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ルーディー

「その赤い髪、素敵だね」


「ホント? 初めて褒められたわ」


彼女は無邪気に喜んで


「ねえ、あたしって綺麗?」


なんて赤髪をすいたりなんかして訊いた。


「結婚してくれる?」


「ああ、綺麗だよ。青い瞳なんか特に、ね。でも、君はどうしてお髭なんてつけているんだい」


「あたし、ルーディーよ?」


「ああ、ルーディー。なんでお髭をつけたり、まるで男の子みたいな格好をしているんだい」


ジョルジュおじさんの件もあるから、僕はそれが不思議でならなかったんだ。


実はこれ、ユダに頼まれた質問の中にはなかったんだな。


だからじゃないけど、彼女が答える前に彼に肩を突付かれた。


「ごめんよルーディー。ぼく達は先を急がなきゃならないみたいなんだ」


「行ってしまうの?」


彼女はひどく不安げにそう言った。

 

「ああ。でもその前に少しだけ訊きたいことがあるんだ。答えてくれるね」

 

「あたし達、結婚するのよね?」

 

「君は、ぼく達がこの先、どこに向かえばいいのか、知っているのかい?」

 

「あたし、ルーディーよ」

 

僕は少し鬱陶しくなって、ちょっぴり乱暴に彼女の肩を掴んで、事態が急を要するということを悟らせてみた。


「ルーディー。ぼく達はこのまま山を登っていればいいんだろうか? それとも、回り道をした方がいいのかな? 僕らは本当のお城の場所を知りたいんだよ」


「・・・あたしもお城へ行ったことなんてないわ。前に聞いた話では、樹木が生きていられるかいられないかの境目辺りに建っているってことだったけど。とても切り立ったところらしいし、行くのは危険だと思う」


ルーディーは節目がちにそういいながら、時々僕を窺った。見上げるときの目の下の膨らみがとってもふっくらしていて、彼女の白い肌のせいもあるんだろうけど、ちょっと目を引くものがあったね。

 

「・・・なら、ぼく達はこれからどこに行けばいいんだい? ただ山頂へ迎えばいいってわけではないんだね?」


僕は彼女の瞼から零れる涙を親指でゆっくりなぞりながらそういった。


実際こっちもひどく気持ちが萎えていたんだ。でも訊かないわけには行かないよ。


直ぐ後ろにはユダが立っていたんだしね。


「・・・お城の場所はわからないけれど、この土地に住んでいるみんなが年に何度か集まる場所までなら行ったことがあるわ。あたし、それ以上この山を登ったことはないの」


彼女は僕の手をとり、頬に当てながらそういったんだ。


彼女のほっぺたは冷たかったな


「なら、そこまで案内してもらえないか」


後ろのユダは、腕を組みながらそう言葉を投げかけた。


僕はなんとなくルーディーの表情が白々しくなったのを感じたんだけど、黙って手を貸しておいたよ。

 

「どうしても行ってしまうの?」


彼女にはユダの姿なんか見えていなかったね。


断言できるよ。


だって、ルーディーの瞳の黒いところ一杯に、ふとっちょになった僕の顔が映し出されていたんだもの。


「スミシー。あなただけでも残ってくれないの?」

 

「どうしてもじゃないよ。どうしてもしなければならないことなんてぼくにはないんだ。でもね、今はなぜだろう、ユダ達と一緒にいたほうがいいみたい。そんな気がするよ。勿論、君と別れるのはつらいけどね、ルーディー」


そういいながら僕は彼女から自分の手を取り返し、立ち上がった。



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