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奇奇怪怪  作者: 菜園すず
19/41

再現実験 2

霞が関先輩は眉をひそめる


「計波は正常値のままだが…?」


視線を感じて、身体は静止したまま、その方向に目を向けると

踊り場の隅で黒い影が揺れ、形を持ち始めていた


清明では…ない…

けど、またあの影…!


水天宮先輩は震える声で叫んだ


「あ、阿部くん、あれ!」


影が一気に距離を詰め、俺の胸元へ向かって来る


──来た!


手が勝手に動く

指先が空中に式を描いた瞬間

透明な結界が目の前に展開した


影がぶつかり、バチンッ!と弾かれる


霞が関先輩は驚愕してモニターを見ていた


「何が起きている!?」


影は弾かれた反動で壁に跳ね返り、次の瞬間、水天宮先輩と霞が関先輩の方へ向きを変えた


水天宮先輩は後ずさる


「えっ嘘…

やば…こっち来る…!?」


霞が関先輩は影に気づかず、ただ困惑したように周囲を見回す


「何だ…?

水天宮、何が──」


影が二人に向かってゆく


…っくそ!

間に合えっ──!


反射的に走り

影より先に、二人の前へ飛び込む


その瞬間──

視界が白く弾けた


「──っ!!」


結界が再び展開し、水天宮先輩と霞が関先輩を包み込むように広がる

影が結界にぶつかり、激しい音を立てて弾かれた


「うわっ…!」


影は霧のように散り、そのまま消滅する


水天宮先輩は呆然と俺を見つめた


「阿部くん…今の…」


霞が関先輩は震える声で言う


「何が…起きたんだ…」


俺は肩で息をしながら、胸を押さえた


また…勝手に…

でも…守れた…


水天宮先輩は声を張り上げるように言う


「部長…!

現れたのは清明ではなかったけど…

でも今のは…本当に霊すよ!」


霞が関先輩は計測器を見つめ、静かに息を吐いた


「…だが、計波は正常値だ

脳波にも異常はない

証拠がなければ…霊的現象とは言えない」


水天宮先輩は、何故か悔しそうに唇を噛む


「でも…阿部くんは式を描いて…!

影が消えたんすよ!」


「式…?影…?」


「そうです!

安倍晴明の技っすよ、きっと!影は、黒い…もやもや~っとした影っす!」


霞が関先輩は静かに首を振った


「水天宮

君が見えたと言うのはわかる

だが…科学は再現性がなければ証明にならない

見えない現象を霊と断定することはできない」


霞が関先輩は計測器を片付けながら言う


「それはそうすけど、でも…っ!」


水天宮先輩はやけに霞が関先輩に食い下がる

霞が関先輩は、手で水天宮先輩を制した


「今日はここまでにしよう」


隣で、水天宮先輩は、何かを言おうとしたのかは定かではないけど、息を呑んだよう


霞が関先輩は計測器を持ちながら、その場を立ち去る

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