第11話 防衛省の秘密兵器! 5メートルのパワードスーツ少女『アリス』転校してくる
「ち、ちちち違う!! これは地球の精神汚染兵器を解析・調査するための極秘情報収集サンプルであって……ッ!!」
校庭の中央で、自作BL同人誌を抱え直しながら顔面を真っ赤にして叫ぶ謎の少女。
しかし、その横で涙目になった10メートルのハルカが凄まじい迫力で仁王立ちしていた。
「ちょっとぉぉぉ!! アンタがそんなオタク丸出しの自作小説落としてモジモジしてるせいで、私のテストが……炭になっちゃったじゃないですかぁぁぁーーーーっ!!」
「う、うるさい! テストなど知るか! だ、だいたい貴様、プロトタイプ《H-00》の癖に10メートルなどという無駄に肥大化したサイズ感で私を見下ろすな!」
「見下ろすも何も、アンタが元々小さすぎるんでしょ!? パワードスーツ着てそのサイズ(5メートル)って、なんか中途半端じゃない!?」
「なっ……!? 中途半端とは何だ! 防衛省の最新技術が導き出した、機動力と室内戦を兼ね備えた最適解の5メートルサイズに向かって!!」
「「「「防衛省……!?」」」」
ハルカとパワードスーツ少女。二人がいるグラウンドを……3階の窓から見ていた伸一や全校生徒、教師たちの声が重なる。
「そうだ……! 個人的には大変不本意ではあるが……私は本当は宇宙から来た謎の刺客などではない! 防衛省特務機関より派遣された対巨大脅威用最終兵器、アリス・ヴァンガード少尉だ!」
アリス(5メートル)は胸を張り、フンッと鼻を鳴らす。
宇宙船で派手に不時着しておきながら、実は地球の公的機関(防衛省)所属のエリート少女だったのだ。
「えっ……防衛省の人なの……? じゃあ、私のテストの補償は……?」
「知らん! それより《H-00》、いやハルカ! 私は今日から貴様を24時間体制で監視する! ……あ、あと、さっき落とした『極秘資料(同人誌)』の内容を他人に漏らしたら、即座にこの高機動パワードスーツ『シルフィード』で消し去るからな……っ!」
後半は露骨に私怨と恥ずかしさが混ざりつつも、アリスはバイザーをガシャンと下げて顔を隠した。
――そして、数分後。
「――というわけで、今日からこのクラスに防衛省からの『オブザーバー』として新しい仲間が増えます。仲良くするように」
期末テストが一旦中断となり、教室に戻った伸一たちのクラス。
担任の女性教師が気だるげに告げた直後、教室の床が【ズシン……! ズシン……!】と重厚な地鳴りを立てて激しく揺れた。
「失礼する。これより本学級に編入するアリス・ヴァンガードだ」
教室の廊下側ドアをバリバリと枠ごと粉砕しながら現れたアリス。
パワードスーツを脱ぐのを固く拒否した結果、5メートルの巨体が教室の天井を豪快にぶち破り、頭を半分上の階(4階)に突っ込みながら仁王立ちしていた。
「だから狭いって!!!!」
全校生徒から一斉にツッコミが飛ぶ。
「な、なんだお前!? 教室に入るならスーツ脱げよ!」
たまらず伸一(175cm)が叫ぶ。
「だ、だまれ地球人! このスーツは私の身の安全と防衛省の威信の要だ! 脱げるわけがないだろう……きゃっ!?」
【ガツンッ!】
「痛っ……! また天井の梁が……!」
威勢よく啖呵を切ったものの、少し動くだけで蛍光灯を叩き割り、肩パーツが教室の壁を削っていく。
「ちょっとアリスちゃん!! 転校(?)初日から教室壊さないでよ!!」
窓の外から10メートルの巨体をかがめて覗き込んでいたハルカが呆れ顔で叫ぶ。
「ちゃん付けで呼ぶな! それと席はどこだ!?」
「アリス少尉の席は……窓外のハルカさんのすぐ内側(※机3個分撤去済み)です。ハルカさん、横から肘が当たらないように気をつけてあげてくださいね」
「はーい先生……って、なんで私がこのイタい子の世話焼かなきゃいけないのよ〜〜っ!?」
「い、イタいと言うな! あれは精神汚染の解析資料だと……っ!」
10mの巨大ロボ女子高生と、5mの重装ツンデレエリート少女。
校庭での遭遇からそのまま教室へと雪崩れ込んだ「巨娘×重装パワードスーツ」の賑やかすぎる学園生活が、ここに幕を開けたのだった――!




