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欲望

フロントに行くと係りの人が僕をあからさまな目で見た。


ぼくはあんまりそういう目に慣れていなかったからやりきれなかったな。


でも係りの人は訝しみながらも一枚のメモを渡してくれた。


メモには、202とだけ書かれていた。


それで僕はエレベーターもないそのモーテルの階段を上る羽目になったんだ。

 


202って書いてあるドアに手を掛けると、


「ようこそ」


そう声がした。


「待っていたんだ、さあ、入りたまえ」


見上げると、やっぱり僕は間違っていなかったんだな。


あの意味深な微笑をたたえているおじさんが優しく僕の背中に手を添えてくれたんだ。


僕は何だかうれしくなっていたんだよ。


だって、もうこんな風に自分を扱ってくれる人なんていないと思っていたから。


それに、部屋の中は暖かくて、おいしそうな湯気が立つスープの匂いがこっちまで届いていたんだもの。

 

不安なこともあったんだ。


「ねえ、アンワルはどうしたの?」


どうやら僕は、おじさんを追いかけるのに夢中になって、アンワルが後をついてきていないことにも気付かなかったんだな。

 


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