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鳥囲まれた不吉第二皇子 【改稿版】  作者: 夢野少尉
第七章 デビュタント当日

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69.ハンナの伝言

「へ、へヴァン第一皇子に御挨拶いたします!」


 護衛二人は、慌てて頭を下げ最敬礼をする。

 ハンナは背筋にぞくりと悪寒が走った。

 恐怖で足がすくむ。


(だ、だれ……? 怖い、に、逃げなきゃ……)


 護衛の一人が、ハンナの顔が青ざめて震えていることに気づいた。


「どうしたのですか? 大丈夫ですか?」


 へヴァンは、護衛のその言葉を聞いて、何かを思い出したように、ハンナにつぶやく。


「ああ⋯⋯悪い。今、気配消すから」


 すると、ハンナの恐怖心がすぅっとおさまった。


(何? 今の。気配を消したりできるの? この人は人間? )


 ハンナは、波打つ心臓をおさえて、自分が人間に変身した理由を思い出した。


「そうだ! あなたなら聞いてくれるの? 解毒剤のことなんだけど!」

「ご令嬢、あまりにも無礼な口調です。このお方はへヴァン第一皇子殿下ですよ」


 護衛はハンナの敬語がない口調に対して警告した。


「かまわない。ご令嬢、こちらへ」


 へヴァン第一皇子はスタスタとメインホールの横の園庭に案内する。


(あぁっじれったい! こんなことしてられないのに! )


 しかし、ハンナは、彼が自分の話を聞いてくれる唯一の人間のような気がしたので、あとをついて行く。


 残された護衛二人は、不満を口にした。


「へヴァン皇子は彼女を気に入ったかな? いいなぁ、先に俺らに声かけてきたのに」

「あれだけの美人なら、正妃は無理でも側妃ならいけるかもな」


 ※


 護衛の目が届かない場所で、へヴァンは歩みを止めた。


「ハンナ⋯⋯だったか?」

「は、はい! リリィ⋯⋯いえ、ナユタ嬢が毒で倒れたのでしょう? 解毒剤は持ってないんだけど、使用方法を間違えると、即死らしいので伝えにきたの!」

「何? 服用するのに手順があるのか?」

「そう! ティースプーン一杯程度を15分おきに少しずつ与えるんだって。個人差はあるけど、一日程度で快復するみたいなの」

「⋯⋯そうか、わかった」

「伝えてくれる? 私じゃ怪しまれて、中には入れそうにないから」


 それだけ言い残して、ハンナはその場を離れた。

 とにかく、この男から離れたかった。

 気味が悪い。とにかく気味が悪かった。


 ーー さっき察知した恐ろしい気はなんだったのだろう。あの人間はなんなの?


 ハンナは走って逃げて、大木の陰に隠れる。

 しばらくして、一羽のモモイロノトリがその大木から飛び立つのだった。

 

最後までお読みいただきありがとうございます


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