オカ研へようこそ! 2
夜の空気は、思った以上に冷たかった
街灯の届かない廃工場の前で、俺と築地さんと飯田橋先輩は立ち止まる
「こちらです」
飯田橋先輩の声が低く響く
築地さんは腕を抱え、震えている
「やっぱり…怖いよ、ここ…」
俺も同じ気持ちだ
また出てきたとしたら…
無事で済む保証なんてない
でも、飯田橋先輩は迷いなく歩き出した
ローブの裾が、コンクリートを擦る音だけが響く
そして振り返った
「阿部の君
ここなら誠が現れるでしょう」
その言葉に、胸の奥がざわつく
「影は虚にあらず
虚にあらざれば、誠は必ず応ずるもの
ゆえに、確かめましょう」
正直、確かめる必要はないとは思うけど…
そう思った瞬間だった
空気が、ひゅうっと冷える
…この感覚!
「…来る」
築地さんが小さく呟いた
次の瞬間、闇の奥から影が飛び出す
昨日のとは比べ物にならない
ずっと大きくて、空気が重い
形は曖昧なのに、突き刺すような視線だけは、はっきり分かった
築地さんが後ずさる
飯田橋先輩も一歩下がった
影が、まるで獣のように身を低くして、飛びかかってくる
「危ない!」
反射的に手が動いた
空中にまた白い線が走ると、結界が展開した
影は結界にぶつかり、バチンッ!と火花のような音が弾ける
防いだ…!
だが、影は結界に弾かれるも、方向転換して、二度目の突進をしてきた
来るか…!
避けようと身をひねった瞬間、影が横をかすめ、腕に鈍い痛みが走る
「くっ…!」
すぐさま振り返ると、まるで自分を守るか…或いは俺達の侵入を制止するかのように、横に影が広がっている
な…なんだ…
築地さんが叫ぶ
「阿部くん!」
影が方向を変えた
えっ…
そのまま影は、築地さんと飯田橋先輩の方へと向かって行く
「やば…!」
二人は避けられない
影の広がりが速すぎる
間に合わない──!
痛む腕を押さえながらも、走り出す
「二人とも、下がって!!」
影が二人に迫る
伸ばした手が
視界が
やけにスローモーションのように感じた
クソ…
後もう少しなのに…
そう思った瞬間だった




