学校の怪談 4
昼休み
霞が関部長と俺は、化学室で実験器具の片付けをしていた
その時──
ガタッ
化学準備室の方から物音が聞こえる
「え?」
「風か?」
でも窓は閉まっている
準備室に向かうと
人体模型の隣に、黒い人影が立っていた
「ひっ…!」
突然の出来事に、思わず後ずさる
昨日の影と同じ…いや、もっと濃い…
全然気配を感じなかった
でも、人影からは、こちらを見ているような視線を感じる
そして
何故か人影は、人体模型と同じポーズを取っている
何で…?
擬態でもしているつもりなのか…?
「なんだ…これは…?」
え…
部長はそう言いながら、眼鏡をくいっと上げ
明らかに人影の方を凝視していた
なんで…
部長は霊感がないはずなのに…
もしかして、部長にも…
「…見えてるんすか?」
部長はこちらに振り向く事はなく
影を凝視したまま、小さく頷いた
「見えている
黒い…人影みたいな…これは何だ?」
同じものを見てる
どう…いう事…?
人影が一歩、前に出た
「動く…!」
部長が眼鏡の下で目を見開き、口元に、わずかな笑みが浮かんでいるようにも見える
まずい…部長に近づいてる…
俺は部長の腕を掴んだ
「部長、下がったほうがいいっす!」
とは言ったけど、部長は微動だにしない
影が手を伸ばす
その指先が、部長の肩に触れそうになった瞬間──
ガァァァァッ!!
空気が弾け、獣のような咆哮が響く
「っな…」
なんだ!?
影が一歩、後ずさる
怯えたように揺れ、黒い粒子を撒き散らして消えた
静寂が戻る
「なんだったんだ、今のは…
水天宮、何が起きてる?」
震える声で答えた
「わ…っからないすけど…
昨日、阿部くんが祓っていた…あれと同じ影…のようには見えるんすけど…」
でも、なんか…
部長の顔が強張る
「同じ…
じゃあ…これは…霊的現象なのか…?」
と言われると、自信がない
霊が傍にいる時、俺は…霊の気配を感じる
でもさっきの人影には…その気配を感じなかった
どう伝えればいいのか、言葉を探していると
部長は、おもむろに口を開く
「…水天宮
俺は…科学的に証明できないものは、存在しないと…
そう、信じていた
でも…今のは…」
部長は拳を握りしめた
「阿部くんの力
そして、さっきの人影
全部…調べる必要があるな」
確かに…
部長が霊を見えるなんて…
何かが起きてる…
でもその前に、阿部くんに伝えなきゃ…!




