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9.あーーんむっ…ちゅ…

妙なフェチがあるので注意です。

「それでねー、部長のやつが『こいつには色気がないから』とか言ってさぁ。」

「うんうん。それでレナ姉は怒ったんだ。」

「そうなの!聞いてよユイカぁ。うちの部長がね、私の体触って『胸が小さい』とか言うんだよ。あいつ絶対セクハラで訴えてやるんだから!」

「あ、あはは…。あ、シュンくんおかえりなさい。」


 僕がお風呂から上がってくると、リビングではソファに座ってテレビを見ながらユイカが玄関先で僕を押し倒してきた女性の愚痴を聞いていた。ややろれつの回らない話し方をするその女性は一目見て分かるほどに酔っぱらっている。


「兄さん、久しぶり~。」

「はいはい、ついさっきまで俺にのしかかってたでしょお前…ってか酒臭っ。で、レナ、今日はいつまでここにいる気なんだ?」

「もちろん泊めてもらうつもりだよー。なに迷惑なの?折角妹が来たのに~。」


 僕を押し倒し、ユイカに愚痴を延々とこぼしているこの童顔の女性は、12歳も年の離れた僕の妹だ。彼女は酔っ払い特有の図々しさで僕の家に泊まろうと迫ってきた。


「お前さ、いきなり家に来て泊めてくれったってなぁ。父さんと母さんから何にも言われてないの?」


 僕の指摘に、実家住まいの彼女はおぼつかない操作でスマートフォンを起動して、僕とユイカに『遅くなるので俊介兄の家に泊めてもらうから』と書かれた送信済みメールを見せてきた。


「この通り。許可は取ってあるよ~。」

「わぁレナ姉さん、用意周到だね!?」

「えへへー。」

「いや、ユイカは誉めてないぞ。」


 呆れてものも言えないとはこのことだ。もし僕たちがダメって言ったら彼女はどうする気だったんだろうか。実家はここから決して近くない場所にあるので、今から帰ろうとしたら間違いなく日をまたいでしまうだろう。まったくしょうがないと思いながら大きくため息をついていると、僕の娘は心配そうに僕を見てきた。


「シュンくん、レナ姉さんに泊まってもらっちゃダメかな。」

「ユイカ…。」

「このまま帰らせちゃう方が危ないと思うんだけど。」

「はぁ、俺もそう思う。」


 ユイカは、僕と親しい多くの女性をあまり快く思っていないが、叔母であるレナに対しては昔から一緒に遊んでくれていたこともあったためか、少し歳の離れたお姉ちゃんとして慕っているのだ。そんなユイカの思いやりに乗っかって、僕の妹はさらに図々しく「泊めてー泊めてー」と迫ってきた。

 レナのおねだりはともかく、ユイカの言うことはもっともなので、結局妹が今日だけ我が家で泊まることになったのだった。


「次はもう少し早く言いなよ?こっちだって準備することがあるんだから。」

「兄さんったら、明日は土曜日なんだから。ちょっとくらいお客さんがいてもいいじゃない~。」

「分かったよ。じゃあいつもの部屋で寝ていいから。それと風呂入って来いよ。正直酒臭い。」

「はいはーい。ごめんね。それじゃお風呂頂きまーす。」


 レナが慣れた様子で風呂場に向かっていく姿を見ながら、ユイカは呟いた。


「レナ姉さん、今年も大変そうだね。」

「あいつが突拍子もないのはいつものことだろ。」

「あはは、新年度でここの所飲み会続きなんだってさ。」

「あんまり酒強くないのに妙なところで頑張っちゃうからなぁ。」


 レナが僕らの家に泊まりに来るのは珍しいことではない。こうして飲み会がある日などは今日のようにふらりと現れて「泊めてー」とねだってくるのだ。幸い部屋には余裕があるので泊めることができないということはないのだが。

