イベント『竜宮城の宴』5
「何で私が生き残ったか気になりますか?」
変態紳士が私に問う。正直、気にはなったが無視して横薙ぎに剣を振るう。
「おっと、危ない。まぁ私が話したいので話しますが、『根性』は即死ダメージを無効化するんです。
一度だけですが。」
「なるほどね。じゃあさもう使えないってことだよね!月よ巡り、我が前へ!【月夜術:満月】!」
シャンっと鈴の音が鳴り、病院の窓から月光が差し込む。その光は私を包み加護を授ける。
効果は魔力とHPを+30のみ。
「私の職業は紳士。ジョブスキル『守るべき者のために』がありますので、一撃必殺は効かないと思ってください」
「関係ないね!持ってないから、そんな技!『時間魔術:時間加速』!」
私は武器をしまい、一直線に駆け出して、紳士の腕に触れる。
「何をしたんです?」
「あせらないでいいよ、もうすぐ出てくる。時よ加速しろ!!」
私がそう叫んだ瞬間に紳士の腕に異変が現れた。どんどん萎んでいく腕を見て紳士が発狂する。
「なんですかこれ!?痛みはないけどめっちゃキモいんですが!?うわ、腕がおじいちゃんみたいになった!?」
『時間魔術:時間加速』は発動者が触れた場所に【状態異常:風化】を打ち込む術。【風化】は対象となった部分の操作不可を強制するほぼ害悪の魔術だ。
「続けていくよ!『音響魔術:超振動』!」
ブゥンと低い音と共に、衝撃波が紳士を襲う。だけど紳士は腕を前に突き出して、スキルを唱える。
「ジョブスキル『守護者の剣戟』!」
紳士が美しく弧を描くような斬撃を放つ。斬撃は飛翔し、衝撃波を打ち消した。
「うっそぉ!?」
「今度はこちらの番です。『アーツ:インパルスエッジ』!」
紳士がサーベルを一閃すると、周囲に紫色の衝撃が響いた。
その衝撃をギリギリで交わした私は声を荒げて紳士に問いかける。
「アーツって何!?」
「人族限定の恩恵みたいなもんですね。訓練によりちょっと劣化したスキルを取得できるのです。それがアーツです」
「なるほどね。たしかに強そうだね」
他愛もない会話をしながらも剣戟は続き、段々と変態紳士の技にほころびが生じ始める。
私は紳士の隙を逃さずに、実験途中のスキルを唱える。
「『血液魔術:血液収束』!」
私がその魔術を唱えると、私の腕が赤く染まり、異常な熱を発生させる。負けじと紳士もスキルを唱える。
「集え『魔力撃』」
紳士のサーべルに魔力が集まり、次で仕留めると言わんばかりに輝きを増していく。
私達は気付いていた。
――――――次で最後だと




