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謎の男
狩衣
烏帽子
平安の装束
現実離れした姿なのに、その存在感は異様なほど鮮明だった
男は階段を一段ずつ上がりながら、ゆっくりとこちらを見上げ
静かに口を開いた
「お前の魂が目覚めた」
「…は?」
意味がわからない
でも、逃げられない
視線が、声が、空気が、俺を縫い止める
「な、何なんですか…あなた…」
男は目を細め、微笑んだ
「我が名は──安倍晴明」
その名を聞いた瞬間、胸の奥が強く脈打つ
あ、安倍晴明…!?
って…
清明は俺の肩にそっと手を置いた
「お前の中に眠る“力”が
呪いの気配に反応したのだ」
そして、まるで真実を告げるように静かに言う
「お前は、我が魂を継ぐ者だ」
心臓が跳ねた
俺が…
晴明の魂…?
混乱しているはずなのに
晴明の声は不思議と頭にすっと入ってくる
抗えない何かに引き寄せられるように…