 今日のようにふらりと現れる彼女に驚くことはあるが、迷惑だと思うことは無い。なぜなら彼女には昔からお世話になっているからだ。

 高校の教師となって忙しい僕の代わりに娘のユイカの遊び相手となり、面倒を見てくれていたのは何を隠そう僕や妻の両親と、そしてレナだった。彼女がいつも世話をしてくれたお陰でユイカは彼女を実の姉のように慕っているので、むしろ彼女が来てくれることは歓迎なのだ。ただそれを本人に言えば調子に乗るので本人に言うつもりはないけれど。


「あいつもここは慣れっこだし、べつに困ることはないだろう。ユイカ、俺たちはもう先に寝ようか。」

「え?シュンくんと一緒に!?いいの?!」

「…一緒に寝るかもしれないから早く自分の部屋に行きなさい。」


 突っ込み役がボケに回った時のような気持ちだ。レナはユイカのストッパーではなくむしろアクセルだ。このお泊りで特に何事もなければいいな、とこの時はそう思っていた。


「わーい!あ、そうだ。ゴールデンウィークに友達が家に来ることになったんだけど、いいかな。」

「うん、分かった。それじゃおやすみね。」

「おやすみなさいー。」



 ユイカが自分の部屋に向かった後も、僕はしばらく彼女が出ていった扉を見つめていた。するとその扉を開けて風呂上がりのレナが、ユイカから借りたパジャマに着替えてリビングに入ってきた。


「お風呂上がったよ。」

「うん。というか…やっぱりユイカのパジャマとサイズぴったりだったんだね。」


 妹は家にあったユイカのパジャマに着替えていた。高校生の中では発育の良いユイカの服は小柄な彼女には丁度よいか、むしろ少し大きいくらいだった。


「うむむ、最近のユイカは成長期だから…。」


 昔は私の腕に収まるくらい小っちゃかったのに。彼女は既に自分の方がいろいろと小さくなったことをユイカの前では顔に出さなかったが、ユイカのいない今は思いっきり悔しがっている。

 風呂上がりで汗と共に、少しアルコールの抜けた様子の彼女に僕は早く寝るようにいって、部屋を出ていこうとする。その時、彼女はポツリと呟いた。


「シュンスケにい、最近ユイカどう?」

「どうって?」

「ユイカとの仲はいい?あの子どんどんかわいくなって、ユカ姉さんとそっくりになってきたけど、寂しくない?」

「相変わらず仲良すぎるくらい。ユカのことも…心配いらないよ。」

「そっか、良かった。ユイカ、シュンスケにいのこと大好きなんだから大事にしてあげてね。」

「ああ。ありがとう。」


 レナは義姉であるユカのことが大好きだった。ユカの女性らしいおっとりとした性格に惹かれたようで、僕たちが実家に帰ると姉さん姉さんとずっとくっついて回っているほどで、今のユイカのようだった。

 妻が亡くなった時に僕以上に号泣した彼女は、義姉の忘れ形見であるユイカを妹のように可愛がったのだ。


「じゃあ、俺はもう寝るから。部屋出るときは電気消しといてくれよ?」

「了解~。」


 多少抜けたとはいえ、まだ酔っ払っているからか風呂上がりのためか赤く火照った顔を抑えたまま、ソファに座りテレビを付けた妹に一声かけてから僕は今度こそリビングを出て、廊下の一番奥にある自分の部屋に向かった。



「ユイカ?」


 途中、僕は静かに娘の部屋の扉を開けた。一応約束したのでユイカを見に来たのだ。部屋は真っ暗で、彼女の可愛らしい寝息が聞こえてきた。酔っぱらいの相手をして疲れたのだろう、部屋にも戻ってすぐ眠ってしまったようだ。


「ふふ、疲れて寝ちゃったか。レナの相手お疲れさまね。」

「…んん。」


 暗闇に目が慣れた僕は娘の眠るベッドに近づいて腰を掛け、ユイカの髪を撫でた。彼女のさらさらの長髪は、僕の手すきを受け入れるようにされるがままに梳かれている。眠っている彼女はくすぐったそうに少し反応したが、再び規則正しい呼吸を続けた。


