浜辺の兄弟
頬がちりちりして目を開けると、そこには乾いた焚き火があったんだ。
それで、炎の先には、滑らかな流木に坐った一人の青年が、うつむき加減で木をくべていた。
頬が痒くって膝にこすってみたら、冷たくって気持ちよかった。
「よく眠れたか?」
青年は怒ったような顔のままそう声を掛けてきた。
ぼくは驚いてはっとしたんだけど、串に刺さった焼き魚を差し出し方がとっても優しい感じだったから、素直に肯くことができた。
でも、体中ぎしぎし痛くって、足なんて感覚がないくせに、痛みだけが駆け上がってくるみたいだった。
ぼくはひどく疲れていたんだよ。
そうなんだ、心身ともにね。
青年の焼けて乾ききった手が、そんなぼくには沁みたんだよね。
「起きたの?」
串を受け取ると、波打ち際から戻ってきたような、ぼくと同じか、少し下に見える少年が話しかけてきた。
ぼくはもう一度その子に肯くと、恐る恐る魚にパクついた。
魚はあごをがたつかせるほどだった。
なんたって、暫くそういった類のものにありついていなかったんだから、無理もないよ。
それで、ぼくは突っかかる骨にわずらわしさを感じながらも、それにがっついたんだ。
「あんた、あの砂漠の向こうから来たのかい?」
ぼくが落ち着くのを待って、青年はそう尋ねてきた。
少年も真摯にぼくの受け答えを待っているみたいだったから、ぼくはやっぱり肯いて見せた。
そしたら
「うそだ!」
と叫ぶと、少年は立ち上がって、
「あそこから人が来たことなんて、今までなかったことだ。これからだってない」
なんて高飛車に言った。
「ヨーク・・・」
そしたら青年が少年をさえぎって、変わりに自分がこっちににじり寄ってきたんだ。
そしてもう一度、
「本当にあそこから歩いてきたのか?」
なんて問いかけてきた。
だからぼくは、
「途中までは車で来ていたんだ」
って答えた。
嘘じゃないからね。
「車を降りてからは、川に沿って歩いてきた」
「まさか、あの増水を経験したのか?」
「ああ、あれはひどいもんだったよ」
増水ってのが、大雨だったのかはわからなかったけど、ぼくにとってそれは似たようなものだったから、そう答えてみた。




