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一歩

弁護士が言うには、本当に財産を取っていったのは

―――弁護士はそのことをネコババなんていっていたけど―――

ローザじゃなくってランなんだって。


ランがローザを追い出した後、しっかり財産を吟味して、その中の有望株だけを丸ごと取っていったんだってさ。


僕はローザがなんで追い出されたのかなんてどうでもよかったんだけど、ランを悪く言われるのは嫌だった。


でも弁護士はあの嫌味な口調で続けるんだ。


ランのことを

―――これも弁護士の使った言葉だけど―――

したたかな女だ

なんてね。


僕は耳を塞いだよ。


でも失敗した。


目は閉じていなかったんだ。


そこにローザが貰ったって言うメモが差し出されたんだ。


そこには、確かに、ローザに財産の管理を委託するって感じのことが書いてあったんだな。


正確には、それは僕のものでもあるんだけど、それを管理するのはローザで、それとは別にローザに支払われるはずの報酬額が書いてあったんだな。


弁護士が、このローザの報酬に対して文句を付けに来たんだって理解するのに、僕は結構な時間が掛かったんだ。


でも弁護士は少しも焦らないのさ。


どっしり構えて、こっちが徐々に青ざめていくのを楽しんでいるかのように。


管理とか、報酬とか、支払うとか、僕が読めなかった単語を一々説明したりして、僕がどれほど無知を決め込んだところで、僕の家が僕の家でなくなるのを止められないって事を理解させたんだ。


その他にも一杯話を聞いたはずなんだけど、殆どその内容を覚えていない。


多分、話を聞いているうちに眠ってしまったんだと思う。


大分疲れていたからね。


でも最後に弁護士は、自分の報酬のことについて話し始めたんだ。


それも僕が払うべきなんだってさ。


ローザが雇ったのにだよ?


でも僕はそんなのどうでもよかったんだ。


弁護士は、それを払わなくてもいいって言ったんだからね。


でも、もしお金が出来た時には払ってほしいって。


報酬はその時まで

貸し

でいいってさ。


嫌味な言葉を並べるんだ。


僕がそれを払えるときが来るのかなんてわかんないんだけどさ。


でも、弁護士ってそういう人種だろ?


とにかく、それで結局、僕はその家を追い出されることになったんだ。

 



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