イベント『竜宮城の宴』7
戦いは終わりを迎えようとしていた。
そんなことさせない!
確固たる意志で意識を保ち口を開く。
「時は巡りて、修繕す『時間魔術:時間遡行』」
詠唱と魔術を唱え、体を戻す。
「あぶなかったよ。」
「そこから戻るのは想定外だな」
「もちろん一か八かの賭けだよ。」
互いに言葉を交わしながら距離をとる。そのまま【幻水の精霊剣】のスキルの発動を宣言する。
「水は流れ、槍となる。『水系統魔術:水霊槍』!」
突如として水が顕現し、その姿を槍と成す。
「行け!」
「させぬ!」
ムッツリきなこが刃を抜き、『水霊槍』にぶつける。
普通なら魔術を切断することは不可能だが、ムッツリきなこの刃は魔術を打ち消した。
「おいおい、死んだわ私」
「弱気になるでないぞ!」
魔術を打ち消した刀に【幻水の精霊剣】を合わせて相殺する。
「月よ、我が身に宿れ!【月夜術:三日月】!」
魔力が私に纏い、装備を変更する。
【魔装:三日月】、これが今の装備の名前。性能は《物理半減》《魔術半減》《魔力強化(小)》の3つ。シンプルながらも超強力な装備。
「月よ、汝の御力を刃に!【月夜術:天月刀】」
再び魔力を纏い、日本刀を取り出す。
「準備はいいか?」
「この一撃で勝負を決める!」
「いい度胸だ」
私は右手の【天月刀】を逆手に持ち、気合をいれる。
【東雲流双剣術・連ノ型】の準備をする。腰を落とし、重心を前に押し出す。
「アーツ」
「【連ノ型】」
互いに踏み込み、技を高らかに唱える。
「『花鳥風月』!」
「【星火燎原】!!」
ムッツリきなこは鋭い一撃を、私は多彩な連撃を。
刃が混じり合い、勝者を示す。
〈勝者、ムッツリきなこ選手!〉
その声と共に私の意識は途絶えた。
私の意識が竜宮城に戻った頃、辺りは何やら騒然としていた。
え?何あれ?何でロリがヘビに捕まってるの?
ロリを締め上げているヘビが高らかに声を上げる。
「我は【嫉妬の大蛇】エンヴィー!汝らの主は預かった!返してほしくば我を倒してみよ!」
どうしようかな?助けるにしては距離が遠いんだよね~
「どうする?エルゼよ」
「ワオ、ムッツリきなこさんじゃないですか」
いつの間にか隣りに立っていたムッツリきなこに驚く。
「助けようかな。ムッツリきなこさんは?」
「俺も助けようと思っている」
なんと、ムッツリきなこさんも同意見のようだった。
「あと…」
「あと?」
「俺の名前はきなこと呼んでくれて構わない」
あら、意外なお誘い。
「なら、きなこさん。今からどう助けますか?」
そう問うと、きなこさんは不敵に笑い私を持ち上げる。
そして、響き渡るきなこさんの大声。
「お前ら!一度こっちを見ろ!!」
「うわ!?うるさ!?」
いきなり響いた大声に周囲のプレイヤーたちがこちらを向く。
「今からあのヘビをぶちのめす!ついてくる奴はついて来い!」
本人?がいる前で犯行予告をするプレイヤーが一名。
さらに煽り文句を飛ばすきなこ。
「来ない腑抜けどもは黙って見てろ!!フハハハ!」
きなこは高笑いをして刃を抜き天に掲げる。
それに呼応して周囲のプレイヤー達も武器を掲げる。
「行くぞ!!姫を救出しろ!」
「「「ウオオオオオオ!!!」」」
そうして決戦の火蓋が切られた。




