第13話 校外学習の行き方! ハルカが乗れる大型フェリーを自衛隊が徴用
「――というわけで、今年の校外学習(修学旅行)の行き先は、沖縄に決定しました!」
ホームルームの時間。担任の先生が黒板に大きく『沖縄』と書くと、教室中から「うおーっ!」「海だーっ!」と歓声が上がった。
だが、伸一だけは隣の窓の外を見上げて、冷や汗を流していた。
「……あの、先生。ハルカって飛行機に乗れるんですか? 2000トンありますけど……」
「フッ、良い質問ですね伸一くん。当然、旅客機なら滑走路に降り立った瞬間にタイヤがパンクして滑走路ごと陥没します」
「ですよね!?」
「そこで……です! 防衛省と海上自衛隊のご厚意により、今回の修学旅行のためだけに『海自の最新鋭大型輸送艦』が1隻、丸ごと特別徴用されました!」
「自衛隊を修学旅行の足にすなーーーっ!!??」
伸一のツッコミが教室に響き渡る中、教室の後ろ(※天井に頭を突っ込んだ状態)から、5メートルのパワードスーツを着たアリスが腕を組んでハッっと鼻を鳴らした。
「クックック……当然の措置だな。防衛省のエリートであるこの私と、規格外兵器《H-00》を移動させるのだ。国家予算と防衛アセットが動くのは必然と言える!」
「アリスちゃん、自衛隊の艦船でお出かけなんて楽しみだね〜♪」
「えーい、気安く話しかけるな10メートル! 言っておくが私は『極秘任務の監視』として同行するだけだ! 浮かれた修学旅行など興味はない!」
「えー? でもアリスちゃん、昨日から『沖縄 おすすめ スイーツ』でパワードスーツのモニター検索しまくってたよね?」
「なっ……!? な、なぜそれを……!? ログを盗み見るな盗み見るなーーーっ!!」
顔を真っ赤にしてパニックになるアリスを横目に、伸一は深く溜め息をついた。
一カ月後・フェリー埠頭──
修学旅行当日。港に集まった生徒たちの目の前にそびえ立っていたのは、旅客フェリーではなく――グレーの艦体に重厚な甲板を備えた、ガチの海上自衛隊輸送艦だった。
「すげえぇぇぇ! マジで軍艦じゃん!!」
「『祝・見晴ヶ丘高校 修学旅行御一行様』って横断幕が貼ってあるのジワるww」
はしゃぐクラスメートたちを横目に、ハルカ(10m)はドスン、ドスンと重厚な足音を立てながら輸送艦の車両用ランプ(乗降口)へ向かった。
【ギィィィ……ガガガッ!】
「……あの、ハルカ様。もうちょっと静かに乗っていただけますか……? 艦の傾斜度が想定を超えています……」
出迎えた自衛官が、胃の痛そうな顔でハルカに頭を下げる。
「あ、すみませ〜ん! 足元気つけますね!」
ハルカが恐縮して1歩引いた瞬間――
【ズゥゥゥン……!!】
「うわあぁぁっ!? 船が5度傾いたぞーーーっ!!」
「ハルカさん動かないで! そのまま動かないでーーっ!!」
2000トンの重心移動により、巨大な輸送艦がメリメリと傾き、甲板の自衛官たちと生徒が一斉に悲鳴を上げた。
「ハルカ、落ち着け! ゆっくり艦の中心線に乗るんだ!」
「う、うん! 伸一くん、手つないでくれたら安心して歩けるかも……♡」
「10メートルの手なんか握れるか! 俺の腕がもげるわ!」
一方で、アリス(5m)は自慢のシルフィードのバーニアを噴射し、シュタッと優雅に甲板に着地してみせた。
「フッ……見ろ伸一。これが洗練された5メートルサイズの機動力だ。10メートルともなれば船一隻を沈没させかねん害悪――」
「あ、アリスちゃん! 海風気持ちいいね〜♪」
【バサァッ……!!】
「ひぎゃああああっ!???」
ハルカが海風に当たろうと10メートルの巨大な両腕を広げた瞬間、その巨大な袖圧(風圧)の直撃を受けたアリスが、台風並みの暴風で甲板をゴロゴロと吹き飛ばされた!
【ガラガラガラッ! ドカンッ!】
「アリス少佐ーーーっ!? 船の錨に刺さってるぞーーーっ!!」
「くっ……殺せ……! 10メートルの風圧ごときに吹き飛ばされるなど……一思いに殺せぇぇぇ……!」
錨に引っかかったまま半泣きで絶叫するアリスと、キュンキュンしながら伸一の隣をキープしようとして船を揺らすハルカ。
国家レベルの大規模輸送から始まった修学旅行は、出港前から波乱に満ちあふれているのだった――!




