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赤い砂漠

人はよく、どんなところを好きになったのかって聞くけれど、僕はそんなことより先に、誰を好きになったのかを確かめる必要があるんだと思うよ。


やさしいとか、かっこいいとか、肌が白いだとか、黒いだとか。


寂しがり屋だとか、高飛車だとか、へそまがりだとかさ。


どっちにしろ、大体初めが肝心なんだよね。


初めに決まりの悪いとこを見られちゃったりしたらだめとか、そういうことじゃなくて、そんなとこを見られたって、心の底では好きか嫌いかが関係なく決められちゃってるんだと思うよ。


その後からその人のいいところも悪いところもだんだん知っていって、すきって事に改めて気付いていくんだと思うよ。


赤いスープをくれたおじさんも、ひどく冷たくてかたっくるしいアスファルトしか見たことのなかった僕に、砂漠なんかに連れて行かれる機会を作ってくれたんだし、ちょっとやつれてはいるけど、嫌いじゃないって気持ちが芽生えてきていたりしていたんだ。

 

ボスの家から連れ出されたぼく達は、目隠しされて、すぐに出発したんだ。


手は縛られていたし、結構不自由を感じていたな。


でもね、そんな状況でも案外自由になるところは多いんだよね。


まず足は縛られていなかった。


それに、耳だって塞がれてなかったんだ。


それより何より、トラックがひどくガタガタいう振動がきちんと伝わってきていたよ、まいったね。


目隠しされていたのに、僕らはでっかい布でぐるぐる巻きにされていた。


ひどく苦しかった。


黒尽くめのおじさんたちは、ぼく達を荷物―――それも飛び切りやっかいなやつ―――みたいに扱ったんだ。


その証拠に、長い移動でつかれきっていたぼくを、肩かどっかで乱暴に担ぎ上げると、暫くぶらぶらさせて、合図もなしに腰から落とした。


「痛いじゃないか!」


なんて叫んでみたんだけど、蓑虫みたいな格好じゃあ迫力に欠けるよね。


「坊主、ついたぞ。ここからは自分達で歩くんだ」


「御慈悲を・・・」


おじさん、ひどくやつれてるんだよ。目隠しがはずされたからわかったんだ。


目隠しをはずしたから、なんとなく目を細めたりした。


でも、一向に眩しい感じにはならなかったな。


きっと夜なんだよ。


心臓が煮えるくらいに暑かったトラックの上と比べると、ここはほんとにシンとしていて、足音が、クックって遠くまで響いた。


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