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奇奇怪怪  作者: 菜園すず
27/41

拒絶

「じゃあ、阿部くん、また」


「うん、また」


阿部くんは腕を押さえながらそう言って、私達は解散した


部長は先ほどから無言

夜風が吹き、ローブの裾が揺れる


私は意を決して、部長に声をかけた


「部長…あの…

やっぱり阿部くんは、私たちの力になってくれると思うんです」


部長は私の方へ振り返り、少しの沈黙の後、静かに言う


「私は、協力し合う気はない」


「え…」


その言葉は、刃物のように鋭く、冷たい


「で、でも…部長は…

霊が見えないって…

だから、阿部くんがいれば──」


「築地の君」


部長は、いつになく強い声で遮った


「私は、そなたの好意に応えることはできぬ

阿部の君と手を取り合うつもりもない

それだけだ」


言葉が詰まり、何も言えなくなった


部長はローブを翻し、夜の道を歩き去っていく


残された私は、その背中を見つめた


嫌われ…た…?


胸が痛い

息が苦しい


夜風が冷たいのに、頬だけが熱い…



幼い頃から、私は見えた


家の廊下の隅に立つ影

公園のベンチに座る知らない人

夜中に天井を這う黒いもの


怖かった

でも、もっと怖かったのは


「霊なんていないわよ」

「そんなこと言うんじゃありません」

「変な子だと思われるでしょ」


母のその言葉


変な…子…


その一言が胸に刺さり、抜けなくなった


それ以来、誓ったんだ

霊が見えるなんて、絶対に言わないって…


中学でも、すっと黙って

高校でも、ずっと黙っていようと思った


でも──そんな時、飯田橋部長と出会ったんだ


「陰陽師とは、平安の御代における官人にて、陰陽寮に仕えし者のこと…」

「陰陽道には、万物の巡りを示す相生・相剋の理がございまして…」

「その道を極めし者のひとりに、安倍晴明公という名高き陰陽師がおられ…」

「そして私は──その晴明公の正しき血脈を受け継ぐ、末裔」


「飯田橋さんまた陰陽師の話…」

「陰陽師の漫画とか映画とかの見すぎなんじゃ…」

「感化されやすいんだよ」

「どこどこの末裔とかうさんくせー」


「好きに申させておけばよい」


すごい人だ…


「妖は見えぬ」


そう言いながら、誰よりも怪異に向き合っていた


この人の力になりたい…

私だけは、部長を笑わない…


そう思って、オカルト研究会に入ったんだ


そして

部長のためになると思ったから

部長の力になれると思ったから

阿部くんを紹介したけれど…


『私は、協力し合う気はない』


私…

余計なこと…しちゃったのかな…


部長を傷つけたのかもしれない

お節介だったのかもしれない


胸の奥が、じんわり痛む


阿部くんなら、部長の力になれるって…思ったんだ

私じゃ…部長の役に立てないから…


でも…


夜風が吹く


小さく肩を震わせた

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