にこの先の手がかりがあるに違いない」
考えているぼくを追い抜きながら、ラバがそういうと、ツェッペリンもユダも、黙って階段を上がった。
「・・・おかしいわ。鍵がかかっていない」
顔だけ見えるルーディーは、赤い髪をちょっぴり降りながらそういうと、
「こんなことって、なかったわ」
って言いながらジェラールを見上げた。
「案外おれ達は歓迎されているのかもしれないぞ」
なんてジェラールは、ちょっと考えた後にいった。
そして、片方の目の傷跡にしわ寄せて、ルーディーに笑って見せたりした。
「―――どうしたスミシー。早く来るんだ」
「・・・ああ、直ぐにね」
いっこうに階段に足を掛けないぼくに気付いたユダに呼ばれた。
ぼくは漸く自分の気持ちに見通しがついて、勢いに任せ、直ぐにその場から三歩下がると、半身になり、腰を落とし、階段の始まりと終わりに何度も目をやりながら、
「みんな、どいて!」
なんて叫ぶのと同時に、全身で飛び上がった。
ぼくの試みは見事成功を収めたんだ。
階段を一足で上がれたんだよ。
でも、跳躍の途中でバランスを崩してしまったようで、着地に失敗してしまった。
三歩下がったのがまずかったのかもしれない。
ちょっと勢いがつきすぎて、ぼくの体は、ルーディーとジェラールの間を引き裂いたついでに、その先にあった扉かなんかも勢いよく押し開けてしまったんだ。




