仲違い
「ところでどうする? クーベルタン」
そう切り出したのは、ユダだった。
「おまえこれから、単独で頂上を目指したいんじゃないのか?」
「・・・何を言うんだよ。クーベルタンはもうぼくらの仲間じゃないか」
ツェッペリンが灯した松明を持ったユダに、ぼくはそういったんだ。
「差し出がましいかもしれないが、おれはこれからもお前たちと一緒に行動させてもらうつもりだ」
「だよね?」
ちょっとうれしくなって、クーベルタンとユダの顔を見た。
「クーベルタンもこういっているじゃないか」
ユダの顔がよろしくなかったもんだから、ぼくはそういわずに入られなかったんだ。
「本当にそう思っていたなら、なぜ初めに橋を渡ろうとした?」
「彼はみんなのために率先して危険を背負おうとしたんじゃないか」
「おれは見てたんだ。こいつ、先頭を下ろされたとき、悔しい顔をしてたぜ」
ユダは時々意地悪くなるんだけど、これが一番そうなんだな。
「・・・おれが邪魔なら、なぜ橋を渡らせた? 対岸へ置いてくれば、それで済んだはずじゃないか」
「知るかよ。橋を渡らせたのは、ジェラールだ」
ユダは不満顔でジェラールを見た。
「クーベルタン。悪いが、暫くおれ達と一緒に行動してくれるか」
松明が焚かれ、ぼくらは洞窟に足を踏み入れた。
「ユダ。彼はいわばおれ達の先人だ。口にしていないだけで、まだ何か情報を持っているとも限らない」
「でもな・・・」
不満そうだったけど、ユダは松明を振り回してそれを紛らわしたみたいだった。
洞窟は、ひどく入り組んでいて、ぼくらは一心に上を目指した。
勿論、自分達の通った道には、クーベルタンが持っていた貝殻を砕いて粉末にしたものを巻いていた。
それは光を反射しやすくって、行き止まりで引き戻しても、結構安心していられたんだ。
やっぱり彼は、ぼくらに必要なんだって、そうユダに言ってやりたかったけど、彼は終始ふくれっつらをしていたもんだから、あまりふれずにいたんだよ。




