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奇奇怪怪  作者: 菜園すず
29/41

学校の怪談 1

翌朝

俺は、袖の下に隠した腕をそっと押さえた


昨日の夜、浮かび上がった模様

今は消えているはずなのに…熱い…


授業中、黒板の文字が揺れて見える


「阿部、顔色悪いぞ」


隣の席の男子が声をかけてくるが、首を振る


「大丈夫…」


気のせいだ…

昨日の影のせいで、疲れてるだけ…

顔でも洗ってこよう


授業終わり、トイレで顔を洗う

ふっと顔を上げると、鏡に黒い人影が立っていた


「っうわあっ!?」


思わず後ろを振り返る


何だ…これ…


昨日の影と同じだけど…違う…

人の形をしている

そして

気配を…全く感じなかった…


影は、ゆっくりと首を傾ける


な、なんだ…


不気味な動きに、一歩後ずさる


影は、感情のない顔でこちらを見つめていた


その瞬間、人影が俺に向かって手を伸ばす


くる…!


その時、腕が鋭く痛んだ


「っぐ…!」


思わず膝をつくけれど、震える指が動く

空中に白い線が走ると、結界が展開した


影が伸ばした腕が結界に触れた瞬間──


バチッ


火花のような光が散り、影が弾かれた


影は黒い粒子を撒き散らしながら消えると、辺りに静寂が戻る


深く息を吐き、震える足に力を入れながら、ゆっくりと立ち上がった

袖をめくって腕を見る


また模様が…浮き出ている…


暫く腕を眺めていると、痛みが引くと共に、模様は皮膚の中に吸い込まれるように消えた


一体なんなんだ…これ…


ポタポタと、水滴の落ちる音だけが耳に響いた



「なあ、あれ見たか?」

「動画撮った!やばいって!」


トイレを出ると、廊下の方が騒がしい

生徒たちがスマホを構え、何かを撮っている


今度はなんだ?と、人だかりの後ろに立つ


っな…!?


そこには、ついさっきトイレで見た黒い人影が、階段の一番上に立っていた


な…なんで…?

またいる…

と言うより…


「なにこれ!?触れるのかな?」

「やめなよ!」


俺だけに見えている存在じゃ…ない

みんなに、見えている…


人影が一歩、前に出た

その動きは先ほどと同じ


生徒たちが悲鳴を上げる


「やば!動く!」

「えっ!?やばいやばい!」

「こっち来る!」


影が階段を下りてくるたびに、生徒たちが一斉に後ずさる


「先生呼んでこいよ!」

「無理だって!追いかけて来たらどうすんだよ!?お前いけよ!」


人影は階段の中段で立ち止まり

ゆっくりと首を傾けた


やっぱり…気配がない

昨日の影とも、似てるようで違う…


影が、また一歩


その瞬間、腕が鋭く痛む


「っまた…!」


袖の下で、心臓の鼓動と同じリズムで、ドクン、ドクンと熱が走る


影が階段の最後の段に足をかけた

生徒たちの悲鳴が一段と大きくなる


瞬間、空気が震えた


な、なんだ…!?


俺の足元に、青い光の線が走ると、風が巻き起こる


「なっ…」


描き出された五芒星から、細長い物体が飛び出し、光が形を作り始めた

鱗がキラキラと輝き、爪は地面を抉るように鋭い


これ…龍…?


龍が身体をひねるように一回転すると、光子のようなものが飛ぶ


バチィッ!!


空気が弾けた


影の腕が龍の光に当たり、人影が弾かれる


「風!?」

「地震!?」

「やば…どうなってんの!?」


生徒たちの声が背後から聞こえる

影は階段上階へ、黒い粒子をまき散らすように消えた


龍も一度、俺をチラッと見て、やがて光の粒になって散っていった


今の龍…


『阿部くん今の…

晴明の四神のひとつ…白虎…

式神だよ…

まさか…本当に…』


もしかして…青龍か…?


残されたのは

ざわめく生徒たちと、まだ熱を帯びた俺の腕だけだった

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