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奇奇怪怪  作者: 菜園すず
26/42

末裔の誇り

胸の奥がぎゅう、と締めつけられる


『阿部くん今の…

晴明の四神のひとつ…白虎…

式神だよ…

まさか…本当に…』


白虎だと…?

まさしく晴明公の式神…

それが、なぜ…

なぜ、阿部の君に応ずる


なぜ、私ではない…?


私は晴明公の末裔

その血を誇りとして生きてきた

どれほど笑われようと、どれほど胡散臭がられようと

この血筋だけは、私の誇りだった


だが──


幼い頃から、どれほど祓詞を唱えても

どれほど古文書を読み漁っても

何ひとつ応えてはくれなかった


それでも私は

生徒に忌み嫌われようとも、屈せず

オカルト研究会を立ち上げ

怪異を調べ

夜遅くまで式神の理を追い続けた


霊が見えずとも

力がなくとも

“誠”を求めて歩いてきた


私は清明公の末裔

正統な血なのだからと


なのになぜ…

なぜ私は、選ばれぬ…


なぜ阿部の君が…

私が渇望してやまなかった“誠”を手にしている…


胸の奥が焼けるように痛む


『…来る』


『危ない!』


『阿部くん!』


『二人とも、下がって!!』


私はただ、二人を見ていただけ

築地の君でさえ、影の気配を感じ、阿部の君を案じていた


私は──


何もできぬ

何も…感じぬ

何も…見えぬ…!


『あ、阿部くん!!

大丈夫!?』


『腕…どうなってるの!?

血は出てないけど…すごく痛そう…』


『だ、大丈夫…

ちょっと…かすっただけ…』


唇を強く噛む


そなたは…


なぜ、そなたなのだ…阿部の君…!

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