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B

いや、なんでもない。


簡単に人のことを決め付けちゃいけないし、確かに彼は多少体格がいいほうではあるけれど、第一、それだったらBよりPのほうが正しいじゃないか。


文字になんて大した意味が隠されているわけがないよ。


とにかく、僕は朝が来ていることにやっと気付いたんだ。


そして

「君がいてくれると、否、君と出会えて僕はとってもうれしいよ」


なんてあんまり恥ずかしがらずに笑っていえたんだよ。


エゴールはちょっと豚鼻を高くして得意げな顔をしていたな。


「朝がもうずいぶん前に来ているんだろう?」


それでも僕はやっぱり聞かずにはいられなかったな。


「それならどうして―――」


僕の声なんかまったく耳に入っていないように、彼の表情が一種の緊張状態に急変したんだ。


すぐには理由がわからなかったんだけど、彼が豚鼻をヒクヒクさせて、まっしぐらに走り出した方向を見たら、なんとなく事情が分かった気がした。


視線の先には闇にまぎれて黙々と煙を上げた一棟の小屋があって、開かれたそのドアから出てきた姿勢のいいちょび髭おじさんが、こっちへ優雅に歩いてきていた。


肩からエプロンが掛けられていて、とっても穏やかな微笑がたたえられていた。


その人の手には、トレーに載った、まだ湯気が立ち込めている熱々のスープがあったんだ。



突進していくエゴールがジェラールや誰かに止められたけど、彼には通じなかったみたいだった。


実際、当の昔に限界は来ていたんだよね。


僕もそうだったけど、このときはそんなことより飛び出してしまったエゴールが心配だった。


ジェラールや僕の心配は、幸い杞憂に過ぎなかったんだ。


僕は走るエゴールの揺れる贅肉を見ながら、それが切り刻まれたり、嬲られたりするところを想像してしまって肝を冷やしたんだけどね。


全く、人の心配も知らないで、彼は一目散にスープに手を出し始めたんだよ。


でも、彼が迷わず用意された食事を口にしてくれたから、ぼく達も安心してそれに手を出すことができたんだね。


ぼく達は彼のおかげで、ちょっとだけ和やかな時間を過ごせたんだ。


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