「ユイカ、愛してるよ…。」

「…ん、私も好き…シュンくん。」

「え?」

「…」

「…寝言か。」


 ぴったり計ったようなタイミングの寝言に僕は苦笑しながら、彼女のベッドから腰を浮かせた。名残惜しく感じる気持ちを振り払って、僕は自分の部屋へと向かい暖かいベッドの中に潜りこんだのだった。





「…姉さん、…これ結構恥ずかしいよ。」

「大丈夫。きっと兄さんは喜んでくれるよ!」

「でもー…」


 どこか遠くから声が聞こえてきた。それと同時に右耳にひんやりとして柔らかい感触と、くちゅ、ちゅっちゅっという水がしたたるような音が聞こえてきた。


「うんうん、イイ感じ。上手上手。それじゃ舌も使ってみたら?」

「む、無理!それは絶対に無理!!」

「…もう恥ずかしがり屋さんなんだからぁ。じゃあ私がお手本を見せてあげるよ。こうしてやるんだからしっかり見てなよ?」


そう言って右耳の辺りに熱のこもった息が吹きかけられた、先ほどとは違うものが来るという感覚に、僕はふわふわとした意識の中で身構えていたところ、それを遮るようにもう一人の声が響いた。


「…れ、レナ姉さんストップストップ!わ、私がやるから!」


近づいて来た感覚はその言葉と共にふっと離れた。それと同時に別の人が耳元に顔を近づけたようで、先ほどとは異なる切羽詰まったような熱い吐息が僕の耳をくすぐった。


「シュンくん、寝ている所ごめんなさい。その…大好きだよ…。」


耳たぶに熱く、柔らかいものが押し付けられた。その途端、僕は体中に電流が駆け巡ったような気持ちで徐々に意識が覚醒していく。


「シュンくん…シュンくん…。」


 両手が添えられて、動かせない顔はそのままに薄目を開けて横を見ると、豊かな黒髪の少女の愛しいつむじが見えた。

 ユイカは僕の反応には気付いていないようで、ねっとりと情熱的に耳たぶを舌で舐めていた。彼女の舌が僕の肌を滑る合間にシュンくんシュンくんと囁く声、熱い息づかい、そしてぴちょり、くちゅりという水音が僕に困惑と大きな快感を与え、思わず体が震えた。


「ぴちゅ、ちゅ…、くちゅっくちゅ。」


「ちゅ…シュンくんの耳、柔らかい…。ぴちゅ…これヤバいよ…んん。」


「あんむ…ちゅ。シュンくん、好きだよ。大好き…くちゅ、ちゅ…っはぁ」



 やがて彼女の”熱”は耳たぶから、より中へと侵入しようと上への移動を開始した。中に入ってこようとして、次第に僕の耳を舐める音が大きくなっていき、体が熱くなっていくのを感じる。それと同時に僕の下半身は急速に熱を帯びていった。


「はぁ、っはぁ…シュンくんの耳、犯すね。ごめんね卑怯なことして…。んっ、シュンくん…愛してる。」


 娘の声が、愛おしむようなものになったことを感じた。とがらせた舌が、僕の耳の穴の入り口にちらっと触れたとき、二度目の強い快感が駆け抜け、僕は顔に乗っていた彼女の両手を掴んでいた。


「!?」

「えーと、おはよう…ユイカ。」

「あ、あ、シュンくん。」

「えと、ユイカは何してるのかな…?」

「あの、シュンくん。違うの、これはその…。」


「兄さん、私がしてみたらってユイカに言ったの。私のせいだから、ごめんなさい。」


うつむいてしまった彼女を助けるように僕の妹はユイカの隣から顔を見せた。


「レナが?」

「ユイカったら、兄さんに誘惑する方法を色々教えてあげたのに、まだベッドで添い寝しているだけって言うから。つい、ね。えへへ。」

「……。」


 レナは娘の女性としての成長を手助けしてくれた。女性用の下着や生理用品などの男の僕が分からないようなものを揃えてくれたり、そういった知識を教えてくれたのも彼女だった。

 でも彼女がユイカに教えてくれたのはそれだけではない、好きな人を誘惑する方法、すなわちユイカが僕に対して少々危ないことをし始めたのも彼女のお陰なのだ。



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