末裔 2
翌日
昼休みの教室の扉が勢いよく開き、築地さんが小走りで俺の机に近づいてきた
「阿部くん、ちょっといい?」
周囲の視線が気になりつつ、箸を置き、姿勢を正した
「どうしたの?」
築地さんも周囲を気にしながら、声を潜める
「昨日の影のこと…
あと、安倍晴明の霊のこと…
オカ研の部長に話したんだ」
俺は思わず眉をひそめた
「えっ…
あれ、話したの?」
築地さんは真剣に頷く
「うん
部長なら、何か分かるかもしれないと思って」
胸の奥がざわつく
昨日の影の感触がまだ残っている
「で、なんて?」
築地さんは少し息を整えてから言った
「阿部くんに…会ってみたいって」
「俺に?」
築地さんはさらに声を潜める
「部長は…
安倍晴明の末裔なんだよ」
え…
「末裔…?」
築地さんは続ける
「うん
霊感はないんだけど、陰陽道の知識はすごいの
家系図も見せてもらったし、それに…先代の方が残した古文書も」
家系図…
それに
「古文書…」
「うん
そこには、清明が使ったとされる結界術や式神のことが詳しく書かれてた」
昨日の水天宮先輩の言葉がよみがえる
『阿部くん
君、本当に安倍晴明の末裔なんだよ』
清明の末裔は…一体…
築地さんが俺の顔を覗き込む
「どうする?
阿部くん次第だけど…」
少し迷ったが、静かに答える
「会って…みたいかも
俺も…知りたいから」
築地さんは微笑む
「わかった
じゃあ放課後、オカ研の部室に来て
三年生の階の、空き教室
飯田橋部長、待ってるから」
深く息を吸った
飯田橋…部長…
「うん」
安倍晴明の末裔…か
胸の奥のざわつきは、昨日よりもずっと大きくなっていた




