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欲望

だって、真っ赤なんだ。


トマトの色でもないし、一番わかるのが、鼻に来るくらいに、口に入れてもいないのに咽喉がしびれるくらいに辛いって事なんだ。


どうしておじさんは僕にこれを飲ませたいんだろう。


そんなことをボンヤリ考えていた。

 


「これはなんていう料理なんだろ? 失礼じゃなかったら教えてくれないかな。僕、始めて食べる物のことはちゃんと知っておきたいし、覚えておきたいほうなんだよね」


そういいながら何の気なしにおじさんを見上げた。



そして気付いたんだ。


スープに負けないくらいおじさんの目が充血していることを、咽喉がめくれ上がるくらい低く激しい息遣いをしていることを。

 


僕は思わず逃げ出そうとしてしまったよ。


「何するんだ!!」


なんて叫んだのは、彼が僕を押し倒して羽交い絞めにしたからなんだな。 


「素直に言うことを聞けばいいものを」


おじさんは


「ガキガ、ガキガ・・・」


ってとめどなく呟きながらその途切れ途切れにわけのわからない呪詛のようなものをはき続けた。


そして、僕の口に無理やり赤いスープを流し込んだんだ。


「直に良くなる。嫌いじゃないはずだ、こんなにやわらかいじゃないか、嫌いじゃないはずだ」


彼はそういいながら身動き取れない僕にのしかかって、綺麗な白に赤いスープがかかって、油のオレンジ色がしみこんだシャツのボタンを荒々しい手つきで一つ一つはずしていったんだ。


僕の顔の半分は目の粗いじゅうたんに押し付けられていたんだけど、それより、口に入らなかったスープが本当に辛くて、皮膚が焼けるように熱かった。


夢中で頭を振ったんだけど、スープが染みた頬を絨毯に擦り付けてしまって余計に痛い思いをした。

 


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