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末裔の誇り
胸の奥がぎゅう、と締めつけられる
『阿部くん今の…
晴明の四神のひとつ…白虎…
式神だよ…
まさか…本当に…』
白虎だと…?
まさしく晴明公の式神…
それが、なぜ…
なぜ、阿部の君に応ずる
なぜ、私ではない…?
私は晴明公の末裔
その血を誇りとして生きてきた
どれほど笑われようと、どれほど胡散臭がられようと
この血筋だけは、私の誇りだった
だが──
幼い頃から、どれほど祓詞を唱えても
どれほど古文書を読み漁っても
何ひとつ応えてはくれなかった
それでも私は
生徒に忌み嫌われようとも、屈せず
オカルト研究会を立ち上げ
怪異を調べ
夜遅くまで式神の理を追い続けた
霊が見えずとも
力がなくとも
“誠”を求めて歩いてきた
私は清明公の末裔
正統な血なのだからと
なのになぜ…
なぜ私は、選ばれぬ…
なぜ阿部の君が…
私が渇望してやまなかった“誠”を手にしている…
胸の奥が焼けるように痛む
『…来る』
『危ない!』
『阿部くん!』
『二人とも、下がって!!』
私はただ、二人を見ていただけ
築地の君でさえ、影の気配を感じ、阿部の君を案じていた
私は──
何もできぬ
何も…感じぬ
何も…見えぬ…!
『あ、阿部くん!!
大丈夫!?』
『腕…どうなってるの!?
血は出てないけど…すごく痛そう…』
『だ、大丈夫…
ちょっと…かすっただけ…』
唇を強く噛む
そなたは…
なぜ、そなたなのだ…阿部の君…!




